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ステント再狭窄(ISR)治療としての抗腫瘍薬paclitaxel溶出ステントの可能性と安全性を検討する。 |
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非比較試験,オープンラベル,多施設(オランダ,ドイツの2施設)。 |
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追跡期間は12か月。登録期間は2001年5月~8月。 |
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28例。native冠動脈にISRを有し,明らかな虚血の証拠があるもの。冠動脈造影登録基準:病変長≦30mm,50~99%の狭窄,血管径3.0~3.5mm。 除外基準:急性心筋梗塞(AMI),EF<30%,6か月以内の脳卒中,腎機能障害(クレアチニン>1.7μg/100mL),aspirin,clopidogrel,ticlopidineの禁忌。 ■患者背景:平均年齢63.2歳,男性67.9%,糖尿病14.3%,MI既往57.1%,CABG既往17.9%,びまん性ISR 64%。 |
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バルーンによる前拡張後,TAXUS NIRx paclitaxel溶出ステント(Boston Scientific社)を定法にて植込み,必要に応じて後拡張。ステントは15mm長,3.0または3.5mm径で,総量1.0μg/mm²のpaclitaxelをコーティングし,植込み後48時間の溶出(initial release)後,10日間のslow release。 手技中に活性化凝固時間(ACT)≧250秒となるようheparinを静注。aspirin(75mg以上),clopidogrel(300mgで投与を開始し以後75mgを1日1回6か月間)を投与。手技後6,12か月に臨床情報を収集,手技後,6か月後に血管エコー(IVUS),冠動脈造影を実施。 |
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植込まれたステント数が1本だったのは15病変(53.6%),2本は13病変(46.4%)であった。6か月後の冠動脈造影は25例で,IVUSは17例で実施。12か月後まで亜急性ステント血栓の発生はなかったが,冠動脈造影上の再狭窄が4例(16%),1例は全閉塞であった。追跡時の最小血管径(MLD)は1.84mmで手技後の2.40mmに比べ有意に小さく,追跡時の狭窄径は30.8%,晩期内腔損失は平均0.54mm,近位edgeの晩期損失は0.20mm,遠位edgeは0.11mm,新生内膜増殖は20.3mm³であった。 主要有害心イベント(MACE)の発生は6か月後に8例(29%)であったが,12か月後までに増加することはなく死亡例はなかった。内訳は,非Q波MI 1例,CABG 1例,標的病変に対する血行再建術(TLR) 6例であった。 TLR例のうち1例は1例で遠位edge dissectionのため植込まれたベアステント内の再狭窄,2例で2つのpaclitaxel溶出ステント間の再狭窄が生じた。2例は冠動脈造影上では再狭窄はないが,IVUSによりステントの不完全な密着またはステント拡張の不十分が確認されたためTLRを実施した。 ★結論★ISR治療においてpaclitaxel溶出ステント植込みは安全かつ有効であると考えられた。標的病変を完全に被覆するステントの植込みをIVUSにより確認することでインターベンションの再施行を減少できる可能性がある。 |
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- [main]
- Tanabe K et al: TAXUS III Trial; in-stent restenosis treated with stent-based delivery of paclitaxel incorporated in a slow-release polymer formulation. Circulation. 2003; 107: 559-64. PubMed
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