循環器トライアルデータベース

ASSERT
Aortic Stentless versus Stented Valve Assessed by Echocardiography Randomized Trial

目的 大動脈弁狭窄例において,ステントレスブタ大動脈弁とステント付きブタ大動脈弁の有効性を比較する。
一次エンドポイントは6か月後の左室筋重量指数(LVMI)の低下。
コメント 大動脈弁置換術は大動脈弁狭窄症に対する治療法として確立している。生体弁は出血性合併症を生じやすく抗凝固療法を行いにくい高齢者に用いられる。大動脈弁狭窄症のよく知られた合併症である左室肥大は突然死,心不全,脳血管障害の危険因子であり,その退縮は臨床的意義が大きい。大動脈弁置換術後に左室肥大が退縮しないと10年生存率は低下する。左室肥大の持続は大動脈弁輪部での相対的狭窄を示している。ステントレスブタ大動脈弁は,弁口面積を大きくでき,弁圧較差をより低下させ左室機能を改善しうるので,左室肥大を退縮し長期的臨床効果が期待できる。一方で,ステントレス弁による置換は手技的に複雑で手術時間も長く,これまでステントレス弁とステント弁による左室肥大退縮効果の違いは明らかではなかった。運動時の大動脈弁圧較差も臨床上有用な指標であるが,ステントレス弁の優位性は一定していない。
本研究はより大規模でランダム化して検討したが,両弁による術後1年の左室肥大退縮には差を認めなかった。ステントレス弁はnativeな大動脈弁とより近い性状を示し,大動脈圧較差はより低下しており,弁口面積も広いので,長期的効果は期待できるかもしれない。実際,ランダム化試験ではないが3年後ではステントレス弁の方が心臓死や弁に関連した死が有意に低下したとの報告もある。左室リモデリングをより鋭敏に判断できる指標やBNPなどの血液検査も両弁の効果判定に有用であろう。ステントレス弁は左室機能低下例や左室の高度肥大例に適応があるかもしれない。(星田
デザイン 無作為割付け,多施設(英国,ノルウェー,ベルギー,ポーランドの10施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。
対象患者 190例。大動脈弁輪径≦25mmの大動脈弁置換術予定例。
除外基準:40歳未満,大動脈弁手術の既往,大動脈根部置換が必要なもの,追加弁修復あるいは置換が必要なものなど。
■患者背景:平均年齢(ステント弁群70.9歳,ステントレス弁群70.1歳),男性(49%,62%),体表面積(1.86m²,1.85m²),NYHA III~IV度(47%,43%),弁輪サイズ(23.2mm,23.6mm),弁サイズ(22.7mm,23.8mm),心筋梗塞既往(5%,7%)。
治療法 ステント弁群(97例):大動脈弁輪より上方(supra-annular)ステント,ステントレス弁群(93例)。
心エコーを手技前,退院前,6か月後,12か月後に実施。
結果 LVMIはステント弁群は試験開始時182g/m²→手技後168g/m²→ 6か月後131g/m²→ 12か月後123g/m²,ステントレス弁群176g/m²→手技後163g/m²→ 6か月後142g/m²→ 12か月後128g/m²で,各群内では有意に低下したが両群間に有意差はみられなかった。
心血管磁気共鳴でLVMIの変化を検討したサブ解析(38例)の結果も同様であった。
ステントレス弁群はステント弁群よりも大動脈弁圧較差が有意に下がり(p<0.001),開口部面積が有意に増加した(p<0.001)。臨床転帰は両群間に差はみられなかった。
★結論★開口部面積と大動脈弁圧較差においてステントレス弁群はステント弁群よりも有意に良好であったにもかかわらず,6か月後の左室重量の低下は両群同様で,これは12か月後も持続した。
文献
  • [main]
  • Perez de Arenaza D et al on behalf of the ASSERT (aortic stentless versus stented valve assessed by echocardiography randomized trial) investigators: Randomized comparison of stentless versus stented valves for aortic stenosis; effects on left ventricular mass. Circulation. 2005; 112: 2696-702. PubMed

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収載年月2006.02