循環器トライアルデータベース

GIFA
Gruppo Italiano di Farmaco-epidemiologia nell'Anziano

目的 高齢心不全患者において,ACE阻害薬で治療を開始した場合に認知機能が改善するか否かを検討する。
コメント 慢性心不全患者の30~50%に認知機能の低下がみられると報告され,認知機能の障害はQOLの低下と死亡率の上昇に相関する。本研究はACE阻害薬の投与が高齢者心不全で認知機能を改善することを示したものであるが,血圧の程度に関係なく,投与量が多いほど,また投与期間が長いほど,改善効果が大きいことが明らかにされた。今後,心原性痴呆(cardiogenic dementia)の概念が注目されるかもしれない。(
デザイン 観察研究,多施設(イタリアの81施設)。
期間 入院から退院まで。
参加者 1220例。1991年,'93年,'95年,'97年の登録17,526例から入院前のACE阻害薬投与例2639例とデータ欠損のある2806例を除いた12,081例中の心不全を有する1220例。
■患者背景:平均年齢79歳,女性(ACE阻害薬使用群57%,非使用群53%),クレアチニン(106.1μmol/L,123.8μmol/L;p=0.001),収縮期血圧(153mmHg,140mmHg;p<0.0001)。併発疾患;冠動脈疾患(31%,23%;p=0.002),高血圧(31%,18%;p<0.0001),心房細動(27%,23%),糖尿病(24%,13%;p<0.0001),腎疾患(6%,11%;p=0.005)。治療状況;digitalis(80%,68%;p<0.0001),利尿薬(91%,73%;p<0.0001),硝酸薬(51%,41%;p<0.0001),抗血小板薬(12%,13%),Ca拮抗薬(26%,28%)。
調査方法 入院時および退院時にHodkinson Abbreviated Mental Test (AMT) 10項目(今,何時ですか? 誕生日はいつですか?など)で認知機能を評価。
ACE阻害薬で治療を開始した群(446例),ACE阻害薬非投与群(774例)。
結果 認知機能の改善はACE阻害薬で治療開始群30%,ACE阻害薬非投与群22%とACE阻害薬群で有意に改善した(p=0.001)。
非心不全例での改善度は19% vs 18%で両群間に有意差はみられなかった(p=0.765)。
心不全患者におけるACE阻害薬使用は多変量解析後も認知機能の改善と相関し[オッズ比(OR) 1.57;95%信頼区間1.18~2.08],ベースライン時および退院時の血圧とは独立していた。改善度の高い例は,投与量の多い例(中央値より高用量例のOR 1.90 vs 低用量例1.42;p for trend=0.001),投与期間の長い例(3分位の短期間例のOR 1.25,中間1.34,最長1.59;p for trend=0.007)。
★結論★心不全患者において,ACE阻害薬は選択的に認知機能を改善する可能性があるが,最大の有効性をもたらすためには高用量投与の必要があると思われる。

[主な結果]
  • Zuccala G et al for the GIFA study group: Use of angiotensin-converting enzyme inhibitors and variations in cognitive performance among patients with heart failure. Eur Heart J. 2005; 26: 226-33. PubMed

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収載年月2005.07