循環器トライアルデータベース

EFFECT
Enhanced Feedback for Effective Cardiac Treatment Study

目的 心機能(駆出率)が保持されている心不全患者の疫学的特徴および予後を評価し,駆出率が低下している心不全患者と比較する。
一次エンドポイントは心不全による入院後の全死亡。
コメント カナダのオンタリオ地方で実施された収縮機能の低下した慢性心不全(SHF)と収縮機能の保持された慢性心不全(DHF)に関するコホート研究であり,慢性心不全の3分の1がDHFで入院していることが示された。本研究ではSHFをEF<40%,DHFをEF>50%と定義しており,分類が紛らわしいEF 40~50%を除外していること,心不全による入院患者に限定し,退院時にCHFの診断がついている症例を対象としていることが特徴である。予後は両群で有意差なく,DHFで再入院が多い傾向もみられなかった。従来の研究で,DHFで若干死亡率が低い報告もあるが,本研究では同等であり,DHFが決して予後の良い疾患ではないことを示唆している。DHFは高齢,女性,高血圧の既往,心房細動が多く,虚血性心疾患が少ないことは従来の報告を追証しているが,DHFに貧血が多くみられる。これもリスク因子の一つかもしれない。(
デザイン population-based cohort study,多施設(カナダ・オンタリオ州の103施設)。
期間 登録期間は1999年4月1日~2001年3月31日。追跡期間は1年。
対象患者 2802例。Framingham Heart Studyの診断基準を満たす心不全(退院時の診断)により初めて入院した患者。
除外基準:心不全による入院記録のあるもの,入院後の心不全発症,他の救急病院からの転院,105歳以上,オンタリオ州外の居住者,オンタリオ州の健康保険カード番号を所有していないもの,心エコー,血管造影,放射線核種血管造影による左室駆出率の評価がないもの,心エコー上の重度の左心側弁膜異常。
治療法 EF<40%(駆出率の低下した心不全)1570例(56%),40~50%(EFが境界域の心不全):352例(13%),>50%(駆出率が保持されている心不全):880例(31%)の3群に層別したが,40~50%群ではほとんどの解析は行わなかった。
駆出率低下群と駆出率保持群の人口統計的および臨床的特徴を比較した。
結果 駆出率保持群では低下群に比べ,高齢(75.4歳 vs 71.8歳,p<0.001)で女性(65.7% vs 37.4%,p<0.001),高血圧(55.1% vs 49.2%,p=0.005),心房細動(31.8% vs 23.6%,p<0.001),慢性閉塞性肺疾患(17.7% vs 13.2%,p=0.002)が有意に多く,喫煙歴,糖尿病,高脂血症,末梢血管疾患,狭心症,心筋梗塞既往,CABG既往が有意に少なかった。主な症状や臨床検査所見は両群でほぼ同様であったが,駆出率保持群は低下群に比べ両側足関節浮腫(66.0% vs 56.6%,p<0.001)が有意に多く,急性肺浮腫(17.3% vs 21.1%,p=0.02),発作性夜間呼吸困難(25.0% vs 30.1%,p=0.007),III音(8.4% vs 12.5%,p=0.002)が有意に少なかった。
補正前の30日後の死亡率は駆出率保持群5.3% vs 低下群7.1%(p=0.08),1年後に22.2% vs 25.5%(p=0.07)と両群間に有意差はなく,補正後の1年後の死亡リスクも両群間に有意差はなかった(低下郡のハザード比1.13,95%信頼区間 0.94~1.36,p=0.18)。心不全による再入院,院内合併症発症も両群間に差はなかった。
★結論★初発の心不全による入院患者のうち駆出率が50%を超える心機能が保持されている症例は多く,この駆出率が保持されている症例の生存率は低下症例と同様であった。
文献
  • [main]
  • Bhatia RS et al: Outcome of heart failure with preserved ejection fraction in a population-based study. N Engl J Med. 2006; 355: 260-9. PubMed

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収載年月2007.03