循環器トライアルデータベース

AGATHA
A Global Atherothrombosis Assessment Study

目的 アテローム血栓症による血管疾患患者において足関節-上腕血圧比(ankle brachial pressure index: ABI)が低いことが罹患動脈硬化の数,部位と相関するのか,血管疾患リスク例において低ABIは保有する危険因子の数と相関するのかを,広範な臨床現場で検討する。
コメント 近年末梢動脈疾患(PAD)への注目度が高まっている。自覚症状もさることながら,本トライアルでも示されたように,他の動脈硬化性疾患の合併が多く患者の予後に直結するからである。一方,PADの2/3から3/4は無症候性と言われており,早期発見のための努力が必要となる。種々の画像診断が目覚ましい進歩を遂げてはいるが,ABI は容易で廉価で即座に結果が判明する便利な検査法である。さらにABIは感度・特異度ともに高く,将来の全身性動脈硬化性疾患のリスクや予後,予防や治療に示唆を与える。これ自体が動脈硬化性疾患の予後規定因子とする報告も多い。REACH registry,getABI studyが進行中で,より実用的な指標が示されるであろう。(中野中村永井
デザイン 前向き観察研究,多施設(24か国:欧州9か国,南米4か国,中東1か国,アジア9か国,北米1か国)。
期間 登録期間は2002年3月~'03年3月。
参加者 8891例:血管疾患リスク群(1792例:アジア人663例;南米139例;英国/カナダ590例);年齢>55歳,疾患の既往/現在の症状がなく,2つ以上の危険因子(糖尿病,脂質代謝異常,高血圧,肥満,喫煙歴)を有するもの,血管疾患群(7099例):年齢を問わず脳血管疾患/冠動脈疾患(CHD)/末梢動脈疾患(PAD)の既往,または心血管症状を有するもの。
除外基準:非アテローム血栓性脳疾患,非虚血性の神経的徴候/症状。
■対象背景:年齢中央値(血管疾患リスク群65.3歳,血管疾患群66.3歳),男性(47.6%, 66.5%),BMI(27.3kg/m², 26.4kg/m²),血圧(両群とも140/80mmHg),ECG異常(27.5%, 60.5%),白人61.0%,アジア人32.3%。
調査方法 質問票および医療記録より人口統計的データ,血管疾患の既往,現在の心血管症状,心血管危険因子,処方中の医薬のデータを収集。身長,体重,心拍数,血圧,ECGを測定し,両側の腕および足関節の血圧測定値よりABIを算出。罹患動脈疾患の部位および数とABIの関連,危険因子の数とABIの関連を評価。
結果 血管疾患リスク群の危険因子は高血圧88.7%(アジア人89.4%,南米92.8%,英国/カナダ85.8%),糖尿病70.0%(88.1%,51.5%,57.5%),脂質代謝異常64.0%(58.4%,52.5%,71.7%),肥満32.9%(11.0%,36.7%,50.7%),喫煙歴30.3%(20.4%,22.3%,40.5%)で,危険因子を3つ以上有しているものは62.5%。
血管疾患群の罹患動脈疾患数は1が65.2%,2が27.6%,3が7.1%。ABI異常値(≦0.9)は血管疾患リスク群30.9%,血管疾患群40.5%であった。血管疾患リスク群の危険因子の数とABIには弱いながらも有意な相関が認められ(r=-0.056,p=0.02),危険因子の増加に伴ってABIが低下する傾向があり,ABI異常値の頻度も危険因子の増加に従い上昇した(危険因子2つ15.0%,5つ29.3%)。血管疾患群ではABI異常値の頻度は,単独は動脈疾患罹患症例ではPAD 73.3%,脳血管疾患26.1%,CHD 20.2%で,その数の増加に伴って上昇し,3疾患すべてを有する例では82.3%であり,ABI低下との相関はPADでp<0.001,脳血管疾患でp<0.001,冠動脈疾患でp=0.56であった。
★結論★アテローム血栓症を主因とする動脈硬化性疾患は2つ以上の部位で発生することも多く,ABIは危険因子プロファイル,またアテローム血栓症の部位および程度と関連した。

[主な結果]
  • Fowkes FG et al on behalf of the AGATHA investigators: Ankle-brachial index and extent of atherothrombosis in 8891 patients with or at risk of vascular disease: results of the international AGATHA study. Eur Heart J. 2006; 27: 1861-7. PubMed

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収載年月2006.12