循環器トライアルデータベース

PAMI-No SOS
Primary Angioplasty in Acute Myocardial Infarction at Hospitals with No Surgery On-Site Study

目的 血栓溶解療法の可能な高リスクの急性心筋梗塞(AMI)患者において,心臓手術設備のない(no cardiac surgery on-site:No SOS)病院でprimary血管形成術(PA)を施行した場合の臨床転帰が,Air PAMI(Air Primary Angioplasty in Myocardial Infarction)Studyにおいて緊急インターベンションのための搬送群にランダム化された患者と同様であるか,また,より短い時間で再灌流が得られるかを検討。
一次エンドポイントは30日後の主要な有害心イベント(MACE):死亡+非致死的再梗塞+介護の必要な脳卒中。
コメント 米国ではわが国と比べて,急性心筋梗塞の治療に血栓溶解療法が数多く行われている。この論文の中で指摘されているが,カテーテルインターベンション(PCI)が血栓溶解療法よりも成績が良いことが明らかになるにつれ,PCIを行える施設がもっと増える必要が出てきた。心臓外科のバックアップのない施設でもPCIが安全に施行できれば,遠く離れた心臓外科のバックアップのある施設まで搬送する必要はない。急性心筋梗塞の治療に主としてPCIが行われてきたわが国の状態に近づきつつあると言えなくはないだろうか。(中村中野永井
デザイン 非無作為割付け,多施設(No SOS病院として米国の19施設,Air PAMI Studyにおける搬送PA群の受入れ病院として米国の13施設)。
期間 登録期間は1996年8月~'98年6月(Air PAMI Studyのランダム化期間は1996年8月~'99年3月)。追跡期間は1年。
対象患者 571例(No SOS病院におけるon-site PA群500例,Air PAMI Studyの搬送PA群71例)。AMIの臨床診断を受け(30分以上12時間未満の臨床症状の持続,ECG上のST上昇の証拠/新規の左脚ブロック),血栓溶解療法が可能であり,次のうち1つ以上の高リスク因子(71歳以上,前壁MI,ECG上の左脚ブロック,心拍数>100拍/分,体液量減少を伴わず収縮期血圧(SBP)<100mmHg,Killip分類class II,IIIのうっ血性心不全)を有するもの。
除外基準:血栓溶解療法不能(6か月以内の脳卒中/一過性脳イベント,2か月以内の主要な手術/胃腸出血,≧10分の心肺蘇生/結果としての肋骨骨折,SBP>200mmHg/拡張期血圧110mmHg),心原性ショック,生存の見込みが1年未満など。
■患者背景:年齢(搬送PA群62歳,on-site PA群64歳),男性(76%,71%),前壁MI(77%,52%;p<0.0001)。
治療法 登録直後よりheparinボーラス静注を開始し(継続注入は行わない),心臓カテーテル室に搬入後,冠動脈造影,左心室造影を行い,最小の残存狭窄にて正常な冠血流を回復することを目標としてインターベンションを実施。残存狭窄>30%,冠動脈解離の場合はステントを推奨。活性化凝固時間>350秒(血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬使用の場合は200~250秒)を維持し,血栓溶解薬の使用は推奨しない。経鼻酸素投与,nitroglycerin,aspirin(325mg)経口投与,β遮断薬静注を推奨。抗不整脈薬,Ca拮抗薬のルーチン投与はなし。1か月,6か月,1年後のデータを電話にて収集し,症例報告,入院記録をPAMI Coordinating Centerで監視。
結果 救急治療室到着から初回のバルーン拡張までの時間は,搬送PA群がon-site PA群に比べ平均67分遅れた(187分 vs 120分,p<0.0001;中央値166分vs 105分,p<0.0001)。搬送PA群のカテーテル実施は100%,PA実施は87%,on-site PA群では各100%,88%であった。ACE阻害薬(搬送PA群68% vs on-site PA群54%,p=0.034)の投与率は搬送PA群の方が高かったが,β遮断薬(51% vs 81%,p<0.0001),abciximab(20% vs 41%,p=0.0005)投与率,ステント植込み率はon-site PA群で高かった(34% vs 53%,p=0.003)。冠動脈造影上の転帰は搬送PA群よりon-site PA群の方が良好であった(TIMI grade 3:86% vs 96%,p=0.004,最終狭窄:18% vs 9%,p=0.001)。合併症の発症は両群で有意差がなかった。入院期間は搬送PA群よりon-site PA群で短かった(6.1日vs 5.2日,p=0.10)。
一次エンドポイントは搬送PA群6例(8.5%)vs on-site PA群27例(5.0%)で両群間に有意差は認められなかった(低下38%,p=0.27)。しかしon-site PA群で強い死亡抑制傾向がみられた(8.5% vs 3.4%,p=0.054)。
★結論★on-site PA群ではAir PAMI Studyの搬送PA群より早い時間で再灌流が得られ,30日後の転帰は同様であった。高リスクのAMI患者に対しNo SOS病院でprimary血管形成を行うことは安全かつ有効であり,手術設備を有する病院に搬送後のPAよりも有意に早く行うことができる。
文献
  • [main]
  • Wharton TP et al: Primary angioplasty in acute myocardial infarction at hospitals with no surgery on-site (the PAMI-No SOS study) versus transfer to surgical centers for primary angioplasty. J Am Coll Cardiol. 2004; 43: 1943-50. PubMed

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収載年月2005.02