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心房細動(AF)を伴う洞不全症候群で恒久ペーシングの適応である患者において,AF Suppression Algorithm+DDDRの有効性および安全性を検討。一次エンドポイントは症候性AF持続率(AF発生日数/追跡日数)および有害事象。二次エンドポイントは症候性AFエピソードの回数,入院,電気除細動,QOL。 |
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AFの発作を減らすペーシングアルゴリズムが様々に工夫されているが,効果が絶大なものは少ない。(井上) |
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無作為割付け,単盲検,多施設。 |
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追跡期間は6か月。登録期間は1998年12月11日~2000年12月31日。 |
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319例。ペースメーカー植込みの前月に抗不整脈薬や房室結節遮断薬を継続して使用(または未治療)した状態で症候性の発作性または持続性AFの症候性エピソードが2回以上,そして12週間に心電図またはrhythm stripにより1回以上確認されたもの;American College of Cardiology/American Heart Association(1998年)のガイドラインの二腔ペースメーカーの適応(クラスI)である洞結節機能不全。 除外基準:他の不整脈治療デバイスの使用,6か月以内の心臓手術の既往または試験期間中に心臓手術が予想される場合。 ■患者背景(登録例のうち288例が解析の対象):平均年齢71.3歳,男性163例,女性156例,III群抗不整脈薬投与例143例。 |
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全例にペースメーカー[Trilogy DR+DAO(model 2360Lまたは2364L)またはIntegrity AFx(model 5346)]を植込み,基本レート60拍/分のDDDRペーシングにプログラム。AF Suppression Algorithmをonにする治療群(130例)とoffにする対照群(158例)にランダム化。 ペースメーカー植込み後6か月間,退院後は自宅においてイベントレコーダーにより症候性エピソードを記録し,電話を通じて心電図結果を伝送。30,90日,6,9,12か月後,以後6か月ごとに来院し,標準的なペースメーカーフォローアップに加え,SF-36によるQOL評価,ペースメーカー診断データ,植込み時の抗不整脈薬治療および追跡期間中の変更,入院および除細動に関する情報を収集。 |
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心房ペーシングの割合は治療群(130例)は92.9%で対照群(158例)67.9%に対して有意に高かった(p<0.0001)。 一次エンドポイントである症候性AF持続率は治療群1.87% vs 対照群2.50%で,AF Suppression Algorithmによる相対低下率は25%であった。AF 持続率は追跡期間を通じて両群で漸次低下したが,1,3,6か月後のいずれの来院時にも治療群のほうが低かった(p=0.005)。症候性心房性不整脈(AF,心房粗動,心房頻脈性不整脈)は,治療群1.9%で対照群2.6%に対し26.5%の低下を示し,経時的に低下を続けた(p=0.008)。QOLスコアは両群で改善された。AFエピソード(治療群3.2回 vs 対照群4.3回),入院(15件 vs 17件,p=0.8439),合併症,有害事象,死亡の発生は両群間に有意差は認められなかった。 ★結論★洞不全症候群およびAFを有する患者において,AF Suppression Algorithmによるoverdrive心房ペーシングは症候性AF持続率を相対的には低下したが,絶対的な差は小さかった(1.87% vs 2.50%)。 |
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- [main]
- Carlson MD et al for the ADOPT investigators: A new pacemaker algorithm for the treatment of atrial fibrillation; results of the atrial dynamic overdrive pacing trial (ADOPT). J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 627-33. PubMed
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