循環器トライアルデータベース

MUCHA
Multicenter Carvedilol Heart Failure Dose Assessment

目的 日本人の軽度~中等度の慢性心不全(CHF)患者におけるβ遮断薬carvedilolの至適用量を検討するため,2用量[5mg/日および20mg/日(分2)]の有効性および安全性を比較する。
一次エンドポイントはCHFの全般的改善率。二次エンドポイントは全死亡+心血管疾患(CVD)による入院,CVDによる入院,CHF悪化による入院,EFの変化,NYHA心機能分類の変化。
コメント 本試験は本邦で実施された治験である。5mg/日の低用量群でも20mg/日の高用量群と大差のない有効性が認められたが,左室駆出率の改善はMOCHA試験と同様に用量依存性に増大がみられたため,やはり20mg/日まで増量するのが望ましいと考えられる。20mg/日でも欧米の投与量の約1/2であり,日本人は少用量でも有効であることを示している。さらにこの点を検証すべく現在,J-CHF試験が進行中である。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設。
期間 治療期間1996年10月28日~2000年3月17日。
対象患者 174例。20~79歳;症状が安定した虚血性,非虚血性を問わない心筋症;NYHA心機能分類II~III度;EF≦40%。
除外基準:弁膜症,閉塞性肥大型心筋症,心原性ショック,収縮期血圧<90mmHg,徐脈(<60拍/分),II~III度の房室ブロック,致死的不整脈,不安定狭心症,安静時狭心症,肺性心,喘息,レイノー現象,間欠性跛行,3か月以内の心筋梗塞またはCABG施行。
■患者背景:平均年齢(プラセボ群62歳,5mg/日群59歳,20mg/日群60歳),男性(82%,77%,74%),非虚血性CHF(76%,75%,71%),NYHA II度(80%,81%,75%),EF(29%,30%,30%)。治療薬投与状況:ACE阻害薬(80%,81%,70%),利尿薬(84%,85%,88%),digitalis(59%,70%,65%)。
治療法 オープンラベルで2.5mg/日(分2)を1~2週投与し,さらに5.0mg/日(分2)に増量し2週以上投与する導入期間後,次の3群に1:1:2の割合でランダム化。プラセボ群(49例),carvedilol 5.0mg/日(分2)群(47例),20mg/日(分2)群(77例):1~2週ごとに段階的に20mg/日まで増量していく。その後,全群で維持用量を24~48週投与。24週以上の維持用量投与を完了した時点で全例で投与量の減量を開始。
結果 ランダム化された174例のうち,20mg/日群の1例を除く173例を解析対象とした。
一次エンドポイント(改善率)はプラセボ群36.7%,5mg/日群44.7%,20mg/日群59.7%(p for trend=0.010)。プラセボ群と比較して20mg/日群で有意に高かった(p<0.05)。
carvedilolはすべてのエンドポイントを用量依存的に改善した。全死亡+CVDによる入院はそれぞれの群で24.5%,8.5%,5.2%(p for trend=0.002)で,5mg/日群ではプラセボ群に比べハザード比(HR)0.29でリスクが71%低下(p=0.024),20mg/日群ではHR 0.20で80%低下(p=0.002)。CVDによる入院は24.5%,4.3%,3.9%(p for trend<0.001)で,5mg/日群のHRは0.14で86%低下(p=0.003),20mg/日群ではHR 0.15で85%低下(p<0.001)。CHF悪化による入院はそれぞれ20.4%,2.1%,2.6%(p for trend<0.001)で,5mg/日群のHRは0.09で91%低下(p=0.004),20mg/日群ではHR 0.12で88%低下(p<0.001)。
全死亡またはCVDによる入院に対するcarvedilolの効果は,サブ解析でも認められた。EF(改善度それぞれ6.6%,8.7%,13.2%:p for trend=0.018)およびNYHA心機能分類(p for trend=0.046)についても,carvedilolによる用量依存性の有意な改善が認められた。
有害事象の発生率(63.3%,51.1%,59.7%)は,有意差はないもののcarvedilol両群で低かった。20mg/日群で高頻度にみられた有害事象は,めまい,上気道感染,糖尿病の悪化,動悸,頭痛,低血圧であった。
★結論★日本人の軽度~中等度のCHF患者において,carvedilolはCHFおよびEFを用量依存的に改善し,CVDによる入院を顕著に減少させた。carvedilol 5mg/日の低用量でも20mg/日には劣るものの有効性が認められた。
文献
  • [main]
  • Hori M et al on behalf of the MUCHA investigators: Low-dose carvedilol improves left ventricular function and reduces cardiovascular hospitalization in Japanese patients with chronic heart failure; the multicenter carvedilol heart failure dose assessment (MUCHA) trial. Am Heart J. 2004; 147: 324-30. PubMed

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収載年月2005.04