循環器トライアルデータベース

ATLAS
Acolysis During Treatment of Lesions Affecting Saphenous Vein Bypass Grafts

目的 伏在静脈グラフト(SVG)例において,acolysis(超音波血栓溶解療法)後のCABGあるいはステント(PCI:経皮的冠動脈インターベンション)施行と,CABG,PCI施行中の血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬abciximab投与とを比較。一次エンドポイントは手技成功率(最終狭窄率≦30%),またはTIMI grade 3,および30日以内の主要有害心イベント(MACE:死亡+Q波および非Q波梗塞+緊急バイパス術+介護を要する脳卒中,標的病変の血行再建術再施行)非発生。
デザイン 無作為割り付け,多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は360日。登録期間は1998年4月22日~2000年11月2日。
対象患者 181例。急性冠症候群,または冠動脈造影上あるいは臨床的血栓が認められ,バイパスグラフト既往で静脈グラフトに新規病変がある症例。
登録基準:1)不安定狭心症,安静時ECGの虚血性ST変化,治療24時間前の心筋梗塞,あるいは負荷テスト陽性例,2)治療を要する1あるいは2枝病変を有するSVGで過去30日間治療を受けず,今後30日間に他のインターベンションの予定のないもの,3)EF≧25%,4)クレアチンキナーゼ(CK),CK-MBが正常値内など。
除外基準:7日以内の血栓溶解,aspirin,heparinあるいはabciximabに対する過敏反応,6か月以内の重大な胃腸出血,6週間以内の主要手術,2年以内の脳卒中,治療抵抗性高血圧(>180/110mmHg)など。
治療法 acolysis群(92例):超音波溶解を1病変あたり60秒間隔で最長6分実施,abciximab群(89例):バルーン拡張前に0.25mg/kgを10分以上(<1時間)ボーラス静注後,0.125μg/kg/分(最大10μg/分)を12時間注入,にランダム化。
7F以上のガイドカテーテルおよび0.014インチのエキストラサポートガイドワイヤーの使用を推奨。全症例に試験開始の少なくとも1日前にaspirin 325mgを投与。acolysis群は体重補正heparinを活性化凝固時間を300秒以上に保つように投与。abciximab群の目標凝固時間は200~300秒。ticlopidine 250mg×2回/日を治療開始前日の朝,あるいは500mgを施行日に投与。
■サブスタディ:冠動脈造影上グラフトの完全閉塞が認められる33例:acolysis群(17例),abciximab群。
結果 acolysis群で有害事象の発生率が有意に高かったため,試験は予定より早く中止された。
一次エンドポイントはacolysis群53.8%,abciximab群73.1%(p=0.014)。
冠動脈造影上の手技成功率は,acolysis群63%,abciximab群82%(p=0.008)。30日後のMACEはacolysis群25%,abciximab群で12%(p=0.036)で,acolysis群の高発生率は主に非Q波梗塞の増加に起因した(19.6% vs 7.9%,p=0.03)。Q波梗塞の発症率も有意差はなかったが同群で高かった(5.4% vs 2.2%,p>0.05)。360日後のMACEは39.1% vs 22.5%(p=0.017)で,やはり非Q波梗塞の発症率が高かった(23.9% vs 10.1%,p=0.017 )。
■サブスタディ:30日後のMACEの発生率はacolysis群23.5%,abciximab群12.5%(p=0.66)。Q波梗塞11.8% vs 0%,p=0.48,非Q波梗塞11.8% vs 6.3%,p=0.1でともにacolysis群で高かった。360日後のMACE発生率も35.3% vs 12.5%でacolysis群で高かった(p=0.22)。
★結論★急性冠動脈疾患例において,グラフト病変への超音波血栓溶解療法は,冠動脈造影上の転帰は不良で,急性虚血性合併症の発症も増加した。
文献
  • [main]
  • Singh M et al: Treatment of saphenous vein bypass grafts with ultrasound thrombolysis: a randomized study (ATLAS). Circulation. 2003; 107: 2331-6. PubMed

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収載年月2003.08