循環器トライアルデータベース

SURVIVE
Survival of Patients with Acute Heart Failure in Need of Intravenous Inotropic Support

目的 急性非代償性心不全(ADHF)患者において,長期生存率をCaシンセタイザlevosimendanとdobutamineとを比較する。
一次エンドポイントは180日後の全死亡。
コメント Ca増感作用を有するlevosimendanは,心筋酸素消費を増加させない強心薬であるため,dobutamineに比し予後改善効果が期待されていた。これはLIDO試験でdobutamineに比し血行力学的有意性が報告され,RUSSLAN試験(急性心筋梗塞後の心不全)で,6か月の予後改善効果が示されていたからであるが,REVIVE-II試験でlevosimendanはプラセボに比し,治療早期のBNP値は低下するが,90日予後はむしろ不良であり,長期予後については不明であった。今回のSURVIVE試験で,初期5日間のBNPの低下にもかかわらず,6か月予後はdobutamine群と有意差はみられなかったことから,levosimendanはdobutamineに優るとはいえないが,劣るともいえない。β遮断薬投与患者には,levosimendanの方が有利である可能性もあり,適切な適応と用量については今後の課題であろう。(
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(9か国75施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間180日。
ランダム化期間は2003年3月~2004年12月。
対象患者 1327例。18歳以上;急性非代償性心不全による入院例;過去12か月間のEF≦30%で強心薬静注が必要(利尿薬,血管拡張薬の静注に対する反応が不十分)な症例;スクリーニング時に以下のうち1つ以上が該当:ADHFによる安静時呼吸困難または人工呼吸,血液量減少に起因しない乏尿症,肺動脈楔入圧≧18mmHg,心係数≦2.2L/分/m²)。
除外基準:左室流出路閉塞;収縮期血圧<85mmHg;心拍数≧130/分(持続的);入院期間中の強心薬静注(dopamine≦2μg/kg/分またはジギタリスを除く);torsade de pointesの既往;血清クレアチニン値>5.1mg/dLまたは透析。
■患者背景:平均年齢(levosimendan群67歳,dobutamine群66歳),男性(74%, 70%),白人94%,体重79kg, EF 24%,血圧116/70mmHg,心拍数(84拍/分,83拍/分),虚血性急性心不全76%,NYHA IV度(86%, 85%), B型ナトリウム利尿ペプチド(BNP)中央値(1178pg/mL, 1231pg/mL)。既往:心不全(両群とも88%);心筋梗塞(68%, 69%);僧帽弁閉鎖不全(62%, 63%);高血圧(61%, 65%);心房細動/粗動(49%, 46%);三尖弁閉鎖不全(48%, 46%);安定狭心症(47%, 48%);2型糖尿病(31%, 34%)。
治療状況:β遮断薬(51%, 50%),ACE阻害薬またはARB(70%, 68%),アルドステロン拮抗薬(51%, 55%),利尿薬静注(79%, 79%),硝酸薬静注(36%, 38%),静脈内ドパミン(8%, 5%)。
治療法 levosimendan群(664例):12μg/kgを10分間で静注後,0.1μg/kg/分を50分間注入。その後0.2μg/kg/分に増量し,さらに23時間投与。dobutamine群(663例):5μg/kg/分から静注を開始し,医師の裁量により最大40μg/kg/分まで増量。注入は可能な限り持続し(最低24時間),症状により減量。
結果 静注開始から1時間後の連続注入はlevosimendan群:平均0.2μg/kg/分を23.4時間,dobutamine群:5.9μg/kg/分を39.3時間。期間中の試験薬の盲検薬再静注は各群48例,54例で, dobutamineオープン注入例はlevosimendan群72例,dobutamine群74例であった。
一次エンドポイントはlevosimendan群173例(26%),dobutamine群 185例(28%)で両群間に有意差はみられなかった(ハザード比[HR]0.91;95%信頼区間0.74~1.13,p=0.40)。
二次エンドポイントである5日後,31日後の全死亡はlevosimendan群4%,12%,dobutamine群6%,14%(HR 0.72,0.85)で,早期の死亡はlevosimendan群で抑制傾向がみられた。BNP値はlevosimendan群でdobutamine群と比べ24時間後,3日後および5日後に有意に低下した(全時点でp<0.001)。その他の二次エンドポイント(31日後の全死亡,180日間中の生存日数および退院後の日数,患者の評価による24時間後の呼吸困難,180日後の心血管死)において両群間に有意差はみられなかった。
収縮期および拡張期血圧がdobutamine群と比較してlevosimendan群で低下したが,投与中止後は両群同等であった。心拍数は同群で増加し,5日後まで持続した。投与後31日目までにlevosimendan群はdobutamine群より心不全の発生率が低く(p=0.02),心房細動(p=0.05),低カリウム血症(p=0.02),頭痛(p=0.01)の発生率が高かった。低血圧,腎不全,心室性不整脈,torsade de pointesの既往は両群で同様であった。levosimendanによるQTc間隔の増加はみられず,両群間差はなかった。
★結論★急性非代償性心不全患者において,levosimendan群で血漿中BNPが早期に低下したものの,同群での180日後の有意な全死亡抑制は認められなかった。
ClinicalTrials.gov No.:NCT00348504
文献
  • [main]
  • Mebazaa A et al: Levosimendan vs dobutamine for patients with acute decompensated heart failure: the SURVIVE randomized trial. JAMA. 2007; 297: 1883-91. PubMed
  • [substudy]
  • 治療中の急性非代償性心不全患者でBNPは死亡予測因子。
    ベースライン時に比べ,1日後,3日後,5日後のナトリウム利尿ペプチド(B-type natriuretic peptide: BNP)≧30%低下例は,非低下例に比べ短期全死亡率(31日後)が67%,長期死亡率(180日後)が47%低下した:J Am Coll Cardiol. 2009; 53: 2343-8. PubMed

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収載年月2007.08
更新年月2009.08