循環器トライアルデータベース

UKPACE
United Kingdom Pacing and Cardiovascular Events

目的 高度の房室ブロックに対してペースメーカーを初めて植込む高齢者において,単腔ペーシングと二腔ペーシングの有用性を比較。
一次エンドポイントは全死亡。
コメント 房室ブロック例に対するペーシングモードは,生理的な二腔ペーシングが必ずしも優れているとは限らない。本研究の対象となった高齢者の房室ブロック例のペーシングモードの選択には再考を要する。(井上
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(英国の46施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は3年以上(死亡は中央値4.6年,その他の心血管イベントは中央値3年)。登録期間は1995年8月22日~'99年9月24日。
対象患者 2021例。70歳以上;高度(2度または完全)の房室ブロックのため初めてペースメーカーを植込む予定のもの。
除外基準:慢性心房細動(3か月未満の持続性心房細動は,除細動を受け洞調律があれば登録可),NYHA心機能分類IV度の心不全,高度の認知機能障害,全身の不動状態,進行癌。
■患者背景:平均年齢79.9歳,男性57%,第2度房室ブロック26.1%,完全房室ブロック73.3%,持続性徐脈61.3%,一過性徐脈38.2%,症候性83%。
治療法 ペースメーカー植込み24時間前までに,単腔ペーシング群(1009例)と二腔ペーシング群(1012例)にランダム化。さらに単腔ペーシング群は固定レート型ペーシング(504例):70拍/分,レート応答型ペーシング(505例):下限レート70拍/分,上限レート125拍/分にランダム化。二腔ペーシング群では,レート応答機能やその他のプログラム指標の調整については主治医にまかせた。AVディレイ150msec,下限レート60拍/分,上限レート125拍/分。
結果 植込み後5年間の全死亡の平均年間発生率は単腔ペーシング群7.2% vs 二腔ペーシング群7.4%(ハザード比0.96,95%CI 0.83~1.11,p=0.56),心血管死の平均年間発生率は3.9% vs 4.5%(p=0.07)であった。
植込み後18か月間の心房細動発症率は二腔ペーシング群で高かったが,3年間の平均年間発生率は単腔ペーシング群3.0% vs 二腔ペーシング群2.8%と有意差がなかった(p=0.74)。脳卒中+一過性脳虚血発作+血栓塞栓症の平均年間発生率は単腔ペーシング群2.1% vs 二腔ペーシング群1.7%(p=0.20)で,単腔ペーシング群の固定レート型ペーシング例では二腔ペーシング群に比べ有意に高かったが(2.5%,p=0.04),レート応答型ペーシング例では二腔ペーシング群と同等であった(1.7%,p=0.93)。心不全(3.2% vs 3.3%,p=0.80),新規発症狭心症,虚血性心疾患,心筋梗塞の平均年間発生率には2群間に有意差がなかった。手技関連の合併症(3.5% vs 7.8%,p<0.001),退院前のその他の合併症(6.1% vs 10.4%,p<0.001),治療的介入の必要(5.6% vs 8.8%,p=0.005),退院前の手技の再施行の必要頻度(2.5% vs 4.2%,p=0.04)は二腔ペーシング群で有意に高かった。
★結論★高度の房室ブロックを有する高齢患者において,ペーシングモード(単腔 vs 二腔)はペースメーカー植込み後5年間の全死亡,あるいは3年間の心血管イベンに影響しない。
文献
  • [main]
  • Toff WD et al for the United Kingdom pacing and cardiovascular events (UKPACE) trial investigators: Single-chamber versus dual-chamber pacing for high-grade atrioventricular block. N Engl J Med. 2005; 353: 145-55. PubMed

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収載年月2006.01