循環器トライアルデータベース

ECRIS
EndoCoronary-Rhenium-Irradiation-Study

目的 冠動脈血管形成術施行例において,β線源である液体レニウム188を充填したバルーンカテーテルによる放射線療法の有効性を検討。一次エンドポイントは6か月後の標的血管の再狭窄。
コメント 従来,冠動脈内放射線治療は主としてステント内再狭窄に対して検討され,新規病変に対する効果は明らかではない。今回レニウム188を用いたβ線治療は新規病変でもステント使用の有無に関わらず再狭窄率と冠血行再建術再施行を抑制している。レニウム188はバルーン内に注入する液体なのでIVUSを用いなくてもバルーンサイズや長さを個々のセグメントに合わせて決定できる。β線治療はγ線治療に比し治療時間が短く,治療スタッフへの影響も少ない。長期の抗血小板療法によりステント内血栓による急性心筋梗塞の発症も抑制できる。今回の結果は標的血管だけでなくセグメント全体においても有用性を示していることが注目される。今後,薬剤溶出ステントよりも安価に,新規病変でもステント内再狭窄でも加療できるかもしれない。展望としては3mm以下の小病変と複雑病変(B2/C)に対する効果を明らかにすることである。(星田
デザイン 無作為割付け,per protocol解析。
期間 追跡期間は6か月。登録期間は1999年1月~2001年8月。
対象患者 225例。血行再建術成功例(ステントの有無は問わず);40~80歳,症候性あるいは運動負荷試験で認められる虚血,native冠動脈あるいは静脈バイパスグラフト病変,血管形成術中の虚血耐性≧1分。
除外基準:急性心筋梗塞,プロテクトされていない主幹冠動脈狭窄,高度な血管蛇行など。
■患者背景:レニウム22.5Gy群でステント植込み例が有意に少なかったことを除き(45% vs 63%,p<0.02),ベースライン時の患者背景は両群で同等。
治療法 レニウム22.5Gy群(113例):レニウム188を充填したバルーンカテーテルでβ線照射(22.5Gy):照射バルーン長は最長40mm,対照群(112例):血管形成後の介入なし,にランダム化。
6か月後に臨床上,血管造影上の所見を評価。再狭窄は>50%と定義。晩期内腔損失は施行後と6か月後の最小血管径の差とした。試験期間中aspirin 100mg/日を継続投与。ステント植込み例には照射後にticlopidine 250mg×2回/日またはclopidogrel 75mg/日を4週間投与(1999年8月以降,6か月に延長)。
結果 平均照射部位長35.0mm,平均バルーン径3.2mm,平均照射時間6.8分。
クロスオーバーはなかった。カテーテル再施行は203例(90.2%)。6か月後の血管造影所見はレニウム22.5Gy群95例,対照群91例で解析。
一次エンドポイントは,レニウム22.5Gy群で対照群に比べて有意に低下し(6.3% vs 27.5%,p<0.00008),セグメント全体でも同様であった(12.6% vs 28.6%,p<0.007)。
晩期内腔損失は標的血管で0.11mm vs 0.69mm(p<0.0001),セグメント全体で0.22mm vs 0.70mm(p<0.0001)。新規病変131例でも晩期内腔損失はレニウム22.5Gy群で有意に少なく,これはステント植込みとは関係なかった。血行再建術再施行率は標的血管で2.1% vs 18.7%(p=0.0002),セグメント全体で6.3% vs 19.8%(p=0.006)。
抗血小板療法を6か月に延長したサブグループにおいて,レニウム22.5Gy群でMACE;心臓死,MI,標的血管の血行再建術再施行が対照群との比較で有意に低下した(intention-to-treat解析)。
★結論★レニウム188を充填したバルーンカテーテルによる冠動脈内β線照射は安全であり,再狭窄および血行再建術再施行を抑制した。
文献
  • [main]
  • Hoher M et al: Intracoronary beta-irradiation with a rhenium-188-filled balloon catheter; a randomized trial in patients with de novo and restenotic lesions. Circulation. 2003; 107: 3022-7. PubMed

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収載年月2003.10