循環器トライアルデータベース

ALPINE
Antihypertensive Treatment and Lipid Profile in a North of Sweden Efficacy Evaluation

目的 本態性高血圧患者において,廉価な利尿薬hydrochlorothiazide(+β遮断薬)とより高価なAII受容体拮抗薬candesartan(+Ca拮抗薬)とで代謝などへの長期的有効性を比較する。
評価項目は血圧,血糖,インスリン,脂質など。
コメント 新しいタイプの高価な降圧薬であるARB単独またはCa拮抗薬との併用は,古典的で廉価なサイアザイド系利尿薬単独あるいはβ遮断薬との併用よりも代謝面への影響を1年間の追跡期間で比較した試験である。ASCOT試験と類似しているが,大きな違いは古典的な薬剤群では利尿薬が先で,β遮断薬が追加併用薬であることで投与の順番が逆になっていることである。惜しむらくは心血管イベント発症をみているのではなく,単に代謝への影響から経済効果を論じているにすぎないことである。糖代謝への好影響がそのまま心血管イベント抑制につながらないことはSHEP Extension試験やVALUE試験が教えているところである。(桑島
デザイン 無作為割付け,二重盲検,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。
対象患者 393例。座位収縮期血圧140~179mmHgおよび/あるいは拡張期血圧90~104mmHg。
除外基準:特定の降圧薬の適応;全降圧薬の禁忌;脂質低下療法が必要なもの;糖尿病など。
■患者背景:平均年齢55歳,男性48%,降圧治療の既往なし370例(94%)。BMI(candesartan群27.8,hydrochlorothiazide群28.1),左室肥大(17.3%,16.5%),座位血圧(154.7/96.8mmHg,155.0/97.0mmHg),座位心拍数(70.6拍/分,69.8拍/分)。
治療法 4週間のプラセボ単盲検後,次の2群にランダム化。
hydrochlorothiazide群(196例):hydrochlorothiazide 25mgを投与し,目標血圧(65歳未満は<130/85mmHg,65歳以上は<140/90mmHg)より高い場合は,β遮断薬atenolol 50~100mgを追加投与。candesartan群(197例):candesartan 16mgを投与し,目標血圧より高い場合はCa拮抗薬felodipine 2.5~5.0mgを追加投与。その他の降圧薬の追加投与は不可。
結果 試験終了時にcandesartan単剤投与は29%,felodipine(平均投与量3mg)追加併用投与は71%。hydrochlorothiazide単剤投与は16%,atenolol(平均投与量68mg)追加併用投与は84%。
6か月後→ 12か月後の降圧度および心拍数は各群-20.9/-12.8mmHg→-21.0/-13.0mmHg,-23.9/-13.9mmHg→-22.8/-12.9mmHgと両群とも良好に降圧した。1年後の<140/90mmHg達成率はcandesartan群65%,hydrochlorothiazide群62%。心拍数は-2.1→-2.2拍/分,-6.8→-7.3拍/分。
インスリンはcandesartan群で-0.30mLU/L,hydrochlorothiazide群で+1.35mLU/L(p=0.003),血糖は-0.06mmol/L vs +0.13mmol/L(p<0.001)と,いずれもhydrochlorothiazide群で上昇,candesartan群は影響を与えなかった。
糖尿病の発症はcandesartan群1例,hydrochlorothiazide群8例(p=0.030),トリグリセリドの上昇,HDL-Cの低下はhydrochlorothiazide群の方が大きく,LDL-C/HDL-C,アポリポ蛋白B/アポリポ蛋白A-1比はhydrochlorothiazide群で上昇した。WHO定義のメタボリックシンドロームは5例 vs 18例(p=0.007)。有害事象はcandesartan群の方が少なく(p=0.020),症状(Subjective Symptoms Assessment)に大きな群間差はみられなかった。両群1例ずつ心筋梗塞が発症。
★結論★利尿薬(+β遮断薬)は代謝関連項目の悪化と関連したが,AII受容体拮抗薬(+Ca拮抗薬)はしなかった。短期的には高価な降圧薬治療でも代謝への影響を考慮すると長期的にはコストエフェクティブだと思われる。
文献
  • [main]
  • Lindholm LH et al: JMetabolic outcome during 1 year in newly detected hypertensives; results of the antihypertensive treatment and lipid profile in a north of Sweden efficacy evaluation (ALPINE study). J Hypertens. 2003; 21: 1563-74. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2005.12