循環器トライアルデータベース

RIBS
Restenosis Intra-Stent: Balloon Angioplasty versus Elective Stenting

目的 ステント内再狭窄(ISR)を有する患者において,再ステントとバルーン血管形成(BA)とを比較。一次エンドポイントは6か月後の“segmentあたり”の再々狭窄発生率。
コメント ステントの登場によりPCIの急性期および慢性期の成績は改善したが,ステント内再狭窄という新たな問題が発生し,未だ解決されていないのは周知の事実である。期待されたcutting balloonはREDUCE II trialでバルーンとの優位性を示すことはできず,rotational aterectomyを中心としたアテレクトミーもバルーンと同等かそれ以下の結果となっている(ARTIST trialなど)。また冠動脈内放射線治療(brachy therapy)にはedge restenosis(geographic miss),late thrombosis,stent malapposition(late positive remodeling)などの問題点が明らかになった。こうしたことを背景としてstent-in-stentの効果が期待されたが,普遍的な有効性は示されず,特に3mm以下の小血管ではバルーンより劣る結果となった。今後はTAXUS III trialなどで証明された薬剤溶出ステント(drug-eluting stent)の有効性が注目される。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(スペイン,ポルトガルの24施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1年。登録期間は1997年12月~1999年12月。
対象患者 450例。狭心症または心筋虚血の明らかな証拠を有し,ISR(目測で>50%の狭窄)に対するインターベンション再施行予定で,ステント,BAのいずれも可能な病変のあるもの。標的病変は1つのステント(長さ32mm以下)でカバーでき,直径>2.5mmの血管に位置する初発のISR。
除外基準:高度な蛇行または石灰化した血管,全閉塞の血管に位置する病変,前月のステント植込みなど。
■患者背景:平均年齢61歳,再狭窄までの日数180日(中央値),多枝病変(ステント群48%,バルーン群41%),平均EF(65%,64%),標的血管;左前下行枝(47%,57%),左回旋枝(22%,17%),右冠動脈(29%,24%),静脈血管グラフト(ともに2%)。
治療法 ステント群(224例)またはバルーン群(226例)にランダム化。
前処置として全例にaspirinを投与し,手技開始時にheparin 100 IU/kgをボーラス投与。最終のバルーン/動脈比が1.1/1となるようバルーンのサイズを選択。両群とも比較的高圧(>12atm)を推奨。ステント群ではバルーンによる前拡張後にNIRステント(Boston Scientific社:106例),Crownステント(Cordis社:46例),Bestent(Medtronic-AVE社:45例)の3種のnoncoilステントのいずれかを使用することとしたが,24例には最終的にそれ以外のnoncoilステントを使用した。
クロスオーバーは,>50%の狭窄が残存した場合,重大な冠動脈解離,虚血関連の解離の場合にのみ許可。手技前,手技後8時間ごとに24時間までクレアチンキナーゼ値測定および12誘導心電図を実施。手技の成功は,重大な合併症がなく冠動脈造影上で残存狭窄<50%と定義。aspirinを全例に無期限投与し,ステント群ではticlopidine 500mg/日を1か月投与。
結果 手技の成功はステント群98% vs バルーン群95%と両群で同様であったが(p=0.11),入院中の合併症(死亡,心筋梗塞,標的血管血行再建術)はバルーン群で多かった(1.3% vs 4.9%,p=0.039)。11例(5%)を除いて1本のステントで治療を行った(平均ステント長19mm)。クロスオーバーは3例(1.3%) vs 13例(5.7%)であった(p=0.02)。
手技後の最小血管径(MLD)は2.77mm vs 2.25mm(p<0.001),追跡時の“in-lesion”MLD(1.69mm vs 1.54mm,p=0.046)はステント群で有意に大きかったが,追跡時の“segmentあたり”のMLD(1.63mm vs 1.52mm,p=0.17)と再狭窄率(38% vs 39%)は両群で同様であった。
1年後の合併症非発症生存率は,77% vs 71%と同様であった(p=0.19)。血管径3mm以上のサブグループでは,再狭窄率(27% vs 49%,p=0.007,リスク比0.55,95%信頼区間0.35-0.85)および合併症非発症生存率(84% vs 62%,p=0.002)はステント群の方が良好であった。
★結論★ISRを有する患者では,BAに比べステント再施行のほうが初期の冠動脈造影の結果は良好であったが,再狭窄率および臨床アウトカムの改善はみられなかった。血管径の大きい(血管径3mm以上)例ではステントにより臨床および冠動脈造影上の長期予後の改善がみられた。
文献
  • [main]
  • Alfonso F et al for the Restenosis intra-stent: balloon angioplasty versus elective stenting (RIBS) investigators: A randomized comparison of repeat stenting with balloon angioplasty in patients with in-stent restenosis. J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 796-805. PubMed
  • [substudy]
  • 長期(中央値4.3年後)予後:追跡を延長した期間中の死亡はステント群9例,バルーン群13例,冠動脈術は11例 vs 12例,心筋梗塞は3例 vs 4例,血行再建術再施行は4例 vs 5例。4年後のイベント非発生生存率は69例 vs 64例(p=0.21):J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 756-60. PubMed

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収載年月2004.05
更新年月2005.10