循環器トライアルデータベース

WIZARD
Weekly Intervention with Zithromax for Atherosclerosis and its Related Disorders

目的 心筋梗塞(MI)の既往およびクラミジア・ニューモニエ(C pneumoniae)の感染例で症状が安定している患者において,冠イベント再発に対する抗生物質azithromycinによる12週間の治療効果を検討。一次エンドポイントは全死亡,MI再発,血行再建術[CABGあるいはPCI(percutaneous coronary intervention)],狭心症による入院。
コメント 1988年に冠動脈疾患とクラミジア感染との関わりが血清学的に示されたが,心血管イベント抑制に対する抗生剤の効果を示すパイロット試験では相反する結果が報告されている。本研究は,より大規模に検討することでこの問題に決着をつけることが期待された。しかし,安定な冠動脈疾患例に対して12週間のazithromycin治療は臨床的効果を見出せなかった。この結果は治療期間(より長期投与では?)と対象疾患(より不安定な症例では?)によっては変わっていたかもしれない。本研究では,治療開始6か月後では心血管イベントの抑制がみられており,長期的な治療の有用性は否定できない。サブグループ解析で,糖尿病かつ喫煙者では有意に心血管イベント抑制が認められており,急性冠症候群例や冠危険因子を複数有する高リスク例では抗生剤の治療効果がみられる可能性がある。一方,クラミジア抗体価の程度と,抗生剤治療効果や心血管イベントの発生とは関連がなかった。血中抗体価の有用性には限界があり,白血球中のクラミジアPCR陽性例が抗生剤治療の本当のターゲットかもしれない。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国,カナダ,英国,ドイツ,フランス,スペイン,オーストリア,インド,アルゼンチンの271施設),intention-to-treat解析。
期間 登録期間:1997年10月10日~1998年7月3日(3538例)・追跡期間(平均,中央値とも)25か月,2000年7月17日~2001年7月22日(4209例)・追跡期間14か月。2001年12月7日終了。
対象患者 7747例。6週間以上前のMI歴が心電図またはクレアチンキナーゼ上昇により証明されており,マイクロ蛍光抗体法によるC pneumoniaeのIgG抗体価が1:16以上のもの。
除外基準:6か月以内のCABGまたはPCI施行例,慢性的な抗生物質治療が必要なもの,3か月以内の抗生物質使用。
治療法 azithromycin群(3879例):600mg/日を最初の週に3日間,以後週1回を11週間投与,またはプラセボ群(3868例)にランダム化。
6週~4か月おきに検血,クレアチニン,肝機能検査)のため来院,または電話による接触。
結果 14か月後,一次エンドポイントはazithromycin群でプラセボ群よりリスクが7%低下したが,有意差はなかった(95%信頼区間 -5~17%,p=0.23)。ハザード比の分析では,azithromycinにより一次エンドポイント,死亡,再梗塞に対する早期の効果が示唆されたが,これらは経時的に減衰した。一次エンドポイントのうち,azithromycinによるリスク低下は,死亡8%,MI再発7%,血行再建術5%,狭心症による入院-1%で,いずれのイベントも有意差が認められなかった。C pneumoniae抗体価と治療効果との有意な関連はみられず,一次エンドポイント発生の頻度との関連もみられなかった。
試験薬関連の有害事象の発生は,azithromycin群13.2% vs プラセボ群4.6%で,主に下痢(8.1% vs 1.4%)および腹痛(2.2% vs 0.8%)などの消化管に関するものであった。有害事象による試験薬の中止は,azithromycin群1.6% vs プラセボ群0.4%であった。
★結論★MI既往およびC pneumoniae感染の証拠を有する安定した患者において,12週間のazithromycin治療は冠動脈疾患の臨床的続発を有意に抑制しなかった。
文献
  • [main]
  • O'Connor CM et al for the investigators in the WIZARD study: Azithromycin for the secondary prevention of coronary heart disease events; the WIZARD study; a randomized controlled trial. JAMA. 2003; 290: 1459-66. PubMed

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収載年月2003.11