循環器トライアルデータベース

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Warfarin-Aspirin Symptomatic Intracranial Disease

目的 症候性の頭蓋内動脈狭窄患者において,aspirinとwarfarinの有効性をランダム化比較試験で検討する。
一次エンドポイントは脳梗塞,脳出血,脳卒中以外の血管死。
コメント 頭蓋内の主要動脈の動脈硬化性狭窄に対する適切な抗血栓療法については意見の一致をこれまでみてこなかったが,本研究の結果は永年の論争に一応の終止符を打つものである。ただし本研究で使用されたアスピリンの量の多さ,ワルファリン群のINRの管理上の問題および脱落例の多さなどの点に注意が必要である。(井上
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(北米の59施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は1.8年。登録期間は1999年2月~2003年7月18日(warfarin群において安全性に懸念が生じたため登録中止)。
対象患者 569例。40歳以上;血管造影上で確認された主要な頭蓋内動脈(頸動脈,中大脳動脈,椎骨動脈または脳底動脈)の50~99%の狭窄により90日以内に生じた一過性脳虚血発作(TIA)または障害を伴わない脳卒中;modified Rankin score 3以下のもの。
除外基準:頭蓋外頸動脈の50~99%の狭窄,非アテローム動脈硬化性の頭蓋内動脈狭窄,心原性塞栓,aspirin/warfarinの禁忌,ランダム化後のheparinの適応など。
■患者背景:平均年齢(aspirin群62.8歳,warafarin群64.3歳),男性(60.0%,63.0%),白人(57.9%,58.5%),血圧(139.0/76.6mmHg,140.6/77.1mmHg),高血圧既往(82.1%,86.1%),糖尿病既往(36.2%,39.8%),脂質代謝異常既往(68.6%,73.0%),冠動脈疾患既往(24.9%,29.2%),脳梗塞既往(21.4%,28.0%),狭窄度;50~69%(50.0%,49.8%);70~99%(37.3%,36.8%)。治療状況;スタチン(58.2%,63.7%),ACE阻害薬あるいはAII受容体拮抗薬(40.4%,41.9%)。
■本試験の対象:脳卒中(58.6%,63.3%),TIA(41.4%,36.7%)。
治療法 aspirin群(280例):腸溶コーティング剤650mg×2回/日,warfarin群(289例):5mg/日より投与を開始しINR 2.0~3.0を目標に用量調節。
消化不良などの副作用が生じた場合はaspirinを減量(最低用量325g/日)。イベント発生について毎月確認し,4か月ごとに神経科医が診察。
結果 一次エンドポイントはaspirin群22.1% vs warfarin群21.8%(warfarin群に比べたaspirin群のハザード比[HR] 1.04,95%信頼区間[CI ] 0.73~1.48,p=0.83)。
主要な心イベント(心筋梗塞/突然死)の発生はaspirin群2.9% vs warfarin群7.3%(HR 0.40,95%CI 0.18~0.91,p=0.02),死亡率は4.3% vs 9.7%(HR 0.46,95%CI 0.23~0.90,p=0.02),大出血は3.2% vs 8.3%(HR 0.39,95%CI 0.18~0.84,p=0.01)といずれもwarfarin群で有意に高かった。血管死は3.2% vs 5.9%(p=0.16),非血管死は1.1% vs 3.8%(p=0.05)であった。
warfarin群においてINR<2.0の患者では脳梗塞と主要な心イベントのリスクが有意に高く(各p<0.001),INR>3.0の患者では大出血のリスクが有意に高かった(p<0.001)。
★結論★warfarinの使用はaspirinを凌ぐ有効性をもたらさず,有害事象の発生率が有意に高かった。頭蓋内動脈狭窄患者に対してはwarfarinよりaspirinを使用すべきであると思われる。
文献
  • [main]
  • Chimowitz MI for the warfarin-aspirin symptomatic intracranial disease trial investigators: Comparison of warfarin and aspirin for symptomatic intracranial arterial stenosis. N Engl J Med. 2005; 352: 1305-16. PubMed
  • [substudy]
  • 血圧上昇は狭窄血管領域の脳梗塞および脳出血リスクと関連する:Circulation. 2007; 115: 2969-75. PubMed
  • 狭窄血管領域内で発症する脳卒中のリスクが最も高いのは狭窄率≧70%(p=0.0025),発症から早い(17日以内)段階の登録(p=0.028),女性(p=0.051)であった:Circulation. 2006; 113: 555-63. PubMed

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収載年月2005.06
更新年月2007.07