循環器トライアルデータベース

WELL-HART
Women's Estrogen-Progestin Lipid-Lowering Hormone Atherosclerosis Regression Trial

目的 冠動脈疾患を有する閉経後女性において,17β-estradiol(endogeneous estrogen molecule)単独経口投与あるいはmedroxyprogesterone acetateとの併用投与が,アテローム性動脈硬化の進展に及ぼす影響を検討。一次エンドポイントは狭窄率の変化。
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(アメリカの5施設)。
期間 追跡期間3.3年(中央値)。実施期間は1995年6月~2000年10月。
対象患者 226例。75歳以下の女性。子宮の有無は問わず閉経後であること。LDL-C 100~250mg/dL,総トリグリセリド<400mg/dL,血管径の閉塞30%以上の冠動脈病変が1つ以上。PTCA既往;ガイドワイヤーを通していない冠動脈において,狭窄20%以上の病変がある場合。CABG既往;開存グラフトの近位側にない狭窄20%以上の病変がある場合。
除外基準:15本/日以上の喫煙者,5年以内の乳がんあるいは婦人科がん既往,拡張期血圧>110mmHg,空腹時血糖値>200mg/dL,血清クレアチニン値>2.5mg/dL,甲状腺疾患,うっ血性心不全など。
■患者背景:平均年齢63.5歳,閉経からランダム化までの期間は平均18.2年(0.1~48.6年),人種的・民族的に少数派が約70%。
治療法 糖尿病の有無により層別化後,estrogen群(76例):17β-estradiol 1mg(毎日)+プラセボ(12日間/月),estrogen-progestin併用群(74例):17β-estradiol 1mg(毎日)+medroxyprogesterone acetate 5mg/日(12日間/月),プラセボ群(76例)にランダム化。
LDL-C<130mg/dLを目標に食事療法と脂質低下療法(主にHMG-CoA reductase阻害薬)を行った。評価は最初の6か月は毎月,それ以降は隔月。冠動脈造影はベースライン時と3年後に実施。
一次エンドポイントは,ベースライン時と追跡定量的冠動脈造影(QCA)上の狭窄率の差とした。
結果 QCAの解析は評価可能な166例(各54例,53例,59例)で実施。
狭窄率の差はestrogen群2.18%,estrogen-progestin群1.24%,プラセボ群1.89%と3群間に有意差はなかった(p=0.66)。狭窄率の群間差はestrogen群とプラセボ群で0.29%,estrogen-progestin群とプラセボ群で-0.65%。
糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて平均で約2倍の速さで狭窄が進行した。HDL-C値は対照群との比較において両実薬群で有意に上昇し,LDL-C値は有意に低下した。
死亡は9例(2例,3例,4例)。心血管イベント(心血管死,非致死性心筋梗塞,不安定狭心症,脳血管事故,一過性脳虚血発作,可逆性の虚血性神経障害,深部静脈血栓症,肺塞栓)は50例で3群間に有意差なし(16例,18例,16例,p=0.86)。
★結論★17β-estradiol単独またはmedroxyprogesterone acetateとの併用投与はいずれもアテローム性動脈硬化の進展に有意な影響を及ぼさなかった。
文献
  • [main]
  • Hodis HN et al for women's estrogen-progestin lipid-lowering hormone atherosclerosis regression trial research group: Hormone therapy and the progression of coronary-artery atherosclerosis in postmenopausal women. N Engl J Med. 2003; 349: 535-45. PubMed

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収載年月2003.10