循環器トライアルデータベース

ALKK-Study
Study of the Arbeitsgemeinschaft Leitende Kardiologische Krankenhausarzte

目的 梗塞責任冠動脈のみの1枝病変を有する心筋梗塞(AMI)亜急性期(1~6週間)の無症候性の患者において,経皮的血行再建術と薬物療法とを比較。一次エンドポイントは1年後のイベント非発生生存率(イベント:再梗塞,再PTCA,CABG,あるいは重度狭心症による再入院)。
コメント 新たな虚血が証明されない急性期を過ぎた心筋梗塞で,責任冠動脈に有意病変が残った場合,PCIを行うべきかどうかはcontroversialである。「open artery theory」という大義名分を拠り所にPCIを行うことも多いが,これにしても充分なコンセンサスが得られているとは言えない。過去の報告をみても,late perfusionの短・中期予後改善効果には一定の結論が出ていない。ALKK-StudyはPCIと保存的治療を比較した初めての大規模ランダム化試験である。虚血に関連したイベントが後者に多かったのは当然としても,一枝疾患というlow-risk症例を対象にしたにも関わらず,56か月後の生存率に有意差が出たことは注目に値する。残念ながら,冠動脈patencyと予後との関連や,「open artery theory」の根拠となっている左心機能(リモデリング)改善効果・虚血予防効果・electrical stabilityの関与が明らかにされていないため,さらに大規模なランダム化試験やサブ解析が必要と考えられる。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(ドイツALKKの22施設)。
期間 追跡期間は1年以上。登録期間は1994年8月~'97年9月。
対象患者 300例(1996~'97年の登録の急減により目標の800例に達する前に登録終了)。ST上昇AMI後8~42日の安定した患者。MIは30分以上持続する胸痛,2つ以上の連続した心電図誘導でのST上昇,CKまたはCK-MBの上昇,12誘導心電図による2つ以上の新規Q波により確認;冠動脈造影上,梗塞責任動脈が同定でき,いまだに完全閉塞または有意狭窄が存在し,PTCAまたは再灌流が技術的に可能であると思われる例;狭心症を有していないか軽度(Canadian Cardiovascular Society 1または2度)の狭心症。
除外基準:CCS 3度または4度の狭心症,他の冠動脈に70%超の狭窄,bypass血管,CABGの適応,心疾患以外の疾患により生存の見込みが低いもの。
■患者背景:平均年齢;PTCA群58.2歳,薬物療法群57.5歳,完全閉塞;29%,28%,平均狭窄率;89%,88%,高血圧;32%,46%(p=0.02),糖尿病;15%,17%,高脂血症;両群53%,血栓溶解療法;63%,57%,硝酸薬nitrates投与例;72%,80%,β遮断薬;74%,75%。
治療法 PTCA群(149例)または薬物療法群(151例)にランダム化。全例にaspirin 100mgおよびβ遮断薬の投与を推奨。
結果 発症からランダム化までは平均18日。ランダム化からPTCAまで平均5日。PTCAの成功率は86.2%,ステント使用は17%。
一次エンドポイントは薬物療法群124例(82%) vs PTCA群134例(90%)で(p=0.066),これは主に再PTCA[20例(13.2%) vs 8例(5.4%),p=0.03]と狭心症による再入院[20例(14.6%) vs 6例(4.0%),p=0.066]の差異による。さらに長期の追跡(平均56か月)では,生存率が薬物療法群88.8% vs PTCA群96%(p=0.02)であり,再梗塞,再血行再建術非発生生存率は66% vs 80%であった(p=0.05)。nitratesの使用は,PTCA群で有意に少なかった(1年後:38% vs 67%,p=0.001,1年以上:36% vs 56%,p=0.006)。
★結論★1枝病変を有する安定例において,梗塞関連血管に対する経皮的血行再建術により長期の臨床転帰が改善され,nitratesの使用が減少した。MI後の低リスク患者に対するPTCAが臨床においてルーチン治療として推奨されるためには,本試験の結果をより大規模試験で確認する必要がある。
文献
  • [main]
  • Zeymer U for the ALKK-study group: Randomized comparison of percutaneous transluminal coronary angioplasty and medical therapy in stable survivors of acute myocardial infarction with single vessel disease; a study of the Arbeitsgemeinschaft Leitende Kardiologische Krankenhausarzte. Circulation. 2003; 108: 1324-8. PubMed
  • [substudy]
  • 頸動脈ステントregistryでの検討:手技中におけるフィルター型末梢塞栓保護デバイスと遠位閉塞塞栓保護デバイスの有効性は同様だと思われる:J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 1769-74. PubMed

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収載年月2004.06
更新年月2005.07