循環器トライアルデータベース

E-SIRIUS
European Multicenter, Randomized, Double-Blind Study of the Sirolimus-Coated Bx Velocity Balloon-Expandable Stent in the Treatment of Patients with de Novo Coronary Artery Lesions

目的 病変長が長い小冠動脈病変において,sirolimus溶出ステントの再狭窄リスクを検討。一次エンドポイントは定量的冠動脈造影(QCA)による8か月後のステント内最小血管径(MLD)。
コメント sirolimus eluting stentで先行するFIM(First In Man)・RAVEL・SIRIUS trialに比し,E-SIRIUSでは対照血管径が最も小さく病変長が最も長い。すなわち,再狭窄のハイリスク群を対象としていることは,対照群の再狭窄率(RAVEL;26%,SIRIUS;36%,E-SIRIUS;42%)が示している。しかし,E-SIRIUSでの8か月後の再狭窄率(5.9%)は,病変長の近いSIRIUS(8.6%)をも下回っている(p=ns)。両者の差異はステントの近位部5mm以内の再狭窄率にあり,E-SIRIUSでのdirect stentの多用と関係がありそうだ。sirolimus eluting stentでは決して好条件の治療対象でなくても中期予後が良好であることが示された。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,二重盲検(封筒法),多施設(ヨーロッパの35施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は8か月(主要な有害心イベントは9か月)。登録期間は2001年8月~2002年2月。
対象患者 352例。18歳以上。狭心症(Canadian Cardiovascular Society分類 I-IV),不安定狭心症(Braunwald分類 BかつC,IまたはII),無症候性虚血例。治療を要する主要なnative冠動脈に50%以上,100%未満の新規病変が1つのみで,1枝あるいは多枝疾患を有するもの。
対象病変:目視により近位対象血管径が2.5~3.0mm,病変長15~32mmで,1~2本のステントでfull coverできる病変。
除外基準:急性期心筋梗塞,EF<25%,プロテクトされていない>50%の左冠動脈主幹部病変,入口部病変,血栓または石灰化病変,2.5mm以上の側枝を有する分岐部病変など。
■患者背景:平均年齢62.3歳,男性71%,糖尿病23%,高脂血症74%,高血圧64%,心筋梗塞(MI)既往42%,PCI(percutaneous coronary intervention)21%,標的病変;左前下行枝56%,左回旋枝23%,右冠動脈21%,1枝病変64%,平均対照血管径2.55mm,病変長15.0mm。
治療法 sirolimus溶出ステント群(175例);表面にsilorimus 140μg/cm²を含有する5μm厚の薬剤ポリマー(sirolimus 33%,非腐食性ポリマー67%)でBx Velocity stentをコーティングし,30日間で約80%のsilorimusが溶出するようにデザイン。対照群(177例):非被覆のbare-metalステント(Bx Velocity stent)を使用。ステント長は8mm, 18mm,直径2.5mm, 3.0mm。
aspirin 100mgを手技の12時間以上前,clopidogrel 75mgを3日以上前[または手技前,あるいは直後に300mg(術前24時間のticlopidine 250mg×2回/日で代替可)]より投与開始。施行中は活性化凝固時間を250秒以上に維持するようheparinを持続静注(手術直後に中止),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の静注は医師の裁量とした。退院後はaspirin 100mg/日を無期限,clopidogrel 75mg/日(またはticlopidine 250mg×2回/日)を2か月間投与。
前拡張,後拡張するか否かは医師の裁量とし,direct stentingを許可。病変を完全にカバーするため,ステントを2つまで許可。ステントのoverlapは2~4mmを標準とした。
30日後,9か月後に臨床状態を評価,8か月後に再血管造影を施行。
結果 対照群で糖尿病が多い傾向にあり,標的血管が0.09mm小さかったことを除いてベースラインは同等。術的QCAデータにも有意差なし。multipleステント植込みは48%。植込み成功はsirolimus溶出ステント群100%,対照群99.4%。前拡張は74%,direct stenting 26%。
一次エンドポイントはsirolimus溶出ステント群2.22mm,対照群1.33mmと,sirolimus溶出ステント群で有意に大きく(p<0.0001),晩期内腔損失は81%抑制された(0.20mm vs 1.05mm,p<0.0001)。stent edgeの両端から5mm以内のセグメントを含めた病変内のMLD;晩期内腔損失もそれぞれ同様に有意差が認められた(1.97mm vs 1.29mm;0.19mm vs 0.80mm,各p<0.0001)。
再狭窄率(QCAで50%以上)はsirolimus溶出ステント群で対照群に比較して有意に低下(ステント内3.9% vs 41.7%,病変内5.9% vs 42.3%,各p<0.0001)。9か月後の主要な有害心イベント(死亡,MI,緊急CABG,標的血管血行再建術再施行)もsirolimus溶出ステント群で対照群に比較して有意に抑制された(8.0% vs 22.6%,p=0.0002);主に標的血管への再血行再建術の必要の低下によるものであった(4.0 vs 20.9%,p<0.0001)。
★考察★血管径3mm未満内の病変長の長いアテローム性病変において,sirolimus溶出ステントは非被覆ステントよりも有効である。
文献
  • [main]
  • Schofer J et al for the E-SIRIUS investigators: Sirolimus-eluting stents for treatment of patients with long atherosclerotic lesions in small coronary arteries: double-blind, randomised controlled trial (E-SIRIUS). Lancet. 2003; 362: 1093-9. PubMed
  • [substudy]
  • pooled analysis:RAVEL,SIRIUS,E-SIRIUS,C-SIRIUS(男性1251例,女性248例:SES群;629例,249例,BMS群;622例,248例)。
    男性に比べ女性は高齢で,糖尿病,高血圧,うっ血性心不全が多かったが,多変量解析によるとSES群でもBMS群でも女性はセグメント内binary再狭窄,臨床転帰の独立した予測因子ではなかった:J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 2111-6. PubMed
  • SIRIUSと合わせた冠動脈造影による晩期損失(手技後の最小血管径-8か月後の最小血管径):SIRIUS試験の平均ステント内晩期損失はsilorimus群0.17mm vs 対照群1.00mmで,標準normal approximationを使用して再狭窄率を予測すると対照群は正確(予測値35.4% vs 実際35.4%)であるが,silorimus群は予測値0.6% vs 3.2%と過小予測となる。optimized power transformationを使用すると,sirilimus群の予測値は3.2%と改善し,E-SIRIUS試験でも4.0% vs 3.9%と正確に再狭窄率を予測した。sirolimus溶出ステント群でのステント内晩期損失はセグメント内晩期損失とよりも,標的病変血行再建術とより相関した:Circulation. 2005; 111: 321-7. PubMed
  • Canadian Sirolimus-Eluting Stent(C-SIRIUS)を合わせたコホートのpost hocサブ解析:direct stent(DS)群(57例) vs 前拡張群(168例)。中等度~重症の石灰化は5% vs 19%(p=0.017)。手技前狭窄は68.1% vs 61.6%(p<0.001)。8か月後の病変内晩期損失は0.10mm vs 0.19mm(p=0.14)およびbinary再狭窄率は2.0% vs 6.1%(p=0.46)でDS群で少ない傾向にあった。1年後の標的病変血行再建術は5.3% vs 8.9%,主要有害心イベントは5.3% vs 8.9%で両群間に有意差はなかった:J Am Coll Cardiol. 2005; 45: 10-3. PubMed

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収載年月2004.01
更新年月2008.01