循環器トライアルデータベース

ASSENT-Plus
Assessment of the Safety and Efficacy of a New Thrombolytic Regimen Plus

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解薬alteplaseの併用薬として低分子量heparin(LMWH)と非分画heparin(UFH)の冠動脈開存性,長期転帰,および安全性を比較。一次エンドポイントはTIMI grade 3。安全性のエンドポイントは脳以外の出血,頭蓋内出血,脳卒中など。
コメント 本trialは緊急PCIの施行できないスウェーデンと北米の計22施設からの報告である。急性期の結果は低分子heparin(dalteparin)がalteplaseによる凝固・血小板の活性化をより抑制する可能性を示唆するが,投与期間が異なるために断定はできない。また慢性期の結果はenoxaparinを用いたASSENT-3やENTIRE-TIMI 23とは異なり,非分画heparinとの有意差が認められなかった。dalteparin中止による凝固系の再活性化も一因と考えられる。再閉塞・心筋梗塞が多枝病変や高度狭窄性病変に多発していることから,t-PA+低分子heparinはあくまでもPCIまでの“ブリッジ”と位置づけるべきであろう。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(スウェーデン18施設,北米4施設)。
期間 追跡期間は30日。登録期間は1999年3月~2000年4月。
対象患者 439例。18歳以上。発症より6時間以内。心電図所見:2つ以上の肢誘導で0.1mV以上のST上昇,あるいは2つ以上の連続する胸部誘導で0.2mV以上のST上昇,あるいは新規の左脚ブロックと推定されるもの。
除外基準:高血圧,24時間以内の血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与,最近の手術または外傷,脳卒中,一過性脳虚血発作,痴呆など。
■患者背景:平均年齢65歳,男性70%,高血圧32%,喫煙者34%,糖尿病12%,下壁梗塞54%,前壁梗塞44%,発症~治療<2時間33%;同2~4時間49%。
治療法 入院時にLMWH群(223例)とUFH群(216例)にランダム化し,alteplase≦100mgを90分間加速注入と同時に投与を開始。
LMWH群:dalteparin 120IU/kgを12時間ごとに冠動脈造影前夜までの4~7日間皮下投与。初回のみ1/4量(最大投与量2500 IU)をボーラス静注,残りを皮下注。
UFH群:4000または5000IUをボーラス静注後,800IU/時(体重≦67kg)または1000IU/時(>67kg)を活性化部分トロンボプラスチン時間50~75秒に保つように48時間継続静注。
全例にaspirin 150~325mg/日を投与。
ランダム化前,24~36時間後,退院時,心筋虚血再発の発症時に12誘導ECG実施。
サブスタディ:LMWH群の26例において,ランダム化時,90分,3,4,8,48,52時間後に血漿サンプルを採取し抗Xa値を分析。
結果 平均6日後の梗塞責任動脈の再灌流(TIMI grade)は,LMWH群の方がUFH群に比べ有意に高かったが(p=0.016),一次エンドポイントは両群間で有意差は認められなかった(LMWH群69.3% vs UFH群62.5%,p=0.163)。TIMI grade 0~1(13.4% vs 24.4%,p=0.006),TIMI grade 0~1+血栓(27.9% vs 42.0%,p=0.003)はともにLMWH群で有意に少なかったが,6日以内の評価ではTIMI grade 0~1の頻度に有意差はなかった。
7日後の死亡+MIはLMWH群で低い傾向にあり(3.6% vs 8.1%,p=0.059),MI再発率は有意に低かった(1.4% vs 5.4%,p=0.010)。しかし同群では治療終了後早期にMI再発が増加し,30日後の死亡+MIは両群で同等(9.1% vs 10.6%)。MI再発例は主に2~3枝病変,責任冠動脈の残存狭窄50~99%の患者であった。
30日後の死亡はLMWH群9例(4.1%),UFH群11例(5.2%)で両群間に有意差なし。出血65例 vs 58例(うち重大な出血は16例 vs 20例;頭蓋内出血2例 vs 4例),脳卒中6例 vs 5例といずれも両群間差はなかったが,出血性脳卒中はLMWH群で低かった(2例 vs 4例)。
サブスタディ:LMWH群(26例)の抗Xa値は90分後に平均0.56 IU/mLで安定レベルに達し,3~4時間持続(0.55 IU/mL)。8時間後に下がり始め(0.40 IU/mL),トラフ(最下点)は治療48時間後の0.44 IU/mL,ピークは52時間後の0.67 IU/mL。
★結論★AMIにおけるalteplase+LMWH 4~7日間の治療は早期の冠動脈閉塞および再梗塞のリスクを低下させると思われるが,治療中止後早期のイベントリスクが上昇し,長期的な有効性は消失する可能性がある。
文献
  • [main]
  • Wallentin L et al: Low molecular weight heparin (dalteparin) compared to unfractionated heparin as an adjunct to rt-PA (alteplase) for improvement of coronary artery patency in acute myocardial infarction-the ASSENT plus study. Eur Heart J. 2003; 24: 897-908. PubMed

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収載年月2003.08