循環器トライアルデータベース

WHI
Women's Health Initiative

目的 健康な閉経後女性において,ホルモン補充療法:estrogen+progestinと冠動脈心疾患(CHD)リスクとの関連を検討。

一次エンドポイントはCHD:非致死的心筋梗塞(MI)およびCHD死,および副作用としての乳癌。
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,多施設(アメリカのclinical center 40施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は最大8.6年。2005年3月終了の予定であったが,2002年5月31日に追跡期間平均5.2年(3.5~8.5年)の時点で中止。
登録期間は1993~’98年。
対象患者 16,608例。50~79歳(平均63.3歳)。子宮を有する閉経後女性。
除外基準:見込まれる生存が<3年の者,乳癌の既往,10年以内に皮膚非黒色腫を除くその他の癌の既往,ヘマトクリットまたは血小板数低値例,アルコール依存,痴呆など。
■患者背景:マイノリティ16%,閉経後ホルモン療法実施は1/4,CHD(MIおよび/または冠動脈血行再建術)既往約2.4%,CHD+脳卒中+一過性脳虚血発作4.4%。
治療法 conjugated equine estrogen 0.625mg+medroxyprogesterone acetate 2.5mg/日経口投与群(8506例),あるいはプラセボ群(8102例)にランダム化。
6か月ごとに本人の記入による質問票で臨床イベントを評価。ベースライン時,3年後,6年後にECGを実施。エンドポイントの判定は各施設ではなく中央で行った。
結果 2002年4月30日までのデータ(preliminary)と,同7月7日までの解析データ(final result)を報告。
浸潤性乳癌の発生が試験中止の基準を超え,リスクがベネフィットを上回ったため,2002年5月31日(平均追跡期間5.2年)データ安全管理委員会は試験中止を勧告した。
2002年4月30日までのデータから算出されたハザード比(HR)は,CHD(両群での発症数286例)が1.29,乳癌(290例)が1.26,脳卒中(212例)が1.41,肺塞栓(PE,101例)が2.13,大腸癌(112例)が0.63,子宮体癌(47例)が0.83,大腿骨骨折(106例)が0.66,その他の死亡(331例)が0.92。全心血管疾患が1.22,すべての癌が1.03,全骨折が0.76,全死亡が0.98,global index(CHD,脳卒中,肺塞栓,乳癌,子宮体癌,大腸癌,大腿骨折,その他の死亡例のイベント初発)が1.15。estrogen+progestin療法による10,000人・年の絶対リスクの増加はCHDイベント7,脳卒中8,PE8,浸潤性乳癌8,一方,リスク低下は大腸癌6,大腿骨骨折5であり,global indexを含めたリスクの増加は19/10,000人・年であった。
2002年7月7日までのデータから算出されたハザード比は,CHD1.24,うち非致死的MIは1.28,CHD死は1.10。特に1年目は1.81で最も著明。10,000人・年のCHD絶対リスクは各39例,33例。
冠動脈血行再建術はハザード比1.01,狭心症による入院は0.86,狭心症は0.82,急性冠症候群は1.03で,いずれも有意な両群間差はなく,CHDと複合しても1.00であった。うっ血性心不全も同様に有意差なし(0.99)。
estrogen+progestin群のCHD高リスクと,ベースライン時のLDL-C高値に有意な相関がみられたが(p=0.01),C反応性蛋白高値や他のバイオマーカー,他の臨床的特徴では認められなかった。
★結論★全般に健康な閉経後女性におけるestrogen+progestin療法は,心保護効果を示さず,特にホルモン療法開始1年目においてCHDリスクを増加する可能性がある。試験期間中,全死亡には影響がみられなかった。本治療法を心血管疾患の予防として行うべきではない。
ClinicalTrials.gov Identifier: NCT00000611

WHIホームページ
http://www.nhlbi.nih.gov/whi/
文献
  • [main]
  • Rossouw JE et al for the writing group for the women's health initiative investigators: Risks and benefits of estrogen plus progestin in healthy postmenopausal women; principal results from the women's health initiative randomized controlled trial. JAMA. 2002; 288: 321-33. PubMed
  • Manson JE et al for the women's health initiative investigators: Estrogen plus progestin and the risk of coronary heart disease. N Engl J Med. 2003; 349: 523-34. PubMed
  • [substudy]
  • 5.6年間のCEE+MPA,7.2年間のCEE単独のホルモン補充療法と,累積18年の全死亡,CVD死,がん死亡リスクとの関係は示されなかった。
    閉経後女性において,ホルモン補充療法の有効性と安全性を評価したWHI 2試験を統合して,試験中止後から2014年12月31日まで追跡観察(累積18年*)し,全死亡,死因別死亡との関連を検証した結果:conjugated equine estrogen(CEE)0.625mg+medroxyprogesterone acetate(MPA)試験(vs プラセボ群;乳がん,全体のリスク上昇で5.6年*で中止),CEE単独試験(vs プラセボ群;脳卒中リスク上昇で7.2年*で中止)。*中央値
    ・全死亡(7,489例):試験期間中1,088例,試験中止後の観察期間中6,401例が死亡。ホルモン補充療法群とプラセボ群間に有意差はなかった(27.1% vs 27.6%:ハザード比[HR]0.99;95%信頼区間0.94~1.03, p=0.60)。試験別でも(CEE+MPA群26.4% vs 26.0%:1.02;CEE単独群28.3% vs 30.0%:0.94),試験期間中も(ホルモン補充療法群4.0% vs プラセボ群4.0%:1.01;CEE+MPA群:0.97, CEE単独群:1.04),観察期間中も有意な群間差はなかった(CEE+MPA群:1.04, CEE単独群:0.92)。しかし,年齢によるわずかな違いが試験期間中と累積期間にみられた(若年[50~59歳]群の高齢[70~79歳]群とくらべたHRは,0.61,試験期間中:0.87)。試験間の有意な異質性はなかった。
    ・心血管疾患(CVD)死(2,456例):両群は同等で(8.9% vs 9.0%:1.00;0.92~1.08, p=0.98),試験間差もなかった。冠動脈疾患(CAD)死(HR 0.97),脳卒中死(1.06)にも有意な群間差はみられなかった。さらに試験期間中,観察期間中,CAD死,脳卒中死,その他のCVD死にも,ホルモン補充療法とプラセボ群に有意差はなく,年齢による有意な違いもみられなかった。
    ・がん死亡(2,207例):両群間(8.2% vs 8.0%:1.03;0.95~1.12, p=0.50),試験間(8.3% vs 7.9%:1.06;0.95~1.18, 8.0% vs 8.1%:0.99;0.86~1.13)に有意差はなかった。しかし,乳がん死のプラセボ群とくらべたHRはCEE+MPA群:1.44;0.97~2.15(p=0.07),CEE単独群:0.55;0.33~0.92(p=0.02);異質性p=0.003。試験期間中のがん死亡のホルモン補充療法群のHRは,50~59歳:0.74, 60~69歳:1.00,70~79歳:1.24。CEE単独群での70~79歳の結腸直腸がんのHRは2.13(年齢の傾向p=0.03)。
    ・その他(非CVD,非がん)の死亡:(2,826例):治療群間に有意差はなかった(10% vs 10.7%:0.95;0.88~1.02, p=0.14)。アルツハイマー病およびその他の認知症の死亡は2.5% vs 3.0%(HR 0.85, p=0.03),試験別では,CEE+MPA群2.6% vs 2.9%:0.93),CEE単独群2.4% vs 3.2%:0.74(p=0.01)。試験期間中のHRはCEE+MPA群で0.59だったが,CEE単独群では差はなかった。観察期間は認知症からの死亡は累積期間(HR 0.85)とCEE単独群(0.73)で低かった。またCEE群の50~59歳群で低かった(0.63)が有意な傾向はなかった:JAMA. 2017; 318: 927-38. PubMed
  • 総生殖期間が短いと心不全による入院リスクが高く,未産女性は拡張性心不全リスクが高いことが示された。
    内因性エストロゲン暴露を反映する生殖関連因子(reproductive factor)が,心臓リモデリング,心不全発症に影響する可能性を検証した結果。
    登録時に閉経していたもので,2014年9月までの心不全による入院例(28,516例:登録時の平均年齢62.7歳)。生殖関連因子は,最初の妊娠期間が≧6か月時の年齢(20~24歳),出生した数(3.3人),総生殖期間(初経[12.6±1.5歳]~閉経[47.1±7.3歳],期間:34.4±7.4年),変数は登録時の年齢,家計収入,教育レベル,人種,居住地域,BMI,高血圧,糖尿病,高脂血症,喫煙,≧1か月の授乳,妊娠損失歴,子宮摘出既往,経口避妊薬使用あるいは閉経後ホルモン補充療法。
    追跡期間13.1年の心不全による入院例は1,494例(5.2%)。多変量解析後,総生殖期間は心不全入院リスクと逆相関がみられた(5年ごとのハザード比0.95;95%信頼区間0.91~0.99)。一方で,年齢調整後は初回妊娠年齢が低い場合はリスクが有意に高かったが,多変量解析後にはリスク上昇はみられなかった。また,多変量解析後も未産と拡張性心不全リスクに有意の関係がみられた(2.75;1.16~6.52):J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 2517-26. PubMed
  • 余暇時間の身体活動(LTPA),BMIと心不全リスクに用量依存性の独立した強い関連が示された。高LTPA,低BMIとリスク低下の関連はHFpEFのほうがより強かった。
    心不全(収縮性[EF<45%:HFrEF]・拡張性[EF≧45%:HFpEF])リスクと余暇時間の身体活動(LTPA),BMIの用量依存的な関係を3つのコホート研究の個人データを統合して定量的に検証した(51,451人:CHS[4,999人] ,MESA[6,744人] ,女性コホート研究WHI[39,708人])。
    ベースライン時のLTPA評価から2年以内に発症した心不全などは除外した。ガイドライン推奨カテゴリーで,LTPA(1~499, 500~1,000, >1,000 MET-分/週)とBMI(低体重:<18.5,正常体重:18.5~<25,過体重:25~<30,肥満 class I :30~<35:class II/ III:≧35kg/m²)を層別。
    645,515人-年の追跡で心不全発症例は3,180例(CHS:48.1%, MESA:7.1%, WHI:44.8%),うちHFpEF は39.4%,HFrEFは28.7%,分類不明31.9%。
    高LTPA,低BMIと全心不全リスクに用量依存性の逆相関がみられた。HFrEF はLTPAのいずれのカテゴリーとも関連しなかった反面,低LTPA(<500 MET-分/週)はHFpEFリスクと関連しなかったが,高LTPAではHFpEFリスクが低かった。LTPA無し例とくらべ,ガイドライン推奨の>2倍高いLTPA>1,000 MET-分/週例は,HFpEFリスクが19%低かった。
    正常BMI例にくらべ,BMI高値例は段階的に用量依存性に全心不全リスクと関連がみられた。BMIとの用量依存性の関係はHFpEFリスクのほうがHFrEFよりも一貫してみられ,BMI≧25kg/m²例ではHFrEFよりもHFpEFリスク上昇が大きかった:J Am Coll Cardiol. 2017; 69: 1129-42. PubMed
  • NT-pro BNPとCVD発症-女性において有意に関連。NT-pro BNP+古典的危険因子でCVDリスク予測能はわずかに改善(ケース・コホート研究)。
    男性よりNT-pro BNP値が高いが心血管疾患(CVD)発症リスクは低い女性において, NT-pro BNPのCVDとの関連と,古典的危険因子への追加によりCVDリスク予測能が改善するかを,前向きケース・コホートデザインで検証した結果(WHI Observational Study: WHI-OS;症例[CVD発症例]1,821例・67.8歳,ランダム抽出したサブコホート1,992例・67.7歳[うち発症例132例];追跡期間中央値9.9年):ベースラインNT-pro BNP中央値は症例120.3 ng/L,サブコホート100.4ng/L(p<0.0001)。NT-pro BNP値とCVD発症には正の関係がみられた(第4[≧140.8ng/L] vs 第1四分位群[<50.9ng/L]の調整後CVDハザード比1.53;95%信頼区間1.21~1.94)。
    NT-pro BNP値を一般的なCVD危険因子に加えると,c統計量がわずかながらも有意に改善し(0.770→0.779),net reclassification,integrated discrimination improvementも有意な改善がみられた。Reynolds Risk Scoreに加えた場合も同様であった:J Am Coll Cardiol. 2014; 64: 1789-97. PubMed
  • 生活習慣と心不全-女性でも健康的な生活習慣は心不全発症リスクの低下と関連。
    生活習慣因子の心不全発症への影響を検討した結果(WHI Observational Study [WHI-OS];心不全既往のないBMI≧18.5kg/m²,摂取エネルギー600~5,000kcal/日の84,357人・平均年齢63.5歳;平均追跡期間11年):生活習慣因子を健康的/非健康的に二値化し(食事:Alternative Healthy Eating Index[AHEI]高/低スコア,身体活動:活動的/やや活動的~非活動的,BMI:18.5~<25/≧25kg/m²],喫煙:現非喫煙/喫煙),健康的生活習慣(HL)スコア(0[最も不健康]~4[最も健康的])を算出。
    心不全発症は1,826例。各因子は心不全発症と負の関係を示し,とくにBMI,喫煙の関連が強かった。HLスコアも心不全と強い負の関係を示した(スコア0と比較したスコア1~4の調整ハザード比:0.49, 0.36, 0.24, 0.23)。各因子の影響の大きさで重み付けしたHLスコア(範囲0~1.55)の解析結果も同様であった:J Am Coll Caridol. 2014; 64: 1777-85. PubMed
  • 古典的CAD危険因子に加え,アフリカ系アメリカ人,脈拍・ウエストヒップ比・白血球数の増加・心不全は,閉経後女性における心臓突然死の危険因子。
    16万1,808人において心臓突然死(SCD)の発生率と危険因子を探索した結果:平均10.8年の追跡(2009年8月まで)で,SCDは418例,年間発症率は2.4/1万人(95%信頼区間2.2~2.7)。多変量解析の結果,SCDリスクと独立して関連した因子は,高齢,アフリカ系アメリカ人,喫煙,安静時脈拍数の増加,ウエストヒップ比の増加,白血球数(WBC)の増加,心不全・糖尿病・心筋梗塞(MI)・頸動脈疾患・高血圧の現病/既往。SCDの人口寄与危険度は,高血圧が22%,ウエストヒップ比≧0.87が15%,MIが14%,WBC≧6.7Kcell/mLが11%,喫煙と心不全が各8%,糖尿病は4%であった:J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 2674-82. PubMed
  • 女性の心血管リスク予測精度はリスクモデルによる差が大きい。古典的危険因子にCRP,HbA1cなどを加えたレイノルズリスクスコアの有用性が高い。
    心血管疾患(CVD)コホート:CVD発症例(1,722例:心筋梗塞752例;脳梗塞754例;その他のCVD死216例)と検証コホート(1,944例:CVD非発症例をランダムに選別)でCVD予測度をReynolds Risk Score,Framingham Risk score,NCEP-ATP III scoreで比較:10年後のCVD発症リスクが≧10%例はリスクモデルで大きな差があった(ATP III;6%,Reynolds;10%,Framingham;41%)。較正(calibration)はReynoldsの精度が高く,ATP IIIとFraminghamはそれぞれ冠動脈疾患,CVDリスクを過大評価していた。これは再評価後も同様であった(Reynoldsの識別精度を示すC統計量は0.765でATP-III[0.757]より有意に大きかった)。再分類により純増した改善(net reclassification improvement: NRI)はReynolds(12.9%, p<0.0001),ATP III(5.9%, p=0.0001)はFraminghamより良好:Circulation. 2012; 125: 1748-56. PubMed
  • トリグリセライド,VLDLサイズ,IDL粒子数は閉経後女性の脳梗塞発症と有意に関連。
    Hormone and Biomarkers Predicting Stroke(HaBPS)study(Women's Health Initiative Observational Study[WHI-OS]の前向きnested case-control study):ベースライン時に脳卒中を認めなかった女性から,その後の脳梗塞発症例とそれらに年齢,性別をマッチさせた対照774組(年齢[中央値]69歳,白人86.8%)を抽出し,脂質およびリポ蛋白と脳梗塞リスクの関係を評価した結果(対照の平均追跡期間7.9年)。
    二変量解析において脳梗塞発症例で対照よりも有意に高かったのは,ベースライン時のトリグリセライド(TG)*,中間比重リポ蛋白(IDL)粒子数**,LDL粒子数**,超低比重リポ蛋白(VLDL)TG*,VLDL粒子数**,VLDLサイズ*,LDLサイズ(p=0.03),総コレステロール/HDL-C比*で,低かったのはHDL-C*とHDLサイズ*** p<0.001, **p<0.01)。一方,総コレステロール,LDL-C,リポ蛋白(a)には差はみられなかった。多変量解析で脳梗塞と有意に関連したのは,TG(第4四分位群 vs 第1四分位群のオッズ比1.56;95%信頼区間1.13~2.17;傾向のp=0.02),VLDLサイズ(1.59;1.10~2.28;p=0.03),IDL粒子数(1.46; 1.04~2.04;p=0.02)であった:Stroke. 2012; 43: 958-66. PubMed
  • 閉経後女性において,スタチンの使用は糖尿病新規発症リスクと関連。
    ベースライン時に非糖尿病であった153,840人において,糖尿病の発症を2005年まで追跡した結果(1,004,466人・年追跡):ベースライン時のスタチン使用者は10,834例(7.04%;simvastatin 30.29%, lovastatin 27.29%, pravastatin 22.52%, fluvastatin 12.15%, atrovastain 7.74%)。自己申告による糖尿病新規発症は10,242例。スタチン使用者は非使用者にくらべて糖尿病発症リスクが有意に高く(未調整ハザード比1.71;95%信頼区間1.61~1.83,交絡因子で調整後:1.48;1.38~1.59),この関係はスタチンの種類,年齢,人種(白人,ヒスパニック,アジア人),BMI,スタチンのLDL-C低下効果の強さ(high[simvastatin, atrovastain]:1.45;1.36~1.61, low[fluvastatin, lovastatin, pravastatin]:1.48;1.36~1.61),心血管疾患の既往の有無にかかわらず認められた:Arch Intern Med. 2012; 172: 144-52. PubMed
  • 子宮摘出例において,結合型ウマエストロゲンは介入終了後の冠動脈疾患,脳卒中,股関節骨折,結腸直腸癌,全死亡リスクに影響を及ぼさなかったが,乳癌リスクは低下。
    WHI Estrogen-Alone trial(JAMA. 2004: 291; 1701-12.)の延長追跡試験(介入終了後の2004年3月1日~’09年8月14日までの追跡結果。平均追跡期間47.2か月:試験開始からの平均追跡期間は10.7年)。介入期間中のホルモン補充療法期間は5.9年,アドヒアランス期間3.5年(いずれも中央値):プロトコール指定の試験終了日(’05年3月31日)の生存例のうち,新規に延長追跡に同意した症例はCEE群3,778例,プラセボ群3,867例。冠動脈疾患(CAD)(ハザード比0.97;95%信頼区間0.75~1.25),侵襲性乳癌(0.75;0.51~1.09),全死亡(1.00;0.84~1.18)リスクには有意な群間差は認められなかった。介入期間に認められた脳卒中リスクの増加は,介入後には認められなかった(0.89;0.64~1.24)。深部静脈血栓症のリスクはCEE群で減少したが(0.63;0.41~0.98),股関節骨折には有意差はなかった(1.27;0.88~1.82)。乳癌のリスクは全追跡期間ではCEE群で低下した(0.77;0.62~0.95)。年齢層別(50~59歳,60~69歳,70~79歳)の解析では,CAD,MI,結腸直腸癌,全死亡,慢性疾患は若年齢者ほど良好であった:JAMA. 2011; 305: 1305-14. PubMed
  • 閉経後女性において,バイオマーカーを古典的危険因子に追加しても2型糖尿病のリスク予測への付加価値は見出せず。
    Women’s health Initiative Observational Study (WHIOS):1994年9月~’98年12月,50~79歳の女性9万3,676人を登録。2型糖尿病発症1584例,対照2,198例。
    6年間の糖尿病発症推定累積リスク:炎症マーカー(白血球数,インターロイキン6,hs-CRP),内皮機能不全マーカー(可溶性細胞間接着分子1)は,危険因子(年齢,人種/民族,腹囲,高血圧,薬物治療が必要であった高脂質値,身体活動,喫煙,喫煙,飲酒,1親等以上の糖尿病家族歴)+空腹時血糖値に基づいた参照モデルデル適合を有意に改善したが,モデル識別能はいずれの炎症・内皮機能マーカーも改善しなかった(ROC曲線下面積は0.93)。net 再分類,予測値は6年間の糖尿病カットオフ値15%で陽性適中率(0.22~0.24),陰性適中率(全0.99):Arch Intern Med. 2010; 170: 1557-65. PubMed
  • 閉経後の女性において危険因子に18のバイオマーカーを加えると冠動脈疾患リスクの予測能が改善。
    WHI-HT(Women’s Health Initiative Hormone Trials)のnested case-control biomarker study(冠動脈疾患[CAD]発症例321例,対照743例):古典的危険因子(スタチン治療,ホルモン補充療法,心血管疾患既往を含む)はフラミンガムリスクスコア+nested case-control studyからの新変数に比べC統計量(C-statistic)が改善(0.729 vs 0.699, p=0.001)。CRPなどの18のバイオマーカー(CADと独立して関連したのはインターロイキン-6,D-ダイマー,凝固因子VIII,フォン・ヴィレブランド因子,ホモシステインの5因子のみ)を加えると,さらに改善した(0.751 vs 0.729, p=0.001)。CRPは単独でも,その他のバイオマーカーとの組み合わせでもCADリスクの有意な予測能改善は認められなかった:J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 2080-91. PubMed
  • 女性における安静時の心拍数は心筋梗塞,冠動脈疾患死を独立して予測するが,脳卒中の予測因子ではない。
    既往例(心筋梗塞[MI],脳卒中,血行再建術)を除外した12万9,135人での観察:ベースライン時の安静時心拍数の分布と平均年齢は,≦62拍/分(bpm):32,195人(62.4歳),63~66 bpm:23,213人(62.6歳),67~70 bpm:24,235人(62,7歳),71~76 bpm:25,453人(62.8歳),>76 bpm:24,039人(63.0歳);年齢p<0.001。
    平均追跡期間7.8年で心筋梗塞(MI),CAD死2,281例,脳卒中1,877例。心拍数5分位によるハザード比(多変量解析):MI,CAD死(63~66 bpm:1.02[95%信頼区間0.89~1.17], 67~70 bpm:1.08[0.95~1.23], 71~76 bpm:1.02[0.89~1.16], >76 bpm:1.26[1.11~1.42] vs ≦62 bpm;p=0.001),脳卒中:(それぞれ1.04[0.90~1.20], 0.96[0.83~1.11], 1.07[0.94~1.23], 1.01[0.87~1.16];p=0.64):BMJ. 2009; 338: b219. PubMed
  • estrogen+progestin治療中に上昇した心血管リスクは治療中止後はみられなくなった:治療群343イベント(1.97%),プラセボ群323イベント(1.91%)。しかし,悪性腫瘍は治療群で多く発症した:281例[1.56%] vs 218例[1.26%];ハザード比1.24:JAMA. 2008; 299: 1036-45. PubMed
  • サブスタディ:WHI-Coronary-Artery Calcium Study (CACS)
    子宮摘出後例で試験開始時に50~59歳であった1064例(estrogen群537例,プラセボ群527例)に心臓CTを施行した。治療後平均7.4年,試験終了から1.3年後(ランダム化から8.7年後)に冠動脈のカルシウムスコアを測定。
    カルシウムスコアは,estrogen群83.1でプラセボ群123.1より低かった(p=0.02)。冠危険因子で調整後のプラセボ群と比較したestrogen群の多変量オッズ比(OR)は,カルシウムスコア>0:OR 0.78;95%信頼区間0.58~1.04(p=0.09), ≧10:0.74;0.55~0.99(p=0.04), ≧100:0.69;0.48~0.98(p=0.04)。
    試験薬の遵守率が80%以上のもののORはそれぞれ,0.64;0.46~0.91(p=0.01), 0.55;0.39~0.79(p<0.001), 0.46;0.29~0.73(p=0.001)。
    カルシウムスコアが300を超える場合のORはintention-to -treat解析で0.58(vs <10, p=0.03),遵守率80%以上のものは0.39(p=0.004):N Engl J Med. 2007; 356: 2591-602. PubMed
  • ECG(心電図)正常例9744例,minor心電図異常*4095例,major心電図異常**910例。3年後心電図正常から心電図異常となったものは5%で,冠動脈イベント(CHD)は85例/10000人・年。調整後のCHDのハザード比はminor心電図異常1.55,major心電図異常3.01,心電図異常2.60。ホルモン補充療法と心電図異常との間に関連はみられなかった。* I~II度の房室ブロック;心室興奮延長ボーダーライン;心室再分極遅延;isolated minor Q,ST-T異常;ST-T異常を伴わない左室肥大;左心房拡大;心房,心室期外収縮;束枝ブロック,のいずれかが該当するもの。** 心房細動,心房粗動;高度の房室解離;左脚ブロック;右脚ブロック;確定できない伝導遅延;Q波梗塞;isolated 虚血異常;ST-T異常を伴う左室肥大;その他の不整脈(Novacode 1.4, 1.7, 1.8, 1.9, 2.4)のいずれかが該当するもの:JAMA. 2007; 297: 978-85. PubMed
  • 7年間のカルシウム(炭酸カルシウム500mg)+ビタミンD(25- hydroxy D3 200IU)×2回/日のサプリメント投与による冠動脈リスク,脳血管リスクの上昇も低下もみられなかった:Circulation. 2007; 115: 846-54. PubMed
  • 観察研究:ベースライン時の前高血圧は35%,うち白人39.5%,黒人32.1%,ヒスパニック42.6%,アメリカインディアン38.7%,アジア40.3%(p<0.0001)。血圧が高くなるにつれ年齢,BMI,糖尿病,高脂血症も上昇したが,喫煙率は低下した(全p<0.0001)。正常血圧例と比較した心血管死のハザード比(HR)は1.58,心筋梗塞1.76,脳卒中1.93,心不全による入院1.36,心血管イベント1.66。ヒスパニックとアジア人ではイベント率が低かったが,複合イベントのHRに人種差はなかったが(p=0.71):Circulation. 2007; 115: 855-60. PubMed
  • 微粒子空気汚染(空気動力学的直径2.5μm未満の微粒子状物質):PM2.5)の長期曝露は心血管イベントおよび死亡の増加と関連:N Engl J Med. 2007; 356: 447-58. PubMed
  • Observational Study(90,185例・1993年10月1日~2004年8月31日,平均追跡期間は7年):超肥満(BMI≧40kg/m²)は黒人で10%,アジア・太平洋諸島系で1%と人種差があった。10,000人・年当たりの全死亡率は,正常BMIで68.39,過体重(BMI 25.0~29.9)で71.16,肥満1(30.0~34.9)で84.47,肥満2(35.0~39.9)で102.85,超肥満で116.85であった。年齢,喫煙,教育レベル,アメリカの地域,肉体活動で補正すると,全死亡,冠動脈疾患死,冠動脈疾患リスクと体重の相関に民族/人種による違いはなかった。白人,黒人で補正すると,全死亡率と冠動脈疾患は体重増加と正の相関傾向が認められた。肥満関連死および冠動脈疾患リスクの大半は糖尿病,高血圧,高脂血症が原因である:JAMA. 2006; 296: 79-86. PubMed
  • conjugated equine estrogenにより脳梗塞のリスクが上昇するが,この相関は出血性脳卒中ではみられない:Circulation. 2006; 113: 2425-34. PubMed
  • 食事介入(脂質の摂取量を減らし,野菜,果物,穀類の摂取量を増やす)が乳ガン,結腸直腸ガン,心血管疾患のリスクを低下させるかを検討するWHI Dietary Modification Trialの結果:食事介入群19,541例,通常食事(対照)群29,294例。平均追跡期間8.1年。CHDは介入群1000例(0.63%) vs 対照群1549例(0.65%):ハザード比(HR)0.97;95%信頼区間(CI)0.90~1.06,脳卒中は434例(0.28%) vs 642例(0.27%):HR 1.02(95%CI 0.90~1.15),心血管疾患は1357例(0.86%) vs 2088例(0.88%):HR 0.98;95%CI 0.92~1.05で,介入群の有意な有効性は認められなかった。飽和脂肪,トランス脂肪の摂取量の少ないもの,野菜,果物を多くとるものはCHDリスクの低下が大きい傾向にあった:JAMA. 2006; 295: 655-66. PubMed
  • WHI Dietary Modification Trial参加者からホルモン補充療法ランダム化試験参加者,心室伝導障害を除いた38,283例・追跡期間9.2年の結果:心室の再分極の異常は,ECG上の心筋梗塞およびQRS異常と同様にCHDイベントおよびCHD死の重要な予測因子である:Circulation. 2006; 113: 473-80. PubMed
  • コホートスタディ(WHI Observational Study) :ベースライン時(1994~'98年)に50~79歳の93,676例中,心血管疾患既往のない高血圧例は30,219例。うち単剤降圧療法(ACE阻害薬,β遮断薬,Ca拮抗薬,利尿薬)は11,294例,併用降圧療法(利尿薬+ACE阻害薬あるいはβ遮断薬あるいはCa拮抗薬,またはACE阻害薬+Ca拮抗薬)は4493例。平均追跡期間5.9年後,冠動脈疾患1509例(5.0%),脳卒中607例(2.0%),心血管死245例(1.3%)。利尿薬単剤群に比べCa拮抗薬単剤群の心血管死のリスクが大きかった(ハザード比1.55;95%信頼区間[CI]1.02~2.35)。利尿薬+Ca拮抗薬群は利尿薬+β遮断薬群に比べ心血管死のリスクは85%上昇した:JAMA. 2004; 292: 2849-59. PubMed
  • estrogen+progestinは静脈血栓リスクが倍増。この併用療法のリスクは年齢,過体重あるいは肥満,第V因子 Leidenと関連して上昇する:JAMA. 2004; 292: 1573-80. PubMed
  • 平均追跡期間6.8年(WHI Estrogen-Alone trial):子宮摘出例において,conjugated equine estrogen(結合型ウマエストロゲン)は脳卒中のリスクを上昇させ,大腿骨骨折を抑制,CHDイベントには影響しなかった。結合型ウマエストロゲンは閉経後の女性における慢性疾患予防としては勧めるべきではない:JAMA. 2004: 291; 1701-12. PubMed
  • 末梢血管イベントは両群間に有意差なし(HR 0.89)。1年後のestrogen+progestin群のHRは1.33,2年後1.27,5年後0.85,6年以上後0.87:Circulation. 2004; 109: 620-6. PubMed
  • 5.6年後の骨折はestrogen+progestin群8.6%,プラセボ群11.1%(HR 0.76)。年齢,BMI,喫煙・転倒・骨折歴あるいは家族歴,カルシウム摂取量,ホルモン療法既往,骨密度,骨折リスクスコアによる有効性にいずれも有意差なし。3年後の大腿骨骨密度増加率は3.7% vs 0.14%(p<0.001):JAMA. 2003; 290: 1729-38. PubMed
  • 5.6年後の卵巣癌発症はestrogen+progestin群20例,プラセボ群12例(HR 1.58)。子宮内膜癌は27例 vs 31例(0.81)。実薬群で子宮内膜生検の必要が有意に増加した(33% vs 6%, p<0.001):JAMA. 2003; 290: 1739-48. PubMed
  • 運動量の多い閉経後女性の乳癌発症リスクは低下傾向:JAMA. 2003; 290: 1331-6. PubMed

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収載年月2002.09
更新年月2017.09