循環器トライアルデータベース

DAVID
Dual Chamber and VVI Implantable Defibrillator Trial

目的 徐脈に対するペーシング治療の適応のないICD植込み例において,二腔(心房心室)ペーシング(DDDR)の有効性をbackup心室ペーシング(VVI)と比較。一次エンドポイントは,死亡あるいはうっ血性心不全(CHF)による初回の入院までの時間。
コメント 新世代のICDには二腔ペーシング機能が付いているが,徐脈性不整脈を合併していない例(つまり,二腔ペーシングの適応のない例)では,心不全の薬物治療を適切にする限り,二腔ペーシングとする必要のないことが示された。(井上
デザイン 無作為割付け,単一盲検(患者はペーシングモードに対しブラインド),多施設(米国の37施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は中央値8.4か月(0~23.6か月)。2000年10月~'02年9月登録。
対象患者 506例。平均年齢65歳。頻脈性心室性不整脈治療としてICD植込みの適応であるが,徐脈治療のペーシングの適応でないもの。EF≦40%(平均27%)で次のいずれかにあてはまるもの:(1)心室細動,(2)失神を来たす持続性心室頻拍(VT),(3)失神を来たさないVTで以下のいずれか。(a)持続性VT,収縮期血圧<80mmHgまたは著明な心症状,(b)著明な症状のある非持続性VT(NSVT)で電気生理検査(EPS)で持続性VTまたはVFが誘発,(c)症状がないか最小限のNSVTでEPSで持続性VTまたはVFが誘発,(4)院外での原因不明の失神,心疾患,EPSで持続性VTまたはVFが誘発,(5)血行動態的に安定している持続性VT,(6)6週以内のEPSでVTまたはVFが誘発。
除外基準:(1)永久ペースメーカー,(2)既存の心内ペーシングリード,(3)CABG,PCI,心臓または不整脈の手術の予定があり未実施のもの,(4)症候性徐脈またはII~III度のAV ブロック,(5)不適格な心房細動(罹病期間が不明,>6か月など),(6)高頻度に発症するコントロール不能な頻脈性心房性不整脈,(7)心移植待機中など。
治療法 心拍応答型二腔(心房心室)ペーシング機能を持ったICD植込み後,VVI-40群(256例):上室性頻脈(SVT)検出は心拍数依存,40/分の心室backupペーシングにプログラム,またはDDDR-70群(250例):上室性頻脈検出機能を増強した,ペーシングレート70/分の心拍応答型二腔(心房心室)ペーシング,にランダム化。
左室機能不全および心不全治療はHeart Failure Society of America Practice Guidelinesに従って実施。ACE阻害薬が第一選択薬で同薬に忍容性のない場合はアンジオテンシンII受容体拮抗薬を投与。両剤に忍容性がない場合は硝酸薬,hydralazineを使用。ACE阻害薬治療が安定したらβ遮断薬を追加。試験実施区域の事情が許せばmetoprololあるいはcarvedilolを投与。必要に応じて利尿薬を投与。症候性CHF,NYHA II~IIIの全例にdigoxin(0.125mg/日),さらにNYHA III~IV度の例にはACE阻害薬,β遮断薬,digitalis,利尿薬を最大用量を投与後,spironolactone(12.5~25mg/日)を投与。抗不整脈薬として,ランダム化時の投薬(amiodaroneを推奨)を最小限の用量で継続。
結果 2002年9月27日,データ安全モニタリング委員会(data and safety monitoring board)は患者登録の中止を勧告し,同月30日に中止した。
1年後の複合エンドポイント非発生率は,VVI-40群83.9% vs DDDR-70群73.3%であった(相対ハザード[RH]1.61,95%信頼区間[CI ]1.06~2.44,p≦0.03)。1年後の死亡は6.5% vs 10.1%(RH 1.61,95%CI 0.84~3.09,p=0.15)。CHFによる入院は13.3% vs 22.6%(RH 1.54,95%CI 0.97~2.46,p=0.07)。
★結論★ICD植込みの標準的な適応があるが徐脈治療のペーシングの適応ではないEF≦40%の患者において,二腔(心房心室)ペーシングは心室backupペーシングに対して臨床的な優位性はなく,死亡およびCHFによる入院を増加させることから有害でありうる。
文献
  • [main]
  • Wilkoff BL et al for the dual chamber and VVI implantable defibrillator trial investigators: Dual-chamber pacing or ventricular backup pacing in patients with an implantable defibrillator; the dual chamber and VVI implantable defibrillator (DAVID) trial. JAMA. 2002; 288: 3115-23. PubMed

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収載年月2003.02