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持続性心房細動患者において,洞調律の回復と維持について抗不整脈薬amiodaroneとsotalolを比較する。 一次エンドポイントは,洞調律回復後の初回の心房細動再発までの期間。 |
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III群薬のamiodarone,sotalolといえども持続性心房細動の除細動効果はそれ程高いものではない。sotalolの特徴は虚血性心疾患例に対する有効性であり,患者の基礎心疾患の種類によって薬剤を選択する必要がある。(井上) |
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無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国退役軍人医療センター20施設),intention-to-treat解析。 |
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追跡期間は12~54か月。試験期間は1998年4月1日~2002年10月31日。登録期間は42か月。 |
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665例。心電図上で確認された72時間以上持続する心房細動がランダム化時点でも持続しており,抗凝固薬を投与されている外来患者。 除外基準:心房粗動/発作性心房細動,NYHA心機能分類III~IV度の心不全,クレアチニンクリアランス<60mL/分,β遮断薬の忍容性不良,QT延長症候群の既往,12か月以上の心房細動の既往。 ■患者背景:平均年齢67.1歳,男性98.9%,白人89.3%。 |
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amiodarone群(267例):800mg/日を14日投与後,600mg/日を14日,1年目の終わりまで300mg/日,以後200mg/日,sotalol群(261例):80mg×2回/日を1週間投与,以後160mg×2回/日,プラセボ群(137例)。 電気的除細動前のINRは2.0~3.0に安定しているものとし,心指数は60~90拍/分となるようdiltiazem,verapamil,digoxinで調整。ランダム化後28日までに自然洞調律化のない場合は最大4回の単相波直流除細動を実施。最終年には二相波除細動も実施。 |
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ランダム化後28日までの洞調律化はamiodarone群70例/258例(27.1%),sotalol群59例/244例(24.2%,p=0.45 vs amiodarone群),プラセボ群1例/132例(0.8%,p<0.001 vs amiodarone群,sotalol群)。直流除細動の不成功はそれぞれ27.7%,26.5%,32.1%(p=0.54)で,洞調律の回復は全体でそれぞれ79.8%,79.9%(p=0.98 vs amiodarone群),68.2% (p=0.01 vs amiodarone群,sotalol群)であった。 一次エンドポイントである心房細動再発までの期間の中央値はintention-to-treat解析でamiodarone群487日(p=0.002 vs sotalol群),sotalol群74日,プラセボ群6日(p=0.001 vs amiodarone群,sotalol群)であった。on-treatment解析ではそれぞれ809日,209日,13日であり,amiodarone群はsotalol群,プラセボ群(各p<0.001)より,sotalol群はプラセボ群(p<0.001)より有意に長かった。 虚血性心疾患例での一次エンドポイントはamiodarone群(569日)とsotalol群(428日)の間に差はなく(p=0.53),amiodarone群では非虚血性心疾患例で虚血性心疾患例に比べ心房細動再発までの時間が長かったが,sotalol群では逆の傾向がみられた。洞調律を回復した患者では心房細動持続患者に比べ,SF-36による身体機能,全体的健康感,社会生活機能のスコア,トレッドミル試験における安静時およびピーク時の心拍数が有意に少なく,運動持続時間が有意に改善した。有害事象は,小出血の発生率がamiodarone群(8.33件/100人・追跡期間)でsotalol群(6.37件/100人・追跡期間),プラセボ群(6.71件/100人・追跡期間)に比べ有意に高かった(p<0.04)以外には,治療群間で有意差はなかった。死亡率はamiodarone群+sotalol群で4.36例/100人・追跡期間,プラセボ群で2.84例/100人・追跡期間であった(p=0.13)。 ★結論★心房細動の洞調律化に関してamiodaroneとsotalolの有効性は同等である。洞調律の維持に関してはamiodaroneが優っているが,虚血性心疾患患者では両薬剤の有効性は同等である。洞調律維持によりQOLおよび運動能は改善する。 |
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- [main]
- Singh BN et al for the sotalol amiodarone atrial fibrillation efficacy trial (SAFE-T) investigators: Amiodarone versus sotalol for atrial fibrillation. N Engl J Med. 2005; 352: 1861-72. PubMed
- [substudy]
- 洞調律の回復,持続はQOL,運動パフォーマンス(EP)の改善と関連する。QOLとEP間には強い相関がみられた:J Am Coll Cardiol. 2006; 48: 721-30. PubMed
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