循環器トライアルデータベース

ACE
Anticoagulation in Cardioversion Using Enoxaparin

目的 非弁膜症性心房細動に対する電気的除細動において,低分子量heparin(LMWH)enoxaparinの皮下投与の有効性と安全性を,未分画heparin(UFH)静注後にphenprocoumonを用いる従来の抗凝固療法と比較。一次エンドポイントは,虚血性脳血管障害+全身性血栓塞栓症+全死亡+重篤な出血性合併症。
コメント 低分子量ヘパリンenoxaparinは未分画ヘパリンに比べて,静注によらず投与可能で,頻回の投与量調節を必要とせず,しかも出血の合併症が少ないという利点がある。心房細動除細動に先立つ抗凝固療法として未分画ヘパリン+クマリン系抗凝固療法に変わりうるものである。(井上
デザイン 無作為割付け,オープンラベル,多施設(ドイツの56施設),intention-to-treat解析。
期間 7週間。試験終了2002年7月。
対象患者 496例。18歳以上;体重45kg以上;試験参加の48時間以上前より動悸,めまい,頻脈の臨床症状があり,初回のECGで心房細動が確認されたもの;臨床症状のない場合には安静時または長期ECGにより過去3か月間に持続性心房細動が確認されたもの。
除外基準:急性神経障害,全身性血栓塞栓症または血栓症の急性臨床徴候,左室または大動脈血栓,血液凝固異常または内出血,血小板数<100×109/L,heparin使用による血小板減少(type II)または重度の慢性肝・腎疾患の既往など。
治療法 電気的除細動に際し,65例(9施設)では経食道心エコー(TEE)を利用せず(Stratum A),431例(47施設)では利用した(Stratum B)。Stratum Aでは,enoxaparin群(35例):初期用量 1mg/kg 1日2回を3~8日皮下注の後,固定用量40mg (65kg未満)または60mg(65kg以上)1日2回皮下注(退院後は自己注射),UFH+phenprocoumon群(30例):UFH 80 IU/kgボーラス静注後APTTにより調整した用量を72時間以上点滴するとともに,ランダム化から72時間以内にphenprocoumon投与開始,のいずれかにランダム化し,薬物治療開始3週後に電気的除細動を実施,その後,薬物治療を4週間継続(phenprocoumonはUFH中止前にINR 2.0~3.0に調整)。Stratum Bでは,enoxaparin群(213例),UFH+phenprocoumon群(218例)にランダム化直後に薬物治療を開始し,TEEで血栓がみられない場合は1~3日後に十分な抗凝固が達成されるのを待って電気的除細動を行い,薬物治療をその後4週間継続。初回のTEEで血栓が認められた患者は49±2日,認められなかった患者は28±2日までに全エンドポイントを評価。重篤な有害事象は試験終了後14日まで評価。
結果 平均治療期間はA群47日,B群28日。
一次エンドポイントの発生は,per-protocol解析(428例)でenoxaparin群216例中7例(3.2%)vs UFH+phenprocoumon群212例中12例(5.7%)[p=0.016,95%信頼区間(CI )-6.9~1.8%],intention-to-treat解析(496例)でenoxaparin群248例中7例(2.8%)vs UFH+phenprocoumon群248例中12例(4.8%)(p=0.013,95%CI -5.8~1.6%)であった。死亡,塞栓,出血の発生は治療群間,Stratum間で有意差がなく,試験終了時にECGで洞調律が回復した例(310/462例,67.1%)もenoxaparin群65.9% vs UFH+phenprocoumon群68.3%で有意差がなかった。
★結論★TEEを利用した心房細動の電気的除細動において,enoxaparinは虚血性脳血管障害,塞栓イベント,出血性合併症,死亡の予防について,UFH+phenprocoumonに比べて劣らない。このような状況における抗凝固療法開始に際しenoxaparinは投与の容易さや抗凝固作用の安定性から好ましい薬剤であると思われる。
文献
  • [main]
  • Stellbrink C et al on behalf of the ACE (anticoagulation in cardioversion using enoxaparin) study group: Safety and efficacy of enoxaparin compared with unfractionated heparin and oral anticoagulants for prevention of thromboembolic complications in cardioversion of nonvalvular atrial fibrillation: the anticoagulation in cardioversion using enoxaparin (ACE) trial. Circulation. 2004; 109: 997-1003. PubMed

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収載年月2004.07