循環器トライアルデータベース

REVERSAL
Reversal of Atherosclerosis with Aggressive Lipid Lowering

目的 アテローム性動脈硬化の進展抑制効果を,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる強力な脂質低下療法とpravastatinによるマイルドな低下療法とで比較する。
一次エンドポイントはアテローム容積の変化率。
コメント 動脈硬化予防のためのガイドラインにはLDL-Cの管理目標値が提示されているが,十分な検証がなされていなかった。本試験でプラバスタチン40mg/日投与群が対象に選ばれた理由は,すでにプラセボを対照とした本治療法でイベント抑制やアテロームの進展抑制効果が証明されているからである。本試験は,このようなプラバスタチン投与群(LDL-C:110mg/dLに低下)に対してアトルバスタチンによる強力な治療(LDL-C:79mg/dLに低下)がアテローム進展という立場から優位性があるか検討した試験である。結果的には,強力な治療でLDL-Cを80mg/dL以下にすることでアテローム進展が完全に抑制できたという点で,LDL-Cの管理目標値の設定には大きな影響を与えるものと思われる。一方,プラバスタチン群との比較で高感度CRPの低下の程度がアトルバスタチン群でより大きく,これがアテローム進展抑制に有効であったという可能性が指摘されている。しかし,両群間におけるLDL-Cの低下の程度が異なることを考慮すると,その評価は困難と思われる。(寺本
デザイン 無作為割り付け,二重盲検,多施設(米国の34のコミュニティー医療施設および三次医療施設)。
期間 追跡期間は18か月。1999年6月~2001年9月にスクリーニング,試験薬投与。
対象患者 654例。30~75歳;冠動脈造影で1枝以上に20%以上の狭窄が認められるもの;4~10週間のwashout後のLDL-Cが125~210mg/dLのもの。
治療法 脂質低下療法を4週間以上中止し,2週間のプラセボによるrun-in期間後,atorvastatin群(327例):40mg×2回/日投与,pravastatin群(327例):40mg/日にランダム化。
アテローム性動脈硬化の進展は血管内エコー(IVUS)で評価。
結果 IVUSで評価したのは502例。
LDL-Cの低下は,atorvastatin群でベースライン時150.2mg/dL→ 18か月後79mg/dL,pravastatin群で150.2mg/dL→ 110mg/dLであった(p<0.001)。C-reactive protein(CRP)はatorvastatin群で36.4%低下,pravastatin群で5.2%低下(p<0.001)。
アテローム容積の変化は,atorvastatin群で161.9mm³→ 160.9mm³,pravastatin群で168.6mm³→ 180.0mm³(両群間差:ベースライン時p=0.20,18か月後p=0.05)。総アテローム容積(p=0.02)でも,最も疾患の進展していた10mm血管径でも同様の変化を示した。
一次エンドポイントはatrovastatin群で-0.4%[95%信頼区間(CI)-2.35~1.49,対ベースライン時のp=0.001]で疾患の進展は認められなかったが,pravastatin群では2.7%(95%CI 0.24~4.67)と進展(p=0.98)した(両群間差p=0.02)。
性別,年齢,BMI,喫煙などのいずれのサブグループでもatorvastatin群では動脈硬化の進展はみられなかった。
★結論★冠動脈心疾患患者において,atorvastatinによる強力脂質低下療法はpravastatinよりもアテローム性動脈硬化の進展を抑制した。ベースライン時と比較して,atorvastatin群で進展は認められなかった一方で,pravastatin群では進展した。この違いはatorvastatin群の方がアテローム発生のリポ蛋白およびCRPの低下が大きかったことと関係している可能性がある。
文献
  • [main]
  • Nissen SE et al for the REVERSAL investigators: Effect of intensive compared with moderate lipid-lowering therapy on progression of coronary atherosclerosis: a randomized controlled trial. JAMA. 2004; 291: 1071-80. PubMed
  • [substudy]
  • スタチン系薬剤により,酸化リン脂質(OxPL)/アポリポ蛋白B(apoB),マロンジアルデヒド/apoB,リポ蛋白(a)を有意に上昇させ,apoB 免疫複合体および酸化LDL自己抗体を低下するが,これらは定量的血管造影の変数,アテローマ容積とは関連しない:J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 24-32. PubMed
  • IVUSサブ解析(あまり狭窄の大きくない限局性病変210例):病変外弾性板面積(EEM)/参照EEMをリモデリング比(RR)とした。病変部位ではプラーク面積が増加し,RRは低下した。多変量解析によると,プラーク面積の変化量(p<00001),ベースライン時のRR(p<00001),ベースライン時の病変内腔面積(p=0.019),高感度CRP変化の対数値(p=0.027),ベースライン時の高血圧(p=0.014)と追跡時RRは有意に相関した。一方,右冠動脈病変(p=0.006),トリグリセリドの変化率(p=0.049),年齢(p=0.037)は追跡時RRと有意な逆相関がみられた:Circulation. 2006; 113: 2826-34. PubMed
  • ベースライン時に210例が限局性病変。うち128病変がアテローマ容積が増加。アテローマ容積増加の1mm2ごとの外弾性板(external elastic membrane: EEM)容積の増加は,ベースライン時のatheroma burdenが<40%(1.62mm2)と≧40%(1.28m2)との間に有意差は認められなかった(p=0.30)。ベースライン時のatheroma burdenとEEMあるいは内腔面積の変化の間に相関はなかった。atheroma burdenはアテローム性動脈硬化進展中の代償性冠動脈拡張(arterial enlargement)と相関しない:Eur Heart J. 2006; 27: 1664-70. PubMed
  • マイルドな脂質低下療法に比べ強力なスタチン治療はアテローム性動脈硬化の進展抑制率と相関し,進展の抑制はLDL-C,アポリポ蛋白B-100,非HDL-C,CRPの低下と有意に関連した:N Engl J Med. 2005; 352: 29-38. PubMed

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収載年月2004.03
更新年月2008.09