循環器トライアルデータベース

ESTABLISH
Early Statin Treatment in Patients with Acute Coronary Syndrome: Demonstration of the Beneficial Effect on Atherosclerotic Lesions by Serial Volumetric Intravascular Ultrasound Analysis during Half a Year after Coronary Event

目的 急性冠症候群(ACS)において,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる早期積極的脂質低下療法の未治療病変のプラーク容積への影響を検討する。
コメント 本試験はわが国で行われたいわゆる二次予防試験である。血管内超音波法(IVUS)でのプラーク容積を評価項目としているため,少数例でも統計学的に有意差を出しえたものと考えられる。対照群ではプラークの進展が見られたのに対し,強力にLDL-Cを低下させることが動脈硬化進展抑制効果を発揮することを示したことは,極めてインパクトのある結果である。一つはLDL-Cを70mg/dLまで下げることがプラーク進展を抑制すること,第二にLDL-Cが125mg/dL未満でも治療することの意義を示したということで,2004年に発表された米国のNCEP ATP IIIのレポートにおけるLDL-C 70mg/dL以下を治療目標値にすることも一つの選択肢であるとしたレポートを支持するものである。また,現在はわが国の保険制度では認められていないLDL-C 125mg/dLでも高脂血症治療をする意義を示したという点で,今後の治療基準にも影響を与える結果ととらえることができる。(寺本
デザイン 無作為割付け,オープン,単施設(日本)。
期間 追跡期間は6か月。登録期間は2001年11月~'03年8月。
対象患者 70例。冠動脈造影で有意な狭窄が認められるACSでPCI(percutaneous coronary intervention)施行例。ACSの定義は高リスク不安定狭心症,非ST上昇型心筋梗塞(MI)あるいはST上昇型MI。
除外基準:PCI不成功例,グラフト病変,CABG推奨例,心原性ショック,脂質低下薬(スタチン,clofibrate,probucolあるいはanalog,ニコチン酸など)投与例。
■患者背景:年齢(atorvastatin群61.3歳,対照群62.5歳),男性(両群85.7%),BMI(24.9kg/m²,24.0kg/m²),冠動脈疾患(CAD)既往(両群14.3%),高血圧(両群54.3%),糖尿病(34.3%,31.4%),喫煙(68.6%,54.2%),CAD家族歴(17.1%,34.3%),急性心筋梗塞(63%,74%);ST上昇型(48.6%,51.4%);非ST上昇型(14.3%,22.9%),不安定狭心症(37%,26%),1枝病変(60%,51%),左冠動脈前下行枝(69%,63%),ACE阻害薬,AT1受容体拮抗薬使用(両群40%),β遮断薬(40%,54%)。
治療法 PCI施行後,atorvastatin群(35例):20mg/日投与,通常治療(対照)群(35例):脂質低下食,通院時にLDL-Cが>150mg/dLであった場合は脂肪吸収抑制薬の投与を開始。
試験開始時と6か月後にIVUSを実施し,プラーク容積(血管容積マイナス血管内腔容積)をserial volumetric評価した。
PCIに伴う抗血小板療法は,周術期にheparin静注,aspirin 162mgを経口投与し,術後にaspirin 100mg/日,ticlopidine 100mg×2回/日を>3週間,cilostazol 100mg×2回/日を4日間投与。
結果 追跡例はatorvastatin群33例,対照群32例。
総コレステロールはatorvastatin群:ベースライン時191.8→ 6か月後141.1mg/dLで25.2%低下(p<0.0001),対照群:190.7→ 190.9mg/dLで3%上昇,HDL-Cはそれぞれ45.5→ 46.6mg/dL,44.3→ 47.4mg/dL,LDL-Cは124.6→ 70.0mg/dLで41.7%低下,123.9→ 119.4mg/dLで0.7%上昇(p<0.0001),トリグリセリドは108.7→ 122.5mg/dL,112.3→ 120.4mg/dL,アポリポ蛋白Bは91.7→ 66.1mg/dL,90.4→ 92.6mg/dL(p<0.0001),アポリポ蛋白Eは3.88→ 3.31mg/dL,3.92→ 4.34mg/dL(p=0.0001)。
プラーク容積はatorvastatin群で13.1%減少,対照群で8.7%増加し,atorvastatin群で有意に減少した(p<0.0001)。プラーク容積の減少率はLDL-C値(R=0.456,p=0.0011)およびLDL-C低下率(R=0.612,p<0.0001)と有意に正の相関が認められた。この相関はLDL-C<125mg/dL例でもみられた。
主要な有害冠イベントは両群それぞれ8例で,すべてが狭心症再発(atorvastatin群24.2%,対照群25.0%)を伴う再狭窄による標的血管血行再建術の施行で,心臓死,標的血管関連死は発生しなかった。
★結論★ACS例において6か月間のatorvastatinによる早期積極的脂質低下療法はプラーク容積を有意に減少した。プラーク容積の変化率はLDL-Cが高くない例でもLDL-C低下率と有意な正の相関関係にあった。
文献
  • [main]
  • Okazaki S et al: Early statin treatment in patients with acute coronary syndrome: demonstration of the beneficial effect on atherosclerotic lesions by serial volumetric intravascular ultrasound analysis during half a year after coronary event; the ESTABLISH study. Circulation. 2004; 110: 1061-8. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2005.01