循環器トライアルデータベース

COMPANION
Comparison of Medical Therapy, Pacing, and Defibrillation in Heart Failure

目的 心室内伝導遅延を有する進行した心不全患者において,ペースメーカーによる心臓再同期治療(CRT)+至適薬物療法,ペースメーカー・除細動器によるCRT+至適薬物療法,至適薬物単独療法とを比較。
一次エンドポイントは全死亡および全入院。
コメント 心室内伝導遅延を伴う心不全の治療に,心臓再同期療法は薬物療法に勝り,ICD機能を併用すると死亡を抑制することができ,新しい治療の選択伎が増えた。(井上
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(米国の128施設),intention-to-treat解析。
期間 2000年1月20日登録開始,2002年12月1日追跡終了。
対象患者 1520例。虚血性または非虚血性心筋症によるNYHA心機能分類III~IV度の心不全,EF≦0.35,心電図上でQRS間隔≧120msecおよびPR間隔>150msec,洞調律,ペースメーカーまたは植込み型除細動器の臨床的な適応なし,心不全による入院例または過去12か月の入院例。
■患者背景:平均年齢(薬物療法群68歳,ペースメーカー群67歳,ペースメーカー・除細動器群66歳),男性(69%,67%,67%),NYHA心機能分類III度(82%,87%,86%),心不全罹病期間(3.6年,3.7年,3.5年),EF(0.22,0.20,0.22)。
治療法 至適薬物療法群(308例):利尿薬(不要な場合を除く),ACE阻害薬(忍容性がない場合はAII受容体拮抗薬),β遮断薬(忍容性がない場合や禁忌の場合を除く),spironolactone(忍容性がない場合を除く),ペースメーカー群(617例):薬物療法+ペースメーカー(Contak TR 1241,Guidant社)植込みによる両室ペーシング,ペースメーカー・除細動器群(595例):ペースメーカー・除細動器(Contak CD 1823,Guidant社)植込みによる両室ペーシングおよび除細動。ペーシングモードはVDDに設定。
結果 植込み成功率はペースメーカー群87%(539例/617例),ペースメーカー・除細動器群91%(541例/595例)。植込み所要時間164分,176分。植込みに伴いそれぞれ5例(0.8%),3例(0.5%)が死亡。脱落率は薬物群26%,ペースメーカー群6%,ペースメーカー・除細動器群7%,脱落時の一次エンドポイント非発生率は13%,2%,2%。一次エンドポイントまでの追跡期間中央値は薬物療法群11.9か月,ペースメーカー群16.2か月,ペースメーカー・除細動器群15.7か月。
12か月後の一次エンドポイントは,薬物療法群68%,ペースメーカー群56%[ハザード比(HR)0.81,95%信頼区間(CI)0.69-0.96,p=0.014],ペースメーカー・除細動器群56%(HR 0.80,95%CI 0.68-0.95,p=0.010)。心不全による一次エンドポイントは薬物療法群に比べ,ペースメーカー群で34%低下(p<0.002),ペースメーカー・除細動器群で40%低下した(p<0.001)。
二次エンドポイント(全死亡)はペースメーカー群で24%低下(p=0.059),ペースメーカー・除細動器群で36%低下(p=0.003)。中等度~重度の有害事象は,薬物療法群61%,ペースメーカー群66%(対薬物療法群p=0.15),ペースメーカー・除細動器群69%(p=0.03)。
★結論★QRS間隔延長を有する進行した心不全患者において,ペースメーカーによるCRTは全死亡および全入院のリスクを低下,植込み型除細動器を併用した場合は死亡率を有意に低下させる。
文献
  • [main]
  • Bristow MR et al for the comparison of medical therapy, pacing, and defibrillation in heart failure (COMPANION) investigators: Cardiac-resynchronization therapy with or without an implantable defibrillator in advanced chronic heart failure. N Engl J Med. 2004; 350: 2140-50. PubMed
  • [substudy]
  • ICD機能の併用の有無を問わず,心臓再同期療法は入院リスクを低下。
    全入院:ペースメーカー(+薬物療法)群21%/患者/年低下,ペースメーカー・除細動器群25%/患者/年低下,心疾患による入院:34%/患者/年低下,37%/患者/年低下,心不全による入院:44%/患者/年低下,41%/患者/年低下。同様の低下は入院期間/患者/年にもみられた:Circulation. 2009; 119: 969-77. PubMed
  • NYHA IV度の症例(217例)において,一次エンドポイントはCRT(HR 0.64;95%CI 0.43~0.94,p=0.02),CRT-D(0.62;0.42~0.90,p=0.01),いずれの群でも有意に低下したが,全死亡抑制効果の方が大きい傾向がみられた。突然死はCRT-D群で有意に低下したが,心不全死は両群で有意な低下は認められなかった:Circulation. 2007; 115: 204-12. PubMed
  • 平均追跡期間15.7か月で心臓突然死は薬物群18例(5.8%),ペースメーカー群48例(7.8%),ペースメーカー・除細動器群17例(2.9%)。心臓突然死はNYHA心機能分類IV度(ハザード比2.62),腎機能障害(1.69)で増加した。CRT例でのappropriate shockのリスク低下は神経ホルモン拮抗薬使用,女性,NYHA III度(vs IV度)と関連した:Circulation. 2006; 114: 2766-72. PubMed
  • ペースメーカーによる心臓再同期(CRT-P)およびペースメーカー・除細動器(CRT-D)の費用対効果は,現在認められている治療介入の基準(50,000ドル/獲得質調整生存年[quality adjusted life year: QALY]~100,000ドル/QALY)より下にあり,良好であることが示唆される:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 2311-21. PubMed
  • 主な死因はポンプ不全でCRTおよびCRT+ICD(CRT-D)によりやや抑制した。CRT-Dのみが突然心臓死を抑制したため心臓死予防においてはCRT-Dの方が好ましい:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 2329-34. PubMed

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収載年月2004.07
更新年月2009.07