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Tanno and Sobetsu study (端野・壮瞥町研究)

目的 北海道の2つの町(北海道の最北端に位置する端野町,南に位置する壮瞥町)で実施している心血管疾患の疫学研究。
本報は降圧治療,生活習慣の修正をいつ行うかを検討するために,「高血圧の予防,発見,診断,治療に関する米国合同委員会の第6次報告」(JNC-VI)の血圧層別に基づき長期予後を比較したもの。
コメント 端野・壮瞥町研究は,北海道の極めて寒冷地と考えられる端野町と比較的一般的と考えられる壮瞥町におけるコホート研究であるが,基本的には2つの町をあわせたコホート研究となっている。特徴は,高血圧を中心としながら,肥満や代謝マーカーと心血管イベントを観察しているという意味でユニークな研究となっている。最近決定されたメタボリックシンドロームの診断基準も本研究のデータで,その診断基準の正しさを確認して発表された。(寺本
デザイン 疫学。
期間 端野町は1977年,壮瞥町は1978年に調査を開始。
参加者 1996例。調査の最初の年に明白な心血管疾患の徴候のない40~64歳を,住民登録記録からランダムに選んだ。
端野町:1721名の住民から996例(男性475例,女性521例)を,壮瞥町:1438名の住民から1000例(男性469例,女性531例)を選別。いずれの町も平均年齢51.1歳。
調査方法 調査の最初の年に医師および訓練された保健看護師による健康診断を実施。検査内容は問診(特に狭心症,脳卒中に関する),座位随時血圧,身長,体重,総コレステロール,トリグリセリド,尿酸,50g経口ブドウ糖負荷試験,胸部X線撮影,心電図。
収縮期(SBP)・拡張期血圧(DBP)をJNC-VIの血圧層別に基づき次の5つのカテゴリーにわけた。SBP:正常(<130mmHg);正常高値(130~139mmHg);高血圧stage 1(140~159mmHg);stage 2(160~179mmHg);stage 3(≧180mmHg)。DBP:正常(<85mmHg);正常高値(85~89mmHg);高血圧stage 1(90~99mmHg);stage 2(100~109mmHg);stage 3(≧110mmHg)。
耐糖能は経口ブドウ糖負荷試験を実施した1967例を1980年のWHOの基準で判断した。
試験開始時には食事の調査はしなかったが,他の調査から1日の食塩摂取量は約12g/日と判明した。
死亡については地域保健看護師もしくは死亡届けにより判断。死因についてはかかりつけ医へのアンケートで確認した。ベースライン時の検査を拒絶した7例を除く1989例を各血圧のカテゴリー別に解析した。
結果


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追跡期間18年の間に177例が引っ越したため,残りの1819例を1995年8月31日まで追跡。死亡は256例。高血圧治療例は221例。
心血管死(突然死,致死的心筋梗塞,致死的心不全,致死的脳卒中)はベースライン時の血圧の上昇に伴い増加し,SBP≧140mmHg例は<130mmHg例に比べ,DBP≧90mmHgは<85mmHg例に比べ心血管死亡率が有意に高かった。SBP,DBPと心血管死の間にJカーブ現象はみられなかった。
(対象のベースライン時背景と血圧層別別全死亡,心血管死の結果はを参照)。
★結論★降圧治療開始の至適な時期は血圧≦140/90mmHgである。

[主な結果]
  • Takagi S et al: Relationship between blood pressure level and mortality rate: an 18-year study conducted in two rural communities in Japan. J Hypertens. 2000; 18: 139-44. PubMed
  • インスリン抵抗性指標Matsuda-DeFronzo Index(ISI-M)*はHOMA-IRよりも高血圧の予測能に優れる。
    * 空腹時および75g経口糖負荷試験(OGTT)後のインスリン値と血糖値を用いて算出するインスリン抵抗性指標。計算式は,ISI-M=10,000/(空腹時血糖値☓空腹時インスリン値☓75g OGTT中の平均血糖値☓平均インスリン値)1/2。HOMA-IRがおもに肝臓のインスリン抵抗性を反映するのに対し,本指標は肝臓と骨格筋のインスリン抵抗性を反映。
    1991年と’92年の調査参加者1,399例から,高血圧・糖尿病・脂質異常症の治療患者と未治療の高血圧患者を除外。
    [横断研究]740例(平均58.0歳,男性316例)において,血圧とISI-MまたはHOMA-IRとの相関性を比較。SBP,DBPは両指標と相関したが(HOMA-IR:それぞれr=0.12, r=0.21;ISI-M r=-0.18, r=-0.25;すべてp<0.01),相関係数はISI-Mのほうが大きかった(Fisher の z 変換:SBP 5.21, DBP 7.40)。
    [縦断研究]607例(平均57.6歳,男性254例)を10年間追跡した結果,241例(39.1%)が高血圧を発症。年齢,トリグリセライド,SBP,ISI-Mは高血圧発症と関連したが,HOMA-IRは関連しなかった。<60歳では,BMI値にかかわらず,ISI-Mが中央値よりも低い群で高い群にくらべて高血圧新規発症のオッズ比が高かった(Furugen M et al: Matsuda-DeFronzo insulin sensitivity index is a better predictor than HOMA-IR of hypertension in Japanese: the Tanno-Sobetsu study. J Hum Hypertens. 2012; 26: 325-33.)。 PubMed
  • 中心性(腹部)肥満と2型糖尿病の関連:1994年および2003年あるいは2004年に健診を受けた938例のうち,1994年の血圧,腹囲のデータのないもの,および2型糖尿病(空腹時血糖値≧126mg/dL,糖尿病治療症例)を除外した871例(男性348例,女性523例)での検討。
    中心性肥満は国際糖尿病連盟(international diabetes federation: IDF)の新しい基準(腹囲:男性≧85cm,女性≧90cm)を定義とした。肥満の定義は日本肥満学会の基準(BMI≧25kg/m²)とした。
    ・中心性肥満群は正常体重群に比べ2003年あるいは2004年の新規2型糖尿病発症率が有意に高かった(27例/173例[15.6%]vs 38例/654例[5.8%], p<0.0001)。また2型糖尿病の発症率は肥満全体群で正常体重群より有意に高かった(12.7% vs 5.9%, p<0.0001)。
    ・ロジスティック回帰分析によると中心性肥満,すべての肥満は2型糖尿病発症と強く相関し,年齢,性,収縮期血圧,総コレステロール,喫煙で補正後の2型糖尿病発症相対リスクは中心性肥満2.59,すべての肥満2.06であった。さらにすべての肥満を加えて補正しても中心性肥満は有意な予測因子であったが,中心性肥満を加えて補正した場合,すべての肥満は有意ではなくなった。
    ★結論★IDFの定義での日本人腹囲の基準値は2型糖尿病発症のリスクを評価するのに有用であり,中心性(腹部)肥満はすべての肥満よりも2型糖尿病のリスクを評価するのに有効だと思われる(Ohnishi H et al: Incidence of type 2 diabetes in individuals with central obesity in a rural Japanese population; the Tanno and Sobetsu study. Diabetes Care. 2006; 29: 1128-9.)。 PubMed
  • NCEP-ATP IIIのメタボリックシンドローム(MetS)基準の日本人男性における妥当性:1993年に健診を受けた男性808例のうち,高血圧,糖尿病,高脂血症の治療を受けていないものの追跡6年後(追跡期間は1993年8月~'99年8月)の予後で検討。NCEP-ATP IIIのMetS診断基準は,次のうち3つ以上を有するもの:腹囲>102cmによると2.7%が相当するのみであったため,日本肥満学会の腹部肥満の基準である>85cmとした;トリグリセリド>150mg/dL;HDL-C<40mg/dL;血圧≧130および/あるいは85mmHg;空腹時血糖値>110mg/dL。
    ■対象背景:MetS群(197例[25.3%]),非MetS群(583例)。平均年齢(MetS群61.8歳,非MetS群59.8歳),BMI(25.2kg/m², 22.5kg/m²*),腹囲(89.9cm, 80.5cm*),血圧(140.6/84.8mmHg, 131.3/80.0mmHg*),総コレステロール(192.8mg/dL, 184.8mg/dL;p=0.004),HDL-C(45.4mg/dL, 57.2mg/dL*),トリグリセリド(211.1mg/dL, 124.3mg/dL*),空腹時血糖値(103.5mg/dL, 90.7mg/dL*)。
    *: p<0.001
    高血圧59.4%,腹部肥満43.1%,高トリグリセリド血症35.7%,低HDL-C血症16.5%,空腹時高血糖13.8%。危険因子数:0(18.1%), 1(29.7%), 2(26.9%), 3(17.5%), 4(6.8%), 5(1.0%);重複数:2つ以上(52.2%),3つ以上(25.3%),4つ以上(7.8%)。
    脱落した193例を除いた615例・平均追跡期間4.8年で心疾患発症は49例(狭心症30例,心筋梗塞15例,心不全4例)で,MetSが18例,非MetSが31例。危険因子が2つ以上重複していたものは32例,4つ以上の重複は4例であった。
    心疾患発症例と非発症例間においてBMI,腹囲,血圧,総コレステロール,トリグリセリド,空腹時血糖値,HDL-Cに有意差はみられなかった。年齢,喫煙,総コレステロールで調整した非MetS群に比べたMetS群の心疾患の相対リスク(RR)は2.23(95%信頼区間1.14~4.34, p=0.019)と有意に高かった。重複危険因子が2つ以上の症例の2つ未満例に比べたRRは1.43(p=0.301),4つ以上の症例のRRは1.74(p=0.299 vs 4つ未満例)。
    NCEP-ATP IIIのMetSの基準は日本人男性の心疾患発症を予測するのに有用である(Takeuchi H et al: Metabolic syndrome and cardiac disease in Japanese men: applicability of the concept of metabolic syndrome defined by the National Cholesterol Education Program-Adult Treatment Panel III to Japanese men; the Tanno and Sobetsu study. Hypertens Res. 2005; 28: 203-8.)。 PubMed
  • 性差,年齢,腎機能がアディポネクチンに及ぼす影響:2003年の健診を受けた1519例から高血圧,糖尿病,高脂血症の治療を受けていない964例(男性372例,女性592例)での検討。
    ■対象背景:平均年齢(男性62.8歳,女性58.8歳),BMI(23.8kg/m², 23.1kg/m²),血圧(133.5/75.9mmHg, 129.2/73.0mmHg),空腹時血糖値(FPG:97.2mg/dL, 93.3mg/dL),総コレステロール(TC:193.2mg/dL, 205.3mg/dL),トリグリセリド(TG:115.4mg/dL, 89.3mg/dL),HDL-C(51.4mg/dL, 59.3mg/dL),血中尿素窒素(BUN:16.5mg/dL, 15.0mg/dL),クレアチニン(1.10mg/dL, 0.89mg/dL),アディポネクチン(6.02μg/mL, 8.91μg/mL)。女性と比べた男性のすべての値はp<0.05。
    テストステロンを123例の男性で,エストロンとエストラジオールを114例の女性で測定。
    アディポネクチンは男性で加齢に伴い上昇,女性は50代まで劇的に増加した。アディポネクチンを従属変数とした性,年齢,BMI,収縮期血圧(SBP),FPG,TC,TG,HDL-C,BUNでの多変量解析によると,BUNは性,年齢,BMI,FPG,TG,HDL-Cと同様に有意な独立変数である。
    65歳以上の男性(201例)ではSBP,BUN,アディポネクチンが有意に高く,BMI,TGが有意に低かった(vs 65歳未満[171例])。65歳以上の女性(224例)では65歳未満(368例)に比べ,BMI,SBP,拡張期血圧,FPG,TC,TG,BUN,クレアチニン,アディポネクチンが有意に高く,HDL-Cは有意に低かった。さらに男性では65歳以上でBUNとアディポネクチンと正の相関がみられたが65歳未満ではみられず,女性では65歳以上で65歳未満に比べ強い正の相関を示した。男性におけるテストステロンも,女性におけるエストロンとエストラジオールもアディポネクチンの有意な独立変数ではなかった。
    ★結論★65歳以上の高齢者では腎臓のアディポネクチンクリアランスの低下によりアディポネクチンが上昇している可能性がある。アディポネクチンは性ホルモンよりもBUNにより影響されると思われ,加齢による腎機能低下により上昇する(Isobe T et al: Influence of gender, age and renal function on plasma adiponectin level: the Tanno and Sobetsu study. Eur J Endocrinol. 2005; 153: 91-8.)。 PubMed
  • 肥満患者におけるインスリン抵抗性:1991年と1998年に健診を受けた1035例から,1991年の健診から糖尿病(空腹時血糖値≧126mg/dL;米国糖尿病学会の基準),高血圧(≧140/90mmHg;JNC-VI,WHO/ISH),肥満(BMI≧25.0kg/m²;日本肥満学会),高脂血症(総コレステロール≧220mg/dL,トリグリセリド≧150mg/dL,HDL-C<40mg/dL;日本動脈硬化学会)の症例と,さらに高血圧,糖尿病,高脂血症,冠動脈疾患,脳血管疾患治療症例を除外した30歳以上の228例(男性102例,女性126例)での検討。
    表
    (各数値は1991年のもの)
    TC: 総コレステロール,TG: トリグリセリド,FPG: fasting plasma glucose; 空腹時血糖値
    FIRI: fasting immunoreactive insulin; 空腹時免疫反応性インスリン 
    * p<0.05
    (Ohnishi H et al: Incidence of insulin resistance in obese subjects in a rural Japanese population: the Tanno and Sobetsu study. Diabetes Obes Metab. 2005; 7: 83-7.) PubMed
  • 無症候性閉塞性動脈硬化症(ASO)の罹病率とその危険因子:2001年および2002年の健診を受けた1398例(男性544例,女性854例)での検討。
    ■対象背景:平均年齢(男性65.7歳,女性63.2歳*),BMI(23.9kg/m², 23.8kg/m²),血圧(134.9/78.4mmHg, 137.7/76.1*mmHg),空腹時血糖値(102.9mg/dL, 95.4mg/dL*),総コレステロール(188.8mg/dL, 208.8mg/dL),トリグリセリド(124.1mg/dL, 96.3mg/dL*),HDL-C(49.4mg/dL, 52.5mg/dL*),LDL-C(114.6mg/dL, 137mg/dL*),非HDL-C(139.4mg/dL, 156.3mg/dL*),ABI(1.093, 1.090*),ABI<0.9;60歳未満(1.7%, 0.7%);60歳以上(3.6%, 3.3%),BMI>25の肥満(36.0%, 32.3%),高血圧(51.3%, 51.8%),糖尿病(13.2%, 6.7%*),喫煙(75.3%, 10.7%*)。
    * p<0.001
    ASO例(ABI<0.9)は全体で2.7%,男性は3.1%,女性は2.5%,60歳未満は全体で1.0%,男性1.6%,女性0.7%,60歳以上では全体で3.4%,男性3.6%,女性3.3%。女性では60歳以上が未満に比べ有意に多く(p=0.019),全体でも多かったが(p=0.011),男性では有意差は認められなかった。多変量回帰解析によると,男性ではABIと総コレステロールが相関した。男女ともASO群,非ASO群の両群で年齢,空腹時血糖値,喫煙による有意差はみられなかった。ASOは有している危険因子の数が多いほど増加した。
    ★結論★アテローム性動脈硬化の危険因子のうち,年齢,総コレステロールはASOのより重要な因子と思われる(Fujiwara T et al: Prevalence of asymptomatic arteriosclerosis obliterans and its relationship with risk factors in inhabitants of rural communities in Japan; Tanno-Sobetsu study. Atherosclerosis. 2004; 177: 83-8.)。 PubMed
  • 空腹時血糖異常と脈波速度の関連:2000年に健診を受けた住民から無作為に選別した男性232例での検討。
    空腹時血糖値により正常(<110mg/dL)群185例,空腹時血糖異常:IFG(110~125mg/dL)群24例,糖尿病(≧126mg/dL)群23例に層別。
    ■対象背景;平均年齢(正常群64.7歳,IFG群65.6歳,糖尿病群69. 2歳*),BMI(23.3kg/m², 25.0kg/m²** , 23.5kg/m²),血圧(129.6/77.9mmHg, 138.5*/80.3mmHg, 130.7/74.3mmHg),空腹時血糖値(94.6mg/dL, 115.5mg/dL**, 143.4mg/dL**),HbA1c(5.0%, 5.6%**, 6.6%**),総コレステロール(186.4mg/dL, 186.8mg/dL, 200.7mg/dL*),トリグリセリド(116.6mg/dL, 144.8mg/dL, 125.3mg/dL),HDL-C(53.3mg/dL, 47.9mg/dL, 55.9mg/dL)。
    * p<0.05 vs 正常群,** p<0.01 vs 正常群
    血管閉塞例はなく,足関節/上腕血圧比(ABI)<0.9は2.2%。空腹時血糖値(FBS)とABIは相関せず,ABIの違いによる群間差もなかった。FBSとIFG患者の動脈硬化指標である右/左の上腕-足関節間脈波伝播速度(brachial-ankle pulse wave velicity: baPWV),HbA1cと右/左baPWVは有意な正の関係にあった(p<0.0001)。baPWVは血糖値の上昇とともに高くなった。baPWVは正常群とIFG群間(1518cm/s vs 1673cm/s;p=0.01)および正常群と糖尿病群間(1518cm/s vs 1771cm/s;p<0.0001)に有意差が認められた。多変量回帰分析によるとFBSはbaPWV,年齢,収縮期血圧と強く関連した。
    ★結論★IFGと動脈硬化の関連にはまだ議論の余地がある(Ohnishi H et al: Pulse wave velocity as an indicator of atherosclerosis in impaired fasting glucose: the Tanno and Sobetsu study. Diabetes Care. 2003; 26: 437-40.)。 PubMed
  • インスリン抵抗性(IR)とレムナント様リポ蛋白コレステロール(RLP-C)の関連:2000年に健診を受けた住民から無作為に選別した472例(男性174例,女性298例)での検討。
    ■対象背景;平均年齢(男性67.3歳,女性63.7歳),BMI(男女とも23.4kg/m2),血圧(129.0/75.4mmHg, 133.1/74.7mmHg),空腹時血糖値(102.3mg/dL, 96.9mg/dL),空腹時免疫反応性インスリン:FIRI(5.0mU/L, 5.6mU/L)。総コレステロール:TC(194.2mg/dL, 208.4mg/dL),トリグリセリド:TG(129.0mg/dL, 110.0mg/dL),HDL-C(53.2mg/dL, 58.4mg/dL),LDL-C(115.8mg/dL, 128.5mg/dL),RLP-C(4.6mg/dL, 4.0mg/dL),インスリン抵抗性指数:HOMA-R(1.28, 1.37)
    BMI,拡張期血圧,RLP-C,HOMA-Rに有意な性差はなかった。全例でRLP-CとHOMA-R間に有意な相関がみられた(p<0.0001)。LDL-CとHOMA-R間に弱い正の関連(男性;p=0.0009,女性;p=0.0304)がみられた。
    IR(HOMA-R≧1.73)群(119例)と正常(HOMA-R<1.73)群(352例):平均年齢(IR群66.3歳,正常群64.6歳),BMI(25.6kg/m², 22.6 kg/m²),血圧(139.7/78.0mmHg, 128.9/74.0mmHg),TC(210.4mg/dL, 200.3mg/dL),TG(143.0mg/dL, 106.4mg/dL),HDL-C(50.5mg/dL, 58.6mg/dL),LDL-C(131.0mg/dL, 120.9mg/dL),RLP-C(5.9mg/dL, 3.6mg/dL)で年齢以外の両群間差はp<0.05。RLP-Cは男性7.1mg/dL vs 3.9mg/dL(p=0.0003),女性5.3mg/dL vs 3.6mg/dL(p<0.0001)でIR群の方が高かった。日本のRLP-Cの標準値であるRLP-C≧7.5,<7.5で検討すると,高RLP血症の発症率がIR群は正常群に比べ有意に高かった(男性23.7% vs 6.6%;p=0.0006,女性20.3% vs 6.6%;p<0.0001)。多変量回帰分析によると,RLP-CはHOMA-R(p<0.0001),BMI(p<0.0129)と強く相関していた。
    RLP-CはIRと強く相関することが示唆される(Ohnishi H et al: Relationship between insulin-resistance and remnant-like particle cholesterol. Atherosclerosis. 2002; 164: 167-70.)。 PubMed
  • 血清レプチン値,血圧,インスリン感受性の関連:1998年の夏に65歳以上,糖尿病(空腹時血糖値≧140mg/dLあるいはHbA1c≧6%),高血圧治療歴を有するものを除外した396例(男性133例,女性263例)での検討。
    ■対象背景:平均年齢(男性57歳,女性55歳),BMI(24.1kg/m², 23.3kg/m²),FM*(15.7kg, 16.2kg),FIRI**(両群とも5.0μU/mL),HOMA***(1.10, 1.06),血圧(130/80mmHg, 130/78mmHg),レプチン(3.65ng/mL, 8.75ng/mL;p<0.0001)。
    * FM: body fat mass;脂肪量,** FIRI: fasting plasma immunoreactive insulin;空腹時血中インスリン濃度,*** HOMA: homeostatis model assessment;インスリン抵抗性指数
    レプチンとの関連(LogLEP):BMI,FM,LogFIRI,LogHOMA,収縮期(SBP)・拡張期血圧(DBP)と正の相関がみられた。年齢とFMで調整後,LogLEPはLogFIRIおよびLogHOMAと正の相関を示し,LogLEPと血圧間には有意な関連が認められた。さらに年齢,FM,LogHOMAで調整後,男性においてLogLEPはSBP,DBPと有意に相関した。FMではなくBMIで調整すると相関度は弱くなったが有意であった。
    インスリン抵抗性(HOMA≧1.73)と血圧,LogLEP:インスリン抵抗性は正常血圧例で20%,高血圧患者で35%にみられた。インスリン感受性・正常血圧(SNT),インスリン感受性・高血圧(SHT)に比べ,インスリン抵抗性・正常血圧(RNT),インスリン抵抗性・高血圧(RHT)でBMI,FMが有意に高かった。SHTとRHT間に有意な血圧差はなかった。
    男性ではRHTのレプチン値はSHT,SNT,RNTよりも有意に高かったが,女性では高血圧の有無にかかわらず,インスリン抵抗性例のレプチン値はインスリン感受性例よりも有意に高かった(Takizawa H et al: Gender difference in the relationships among hyperleptinemia, hyperinsulinemia, and hypertension. Clin Exp Hypertens. 2001; 23: 357-68.)。 PubMed

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収載年月2006.08
更新年月2012.06