循環器トライアルデータベース

VESPA
Verapamil Slow-Release for Prevention of Cardiovascular Events After Angioplasty Trial

目的 PCI(percutaneous coronary intervention)後の臨床転帰および冠動脈造影上の再狭窄に対するCa拮抗薬verapamilの有効性を検討。
臨床の一次エンドポイントは死亡+心筋梗塞(MI)+標的血管の血行再建術(TVR)の再施行。冠動脈造影上の一次エンドポイントは晩期血管径損失。
コメント PCI後の再狭窄予防は薬剤溶出ステント(DES)に代表される局所の薬物療法が主流である。動物実験で有用と考えられる薬剤の全身投与が臨床的に効果が認められないのは局所での薬物濃度が低いためと考えられている。しかし,Ca拮抗薬は用量依存的に平滑筋の形質変換や増殖を抑制し,5つの小規模studyのメタアナリシスでは全身投与により再狭窄を30%有意に低下させた。本研究では症例数を増やしてPCI後のverapamilの効果を検討しており,標的血管の血行再建術の頻度と高度狭窄率を有意に低下させている。再狭窄の進展メカニズムには高度狭窄をもたらすものとそうでないものの2つが知られており,verapamilは前者に対して有用性を示すと考えられる。本研究の問題点としては,スクリーニング例(13567例)の5.2%しかエントリーされなかった試験デザインにある。急性冠症候群や再狭窄・閉塞病変などのハイリスク例は除外されている。verapamilは抗狭心症薬であり症状が緩和され,標的血管の血行再建術は少なかった可能性もある。全身投与でDESに匹敵する結果を示す薬剤の出現が期待される。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ドイツ,フランス),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は臨床転帰が1年,冠動脈造影所見は6か月。
対象患者 700例。35~80歳。native冠動脈に対するPCIが成功したもの(残存狭窄が目測で<30%)。
除外基準:再狭窄病変,閉塞,バイパスグラフト病変,左主幹部病変,不安定狭心症,急性心筋梗塞,臨時目的および多段階のPCI,インスリン依存性糖尿病,腎機能不全,洞不全症候群,房室結節ブロック,うっ血性心不全および/またEF<40%,重度の併発症,verapamilの禁忌など。
■患者背景:平均年齢(verapamil群60.6歳,プラセボ群60.1歳),女性(17.0%,18.5%),多枝病変(48.0%,44.9%)。
治療法 PCI施行後30分以内にverapamil群(348例):徐放錠240mg×2回/日,またはプラセボ群(352例)にランダム化し,6か月後のフォローアップ冠動脈造影の3日前まで投与。
全例にaspirin 100mg/日を無期限に,ステント施行例にはticlopidine 250mg×2回/日またはclopidogrel 75mg/日を4週間投与。施行直後にthienopyridinesの投与を開始。
結果 追跡は臨床転帰が95%,冠動脈造影は94%で完了。ステント植込み例は83%。
臨床の一次エンドポイントは,verapamil群67例(19.3%) vs プラセボ群103例(29.3%)[相対リスク(RR)0.66,95%信頼区間(CI)0.48~0.89,p=0.002]で,verapamil群の有効性は同群におけるTVRの減少によるものであり(17.5% vs 26.2%,RR 0.67,95%CI 0.49~0.93,p=0.006),死亡とMIの発生に両群間差はなかった。
冠動脈造影では一次エンドポイントである平均晩期血管径損失は,verapamil群0.74mm vsプラセボ群0.81mmで両群間に有意差はなかった(p=0.11)。血管径≧75%の再狭窄はverapamil群で有意に減少したが(7.8% vs 13.7%,RR 0.57,95%CI 0.35~0.92,p=0.014),≧50%の再狭窄については有意差はなく減少傾向であった(25.7% vs 32.3%,RR 0.79,95%CI 0.59~1.06,p=0.06)。
★結論★verapamilはプラセボに比べ,native冠動脈に対するPCI後の高度な再狭窄の発生率を低下させることでTVRの必要性を減少させ,長期の臨床転帰を改善する。
文献
  • [main]
  • Bestehorn HP et al: Evaluation of the effect of oral verapamil on clinical outcome and angiographic restenosis after percutaneous coronary intervention: the randomized, double-blind, placebo-controlled, multicenter verapamil slow-release for prevention of cardiovascular events after angioplasty (VESPA) trial. J Am Coll Cardiol. 2004; 43: 2160-5. PubMed

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収載年月2004.11