循環器トライアルデータベース

TAXUS-ATLAS

目的 新規病変において,次世代ステントTAXUS Liberteを従来のTAXUS Express²と比較する非劣性試験。
一次エンドポイントは9か月後の標的血管血行再建術(TVR)。
コメント TAXUS Liberte はTAXUS express²と同じポリマー/マウントバルーン・同量のpaclitaxel 濃度・同様の溶出様式(slow release) だが,プラットホームであるステントの形状が若干異なる。これにより後者に比べてdeliverability,conformabilityに優れ,薬剤の溶出が血管(病変)に対してより均一になると期待されている。本トライアルはTAXUS express²との非劣性比較試験で対照群はhistorical control であるが,こうした試験においてRCTが行われる必要はなく,意味もない。本トライアルではコアラボとClinical Events Committee(CEC)がきちんと設定されており,十分なエビデンスレベルを有していると考えられる。
除外基準は設けられてはいるが,結果的にはTAXUS Liberte 群で有意に複雑病変が多かった。DES の経験が積み重ねられて,リアルワールドでは,よりchallenging な病変に適応が広がっていることの反映と思われる。この状況で手技時間が短く,追加ステントが少なかった結果はTAXUS Liberte の特性を裏付けるが,今後,より複雑な病変に用いられることで慢性期の成績が不良になってくる可能性もある。(中野中村永井
デザイン 多施設(北米,アジア太平洋地域の7か国61施設),intention-to-treat解析(9か月後のエンドポイント),per-protocol解析(12か月後のエンドポイント)。
期間 追跡期間5年。登録期間は2004年8月~2005年2月。
対象患者 871例。18歳以上。native冠動脈の新規1枝病変(目視による病変長10~28mm,参照血管径2.5~4.0mm)。
除外基準:72時間以内の心筋梗塞(MI),左主幹部・入口部・分岐部病変,完全閉塞,血栓,石灰化,蛇行。
■患者背景:平均年齢(TAXUS Express群62.7歳,TAXUS Liberte群61.9歳),男性(72.6%,69.5%),安定狭心症(52.8%,60.2%:p=0.0015),不安定狭心症(34.4%,32.1%),無症候性虚血(12.8%,7.6%:p=0.0002),PCI既往(31.4%,30.8%),CABG既往(10.3%,5.5%:p=0.0002),喫煙歴(64.0%,65.9%),薬物療法を要する糖尿病(24.6%,25.3%),インスリン治療(7.7%,7.8%),高脂血症(67.1%,76.3%:p<0.0001),冠動脈疾患の家族歴(55.2%,50.5%)。
血管造影(QCA)背景: ACC/AHA病変分類B1(30.1%,19.1%:p<0.0001),B2/C(61.2%,75.5%:p<0.0001),病変長(13.60mm,14.76mm:p<0.0001),参照血管径(2.79mm,2.75mm),入口部(3.7%,2.4%),近位(37.9%,40.3%),中間位(50.0%,49.5%),左前下行枝(40.6%,41.7%),回旋枝(27.6%,25.7%),右冠動脈(31.7%,32.7%),病変内屈曲度(25.91度,33.77度),蛇行(8.4%,13.1%),石灰化(23.1%,29.8%),側枝病変(5.0%,10.9%:p<0.0001)。
治療法 TAXUS Liberte群(871例):手技前にclopidogrel 300mgまたはticlopidine 500mgおよびaspirin 300mgを投与。手技後clopidogrel 75mg/日またはticlopidine 250mg×2回/日を6か月以上,aspirin≧100mg/日を9か月以上または無期限投与。
9か月後に血管内エコー,QCAを実施。
TAXUS Express群(991例):登録基準が本試験と同様のTAXUS IV,V試験におけるTAXUS Express²-SR植込み症例。
結果 TAXUS Liberte群における対象病変は,TAXUS Express群より有意に複雑病変が多かったが,TAXUS Liberte群の方が手技時間が短く(平均53.0分 vs 47.8分,p=0.0052),bailoutのための追加ステント植込み率は50%近く少なかった(p=0.0038)。
9か月後のQCAは75%で実施され,いずれのパラメータからもTAXUS Liberteの非劣性が示された。手技前の最小血管径はTAXUS Liberte群で有意に小さかったが,ステント内急性期獲得径(p=0.68)および晩期損失(p=0.69)に両群間差はなかった。
一次エンドポイントは,per-protocol解析で両群間差0.94%,片側95%信頼区間(CI)の上限2.98%で非劣性基準の3.0%以下であり(p=0.0487),intention-to-treat解析でも両群間差0.90%,片側95%CIの上限2.94%で(p=0.0454),いずれも非劣性基準を満たした。
9か月後および12か月後の臨床転帰に両群間差はみられず,12か月後の主要有害心イベント(MACE)およびTVRについても両群同様であった。
12か月後までのステント血栓症はTAXUS Express群7例,TAXUS Liberte群8例(p=0.63),TAXUS Liberte群においては2例が手技後6か月以降に発症した(83歳の男性でQ波梗塞を伴い258日目に発症し,発症時aspirinおよびclopidogrelを服用。45歳の男性で非Q波梗塞を伴い365日目に発症し,clopidogrelの服用を中止したがaspirinの投与は継続)。TAXUS Liberte群では30日後から12か月後までステント血栓症によると思われる心臓突然死はなかった。
★結論★TAXUS Liberte 群における対象は複雑病変であったにもかかわらず,TAXUS Expressと比較して非劣性であることが実証され, TAXUS Liberte導入の妥当性が示唆された。
ClinicalTrials.gov No.:NCT00371709
文献
  • [main]
  • Turco MA et al: Polymer-based, paclitaxel-eluting TAXUS Liberte stent in de novo lesions: the pivotal TAXUS ATLAS trial. J Am Coll Cardiol. 2007; 9: 1676-83. PubMed

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収載年月2007.09