循環器トライアルデータベース

VPS II
Second Vasovagal Pacemaker Study

目的 血管迷走神経性失神患者においてペーシング治療が失神再発のリスクを低下させるかを検討。一次エンドポイントは,一過性意識消失としての失神。
コメント 神経調節性失神に対しては確実な薬物治療はなく,今回の試験でペースメーカー治療の効果も支持されなかった。editorial comment(p2272-5:PMID;12734140)を参照のこと。(井上
デザイン 無作為割付け,二重盲検,多施設(カナダ,オーストラリア,米国,コロンビアの15施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。試験期間は1998年9月~2002年4月。
対象患者 100例。19歳以上。典型的な血管迷走神経性失神歴を有する患者で,過去6回以上または2年以内に3回以上失神が発生した例。チルトテーブル試験の結果が陽性であり,心拍数×血圧<6000/分・mmHgの例。
除外基準:失神の他の原因が明らかなもの,重篤な弁,冠動脈,心筋の疾患,心電図異常,他の主要な非心血管疾患。
■患者背景:失神回数は4回(中央値),失神治療薬はβ遮断薬48%,fludrocortisone 19%など。
治療法 二腔ペースメーカー植込み後,二腔ペーシング(DDD)群(48例,50.8±17.6歳)またはペーシングなしでセンシングのみ(ODO)群(52例,47.8±17.7歳)にランダム化。DDD群では,急速な心拍数の低下を検知したらrapid DDDペーシングを開始するrate drop 応答型ペーシング(drop size 20拍,drop rate 70拍/分,intervention rate 100拍/分を2分間)を実施。
結果 一次エンドポイントはODO群22例(42%) vs DDD群16例(33%)。6か月間の失神の累積リスクはODO群40%(95%信頼区間[CI ]CI 25-52%) vs DDD群31%(95%CI 17-43%)。DDD群における最初の失神再発までの時間の相対リスク低下(RRR)は30.2%(95%CI -33.2-63.4%,p=0.14)であった。失神時間はODO群2分,DDD群1分(中央値)。
ODO群で感染症によるペースメーカー再植え込みおよび静脈血栓が各1例,DDD群でペーシングの除去を要する心タンポナーデが1例発生し,リード離脱または再留置がODO群3例,DDD群4例でみられた。
★結論★血管迷走神経性失神患者においてペーシング治療は失神の再発リスクを低下させなかった。ペースメーカーの有効性の証拠が乏しいこと,合併症のリスクを考慮すると,血管迷走神経性失神患者の第一選択治療としてペーシング治療を推奨すべきではない。
文献
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  • Connolly SJ et al for the VPS II Investigators: Pacemaker therapy for prevention of syncope in patients with recurrent severe vasovagal syncope; second vasovagal pacemaker study (VPS II); a randomized trial. JAMA. 2003; 289: 2224-9. PubMed
    Kapoor WN: Is there an effective treatment for neurally mediated syncope? JAMA. 2003; 289: 2272-5. PubMed

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収載年月2003.08