循環器トライアルデータベース

PENTUA
Pentasaccharide in Unstable Angina Study

目的 急性冠症候群(ACS)において,活性化凝固第X因子を選択的に阻害する合成五糖類fondaparinuxの4用量とenoxaparinを比較する用量設定(phase 2)試験。
有効性の一次エンドポイントは9日までの死亡+急性心筋梗塞(MI)+症候性/無症候性心筋虚血の再発。安全性の一次エンドポイントは9日までの大出血。
コメント 非ST上昇型急性冠症候群(ACS)において,非分画ヘパリン/低分子量ヘパリンとアスピリンは標準的治療である。しかし,これらの治療によっても発症後1週間で5~15%の患者が心筋梗塞を発症したり死亡したりする。ヘパリンは種々の血漿因子と相互反応を示すが,fondaparinuxは選択的に抗トロンビンと結合し,活性化第X因子を急速に阻害する。半減期は15時間で薬効動態的に個人差が少なく,1日1回投与が可能で血液検査のモニターは不要である。fondaparinuxは低分子量ヘパリンに比し整形外科領域の術後の静脈血栓塞栓症を用量依存的に有意に抑制する。急性心筋梗塞を対象に血栓溶解法とfondaparinuxを併用したPENTALYSE studyにおいてはfondaparinuxの用量反応性は認められていない(Eur Heart J 2001; 22: 1716-24)。本研究ではfondaparinuxの用量設定試験により2.5mg/日の低用量でも低分子量ヘパリンと同等の効果が非ST上昇型ACSにおいて認められている。2.5mg/日以下の用量での有効性が明らかになれば出血性合併症が少ないので,低分子量ヘパリンに対する優越性がより明確となる。(星田
デザイン 無作為割付け,二重盲検,ダブルダミー,多施設(オランダ,ベルギー,ポーランド,フランス,ドイツ),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。ランダム化期間は1999年7月~2001年1月。
対象患者 1138例(per-protocol解析対象は929例)。年齢>21歳,体重<120kg。持続的なST上昇のないACS。安静時または最小の労作時に狭心症を有し,最近のエピソードから24時間以内で,dynamicなST変化または≧0.1mVの下降,および/またはトロポニンTまたはIの>0.1ng/mLの上昇を伴うもの。
除外基準:再灌流療法を要するST上昇,ST-T変化の解釈が不確かとなるようなECGパターン,24時間以内のPCI/48時間以内のCABG施行予定,>12時間の抗凝固療法,抗凝固療法の禁忌,高血圧未管理例,血清クレアチニン>160μmol/L,血小板数<100×109/L。
■患者背景:dynamicなST変化47%,ST下降54%,トロポニンT上昇(>0.1ng/mL )41%,トロポニンT>0.3ng/mL 22%,トロポニン上昇およびST異常20%,aspirin使用58%,非分画/低分子量heparin(LMWH)使用42%,脂質低下薬使用5%。
治療法 fondaparinux(各1日1回皮下投与) 2.5mg群(229例):体重が<50kgの場合2mg,>100kgの場合3mg,4mg群(220例):<50kgは3mg,>100kgは5mg,8mg群(225例):<50kgは6mg,>100kgは10mg,12mg群(234例):<50kgは9mg,>100kgは15mg,enoxaparin群(230例):1mg/kg×2回/日皮下投与,の5群にランダム化。
ダブルダミーとして各群にプラセボ注射(初回用量は静注)。全例にaspirin 75~160mg/日を投与。
結果 治療期間は3~8日(中央値5日)。治療薬の併用状況は,硝酸薬95%,β遮断薬91%,脂質低下薬54%,ACE阻害薬45%,Ca拮抗薬40%。
死亡率は1.1%と低く,致死性の出血は発生しなかった。一次エンドポイントの発生率に用量依存性はなく,intention-to-treat解析でfondaparinux 2.5mg群27.9%,4mg群35.9%,8mg群34.7%,12mg群30.3mg,enoxaparin群35.7%と治療群間に有意差はなく,per-protocol解析では30.0%,43.5%,41.0%,34.8%,40.2%であり,2.5mg群の発生率は4mg群,8mg群,enoxaparin群に比べ有意に低かった(p<0.05)。治療群間差は主に再発性虚血の減少によるもので,治療開始後3日までに明らかとなり,以後30日まで持続した。死亡,死亡とMIの発生は,9日,30日後とも治療群間に有意差はなかった。出血率は低く,群間に有意差はなかったが,2.5mg群とenoxaparin群では重大な出血はなかった。投与後3日の血漿中fondaparinux濃度が最低の患者群では,死亡,MI,再発性心筋虚血の発生率が最低であったが,出血との相関はみられなかった。
★結論:★fondaparinux 2.5~12mg/日投与に用量依存性はみられず,有効性および安全性はenoxaparinと同様であることが示唆された。出血性合併症の頻度は低かった。ACS患者に対する今後のfondaparinux試験では最低投与量2.5mg/日を加えるべきだと思われる。
文献
  • [main]
  • Simoons ML et al for the PENTUA investigators: A dose-finding study of fondaparinux in patients with non-ST-segment elevation acute coronary syndromes; the pentasaccharide in unstable angina (PENTUA) study. J Am Coll Cardiol. 2004; 43: 2183-90. PubMed

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収載年月2004.11