循環器トライアルデータベース

ACE
Abciximab and Carbostent Evaluation Trial

目的 ST上昇型急性心筋梗塞(AMI)患者において,通常の梗塞関連動脈(IRA)ステントの補助的療法としての血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬 abciximabの生存率および主要な心有害イベント(MACE)に対する効果を検討。一次エンドポイントは,1か月後の全死亡+非致死的再梗塞+標的血管の血行再建術(TVR)+脳卒中。
コメント 本研究はRAPPORT,ISAR-2,ADMIRAL,CADILLAC trialに次いで,AMIに対するprimary PCIにおける血小板GP IIb/IIIa阻害薬(abciximab)の有用性に関する5つ目の大きなトライアルである。本研究を含むすべてのトライアルで30日後のMACE(総死亡+MI+TVR)改善効果は一致しているが,6か月までの効果継続については,CADILLACでの死亡+MI増加が示す通り,トライアルによって結論が異なっている。その相違を生む要因として,RAPPORT,ADMIRALでの心カテ前のabciximab投与や,ISAR-2,ADMIRAL,ACEとCADILLACとの登録基準の違いを指摘する意見もある。つまり,より高リスク症例に対してより早期にabciximab投与を開始する方が,その効果が際立つようである。abciximabによってもたらされる早期再灌流はそれ自体が予後の改善につながるだけでなく,責任冠動脈の全貌が明らかになることでPCIが容易になり,遠位塞栓などの合併症の低減が期待できる。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,非盲検,プラセボ対照,多施設(3か国4施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。実施期間は2001年1月~2002年8月。
対象患者 400例。ECG上2つ以上の近接誘導で0.1mV以上のST上昇を伴い30分以上持続する胸痛,発症後6時間以内または虚血の継続の証拠がある場合は6~24時間以内の入院,顕著な心室機能不全による心原性ショック。
除外基準:以前の血栓溶解療法またはabciximab治療,試験薬によるアレルギーまたは出血素因,15日以内の大手術,出血例,冠動脈造影でIRA参照径が目測で<2.5mm,IRAステント植込み既往,TIMI grade 3でIRA<70%の狭窄,IRA確認不能など。
■患者背景:年齢中央値(ステント群63歳,abciximab群64歳),男性(79%,76%),心原性ショック(10%,8%),非低リスク(67%,65%),発症から再灌流までの時間の中央値(4.17時間,3.73時間),TIMI grade 0~1(75%,78%)。
治療法 ステント+abciximab群(200例):carbofilm被覆ステント(Carbostent,SORIN社,イタリア)植込み直前にabciximab 0.25mg/kgをボーラス投与後,0.125μg/kg/分で12時間点滴およびheparin(70U/kgボーラス投与で開始後12時間継続,手技中の活性化凝固時間200~300秒を達成するように追加ボーラス投与。ステント群(200例):ステント+プラセボおよびheparin(70Uボーラス投与後2日間継続,手技中の活性化凝固時間300秒以上を達成するよう追加ボーラス投与)。
カテーテル前にaspirin 325mg経口投与または250mg静注。手技直後にticlopidine 500mgまたはclopidogrel 300mgを投与し,aspirin 325mg/日を無期限に,ticlopidine 500mg/日またはclopidogrel 75mg/日を1か月間投与。
結果 一次エンドポイントはステント+abciximab群4.5%,ステント群10.5%とabciximab併用群で低かった(p=0.023)。abciximab群へのランダム化は一次エンドポイントのリスクの独立した関連因子だった(オッズ比0.41,95%信頼区間0.17-0.97,p=0.041)。死亡率はabciximab群3.5% vs ステント群4%と両群で同様(p=0.792),再梗塞率はabciximab群0.5% vs ステント群4.5%(p=0.010)。TVR施行率に両群間差はなかった(0.5% vs 1.5%,p=0.315)。6か月後の死亡は4.5% vs 8%(p=0.148),6か月後の死亡および再梗塞率は5.5%,13.5%でabciximab群で低かった(p=0.006)。
早期のST消失はabciximab群で有意に多かった(85% vs 68%,p<0.001)。1か月後のtc-99m sestamibi心筋血流シンチグラフィによる梗塞サイズはabciximab群の方が小さかった。
★結論★ステント+abciximabは,AMI患者におけるprimary PTCA,特に高リスク例のルーチン再灌流法として考慮すべきである。
文献
  • [main]
  • Antoniucci D et al: A randomized trial comparing primary infarct artery stenting with or without abciximab in acute myocardial infarction. J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 1879-85. PubMed
  • [substudy]
  • 1年後の結果(394例):1年後の生存率はステント+abciximab群95%,ステントのみ群88%(p=0.017)。再梗塞は1% vs 6%。標的血管の血行再建術率は両群間に差はなかった(16.5% vs 17.5%): Circulation. 2004; 109: 1704-6. PubMed

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収載年月2004.11