循環器トライアルデータベース

ANTIBIO
Antibiotic Therapy After an Acute Myocarial Infarction

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者においてマクロライド系抗生物質roxithromycinが合併症発症率および死亡率を低下させるかを検討。一次エンドポイントは12か月後の全死亡率。
コメント 慢性ウイルスあるいは細菌感染症は血管壁の炎症反応の誘発・維持因子と考えられ,動脈硬化の進展を助長しうる。中でも,発見から20年も経っていないクラミジア肺炎菌感染症は動脈硬化進展の重要な起因因子として注目されている。マクロライドはクラミジア肺炎菌に抗菌効果を有し,抗炎症作用も示す。これまでマクロライドが心血管イベントを抑制するか否かは意見が分かれている。CLARIFY,STAMINAはpositiveな結果であったが,症例数の多いACADEMIC,AZACS,WIZARDはnegativeな結果であった。本研究はnegativeな結果であったが,マクロライドの臨床効果に対してこれまで問題とされた,(1)抗菌薬の種類,(2)病態の不安定性,(3)治療期間,(4)クラミジア肺炎菌抗体価,については依然明らかではない。慢性感染症に対する抑制効果を期待するには最低1年間の治療が必要と考えられる。2004年に発表されるACES trialとPROVE IT trialは症例数が各々4000例で1~2年間の治療を行っており,これらの結果は重要な意味を持つであろう。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ドイツの68施設),intention-to-treat解析。
期間 治療期間は6週。追跡期間は12か月。登録期間は1999年9月~2001年4月(登録数不良のため,2000年12月の終了予定を延長後,'01年3月中止)。
対象患者 872例。平均年齢61歳。ST上昇または非ST上昇AMIで発症後48時間以内の入院例,入院後5日以内のもの。AMIの診断基準は,(1)20分以上持続する狭心痛,(2)著明なCK-MB,またはトロポニンTまたはIの上昇を伴う正常値の上限の3倍超のクレアチニンキナーゼ上昇,(3)ST上昇MIまたは非ST上昇MIを示唆するECG上の変化。
除外基準:他試験への参加,妊娠,授乳期,roxithromycin他のマクロライド系抗生物質のアレルギー,試験プロトコル遵守を妨げるような肝,中枢神経に臨床的に関連する疾患またはその他の全身性疾患,ergotamineやdihydroergotamineを含む薬剤の使用など。
治療法 roxithromycin群(433例):300mg/日を6週間投与,またはプラセボ群(439例)にランダム化。
結果 ベースライン時,roxithromycin群でST上昇MIのうち前壁AMIの比率が高く(48.1% vs 40.2%,p=0.027),慢性閉塞性肺疾患の有病率が低かった(3.5% vs 6.9%,p=0.028)他は,両群間で差がなかった。roxithromycin群ではプラセボ群に対して,4週間未満で投薬を中止した例が多かった(78例[18%] vs 48例[11%],p=0.003,オッズ比1.8,95%信頼区間[CI]1.2~2.6)。
一次エンドポイントはroxithromycin群28例(6.5%) vs プラセボ群26例(6.0%)で,両群間に有意差は認められず(オッズ比1.1,95%CI 0.6~1.9,p=0.739),ベースライン時の患者背景の違いで調整した後も両群間差はなかった(multivariateオッズ比1.1,95%CI 0.6~2.0,p=0.797)。
二次エンドポイント((1)退院までの死亡+再梗塞+蘇生術+脳卒中+梗塞後狭心症;(2)12か月間の死亡+再梗塞+蘇生術+脳卒中+入院を要する不安定狭心症;(3)12か月間の経皮的冠インターベンションまたはCABG)にも両群間差はなかった。
★結論★AMI患者におけるroxithromycin治療は12か月間のイベント発生率を低下させなかった。本試験の知見からは,AMI患者に対するマクロライド系抗生物質治療のルーチン使用は支持されない。
文献
  • [main]
  • Zahn R et al for the arbeitsgemeinschaft leitender kardiologischer krankenhausarzte (working group of leading hospital crdiologists; ALKK):
    Antibiotic therapy after acute myocardial infarction; a prospective randomized study. Circulation. 2003; 107: 1253-9. PubMed

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収載年月2003.05