循環器トライアルデータベース

FIRE
FilterWire EX Randomized Evaluation

目的 伏在静脈グラフト(SVG)へのPCI(percutaneou coronary intervention)において,フィルター付きカテーテルによる末梢塞栓予防の安全性と有効性をGuardWire(バルーンで末梢を閉鎖し,塞栓子を吸引するシステム) と比較。一次エンドポイントは30日後の主要な有害心イベント[MACE;死亡+心筋梗塞(MI)+標的血管への血行再建術]。
コメント SVGに対するPCIではnative vesselに比して心筋梗塞(MI),死亡率が高率であることが報告されてきた。SAFER trial(Circulation. 2002; 105: 1285-90.)にてGuardWire systemでのno flow,MIの有意な低下が証明され,今やSVG治療ではdistal protectionが常識的となっている。血流を一時遮断するGuardWire systemに比し,FilterWire Systemでは血流を保ち,血行動態を維持したまま治療が行えることが最大の利点である。しかし一方,systemが太く(3.9F),操作性が悪い,poreが大きい,血管壁との密着性,filterの容量,回収時の取りこぼし等の問題があり,安全性・確実性に疑問が持たれている。
FIRE trialで両者ほぼ同程度の有効性が示されたことで,状況に応じた選択の幅が広がることとなろう。もっとも本邦でFilterWire Systemが認可されればの話であるが。なおFilter SystemについてはGUARD,SPIDER,CAPTIVE等のtrialが進行中である。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(米国,カナダの66施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。ランダム化の期間は2001年10月~2002年9月。
対象患者 651例,682病変。21歳以上。SVGの1か所以上の新規病変に対する待機的ステント植込み術によるPCI施行例。
除外基準:EF<25%,急性,最近のMIあるいはクレアチンフォスフォキナーゼ-MB値の上昇;2か月以内の脳血管イベント;血清クレアチニン値≧2.5mg/dL;30日以内の標的血管に対するPCI既往あるいは登録基準外の病変への多枝インターベンション施行予定;<6か月のSVG;≦10mmの大動脈入口部病変;対照血管径<3.5mmまたは>5.5mm;TIMI grade 0;病変が遠位吻合部から2.5cm以内あるいは病変の末梢が2cm以上直線的でない場合。
■患者背景:平均年齢FilterWire EX群69.7歳,GuardWire群69.1歳;高血圧(83.4%,79.5%);高脂血症(88.4%,90.5%);糖尿病(41.3%,36.8%);MI既往(68.7%,62.3%);SVG変性スコア(SVG全長に対する壁不整およびおよび拡張性病変長の比率)24.5%,29.4%,p=0.01)。病変の1/4に血栓,血管の20%でTIMI flow低下がみられた。
治療法 FilterWire EX(Boston Scientific社)群(332例348病変);PCI中に血流を維持しながら遊離塞栓子を末端のフィルターに留めて遠位塞栓を防止,GuardWire(Medtronic社)群(319例334病変);末端のバルーンで血流を遮断し,遊離物を貯留血液内に留めて吸引後,バルーンをしぼめて血流を戻す。
distal protectionの準備が完了したら,標準手技でステント植込みを実施。ステント前後のバルーン拡張は術医の裁量に委ねた。
手技前にaspirin 325mg投与(術後継続)。clopidogrel 300mgまたはticlopidine 500mgは術前投与を推奨したが,全例が術後投与(4時間以内)であった。血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬は担当医に委ねた。heparinは術中の活性化凝固時間≧300秒(GP IIb/IIIa薬使用の場合は≧200秒)を維持するよう静注。ステント植込み例にはthienopyridineを4週間継続。
結果 手技の成功はFilterWire EX群95.5% vs GuardWire群97.2%(p=0.25)。術中のGP IIb/IIIa受容体拮抗薬の緊急投与はFilterWire EX群でわずかに少なかったが(0% vs 1.5%,p=0.03),術後のTIMI flowおよび血管造影上の合併症(血栓,解離,穿孔,末梢塞栓)は両群で同等。
一次エンドポイントはFilterWire EX群9.9%,GuardWire群11.6%[95% 信頼区間(CI)-6.4~3.1,p=0.53,非劣性の検定ではp=0.0008]。このうち大部分は非Q波梗塞であった(8.1% vs 9.7%)。入院中のMACEは 9.6% vs 10.7%(95%CI -5.7~3.6,p=0.67)。
多変量解析で一次エンドポイントと独立した関連があったのはステント数とステント長のみであった。
★結論★SVGへのPCIに際しFilterWire EXは安全な末梢塞栓予防法と考えられる。30日後のMACE発生率はGuardWireと同等である。
文献
  • [main]
  • Stone GW et al for the FilterWire EX randomized evaluation investigators: Randomized comparison of distal protection with a filter-based catheter and a balloon occlusion and aspiration system during percutaneous intervention of diseased saphenous vein aorto-coronary bypass grafts. Circulation. 2003; 108: 548-53. PubMed

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収載年月2004.02