循環器トライアルデータベース

ALLIANCE
Aggressive Lipid-Lowering Initiation Abates New Cardiac Events

目的 冠動脈疾患(CHD)患者において,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる積極的脂質低下療法と通常治療とを比較する。一次エンドポイントはイベント(心臓死,非致死的心筋梗塞,心停止からの蘇生,血行再建術,入院を要する不安定狭心症)初発までの期間。
コメント LDL-C低下療法の意義が確立され,最近は,どこまで低下させるべきかという実際的な問題が浮上してきた。ガイドラインでは虚血性心疾患既往患者では100mg/dL未満を目指すべきであるとされているが,必ずしも十分なエビデンスがあったわけではない。本試験は安定した二次予防患者において,治療後のLDL-C:100mg/dL未満とそれ以上ではイベント発症率に有意な差が認められ100mg/dL未満という目標値を検証した大規模予防試験である。虚血性心疾患既往患者のLDL-Cの治療目標値の根拠を与えた試験と評価できる。(寺本
デザイン 無作為割付け,多施設(米国の16施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は51.5か月。実施期間は1995年7月6日~2002年7月17日。
対象患者 2442例。19歳以上のCHD:急性心筋梗塞発症から3か月を超えたもの,PTCA施行から6か月を超えたもの,CABG施行から3か月を超えたものあるいは不安定狭心症。脂質低下療法実施例ではLDL-Cが110~200mg/dLのもの,非実施例では130~250mg/dLのもの。
■患者背景:平均年齢(atorvastatin群61.1歳,通常治療群61.3歳),男性(82.2%,82.3%),白人(84.0%,83.8%),体重(88.9kg,88.5kg),冠動脈疾患(CAD)リスク:CAD家族歴(18.9%,20.9%);喫煙(19.6%,19.3%);糖尿病(23.2%,21.1%);血圧(134.2/78.9mmHg,134.7/78.7mmHg),LDL-C(147.0mg/dL,147.2mg/dL),既往歴:MI(60.1%,55.5%);PTCA(39.0%,38.9%);CABG(49.5%,49.6%);不安定狭心症(21.5%,20.6%)。うっ血性心不全(5.8%,7.4%),脳卒中(6.8%,6.4%),末梢血管血行再建術(4.2%,3.4%)。
治療法 atorvastatin群(1217例):それまでの脂質低下薬治療は中止し,10mg/日で投与を開始し,目標LDL-C値<80mg/dL到達まで最大80mg/日まで4週間ごとに投与量を倍増。他の脂質低下薬の併用は許可せず。通常治療群(1225例):脂質低下プログラムを維持。1997年の承認後はatorvastatin投与も可とした。
結果 脂質値の変化:LDL-Cはatorvastatin群で147mg/dL→ 95mg/dLへ34.3%有意に低下,通常治療群で147mg/dL→ 111mg/dLへ23.3%低下した(p<0.0001)。ATP IIIの目標値である<100mg/dL到達率は,72.4% vs 40.0%(p<0.001)であった。総コレステロールもatorvastatin群で有意に低下(p<0.0001)した。トリグリセリドの低下,HDL-Cの上昇において両群間に有意差はなかった。
エンドポイントの評価はatorvastatin群958例,通常治療群941例。
一次エンドポイントのイベント発生はatorvastatin群289例(23.7%),通常治療群333例(27.7%)でハザード比0.83(95%信頼区間0.71~0.97,p=0.02)。atorvastatin群での低下は主に非致死的MIの抑制によるものであった(4.3% vs 7.7%,p=0.0002)。
重篤な有害事象の発生はatorvastatin群40%,通常治療群42%で両群間に有意差はみられなかった。頻度の多かったものは両群とも胸痛,心房細動,肺炎,蜂巣炎,胃腸出血。アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼおよびアラニンアミノトランスフェラーゼ異常(正常上限値の>3倍)がatorvastatin群のみでそれぞれ8例(0.7%),16例(1.3%)みられた。これらの平均変化値(2.7U/L,3.1U/L)は臨床上影響を及ぼすものではなかった。
★結論★冠動脈疾患患者において,スタチンによる積極治療は通常治療よりも有効である。
文献
  • [main]
  • Koren MJ on behalf of the ALLIANCE investigators: Clinical outcomes in managed-care patients with coronary heart disease treated aggressively in lipid-lowering disease management clinics; the alliance study. J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 1772-9. PubMed

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収載年月2005.02