循環器トライアルデータベース

GENERATION
Global Evaluation of New Events and Restenosis After Stent Implantation Study

目的 高濃度C-reactive protein(CRP),lipoprotein(a)[LP(a)],総ホモシステイン(tHCY)が,ステント成功後の長期予後に及ぼす影響を検討。さらに,ステント再狭窄(ISR)または冠動脈アテローム性動脈硬化による予後の寄与を評価。一次エンドポイントは,退院後3年間の心臓死+非致死性心筋梗塞(MI)+安静時不安定狭心症による入院(いずれのイベントも初発)。
コメント 抗血小板療法を伴ったステント治療はPCI後の合併症を低下させたが,遠隔期での虚血イベント発生はいまだ少なくない。虚血イベントを生じる高リスク患者を見極めるために,CRPなどの生化学マーカーが検討されている。本論文では,3年間プロスペクティブにPCI後の虚血イベント発生における生化学マーカーの意義を検討している。その結果,CRP高値はステント術成功後3年間の虚血イベント発生の予測因子であり,これまでの報告(CAPTUREなど)と一致する。注目点は,CRPの上昇がPCIを受けていない冠動脈部位における1年後の新規の有意な狭窄病変の形成と強く関連することである。問題点は,CRP値がステント内狭窄と関連していないことであり,これまでの諸報告と異なる。冠動脈造影検査のfollow-upが67%のみであること,対象患者が諸報告と異なることがその理由である。急性冠症候群では心筋障害によりCRPが上昇し得るので,安定した狭心症例とはCRP値の意味づけが異なる。急性冠症候群を除けば,CRPはステント内再狭窄と関連するであろう。
Lp(a)は動脈硬化症と血栓症に関連すると考えられる。しかし,これまでの大規模試験では,6か月後のステント内再狭窄や1年後の臨床症状とLp(a)との関連は否定されており,今回の結果と一致する。注目点は,Lp(a)が3年後の虚血イベント発生と関連しており,CRPよりはマイルドであるが冠動脈病変の緩徐な進行に関与し,長期間における冠動脈プラークの不安定性に影響すると思われる。ホモシステインは他の冠危険因子と強く相関しているので,直接的な動脈硬化促進因子ではないかもしれない。(星田
デザイン 前向き,観察試験。
期間 平均追跡期間は22.1か月(1~37か月)。
対象 483例。安定狭心症,非ST上昇急性冠症候群(NSTACS),ST上昇急性心筋梗塞(STEMI)の診断により1998年1月~2000年4月に入院した患者で,ステントによるPCI成功例。STEMIは発症後6時間以内,NSTACSは初回の胸痛発生後24時間以内のもの。
除外基準:左脚ブロック,感染症または炎症性疾患,悪性疾患,肝機能障害,クレアチニン>1.5mg/dL,MI既往,6か月以内の血行再建術,PCI施行前のEF<35%。
■患者背景:平均年齢59.3歳,男性82%,高血圧43.1%,高脂血症54.2%,糖尿病19.7%,喫煙者66.5%,CRP中央値0.58mg/dL,Lp(a) 19mg/dL,tHCY 13μmol/L。
調査方法 薬剤の静脈内投与の前に静脈血を採取。コード化した血漿サンプルを-24℃で保存し,24~72時間後CRPは定量的turbidimetric法で,Lp(a)はイムノアッセイ法で分析。コード化した血漿サンプルtHCYは-80℃で保存し試験終了時にイムノアッセイ法で分析。
NSTACSまたはSTEMI患者は,入院後3日以降に冠血管造影およびPCIを施行。PCI開始時に非分画heparin(10,000IU)静注。1)死亡,MI,緊急冠動脈手術の必要等の有害イベント非発生,2)目測による残存狭窄<30%,3)ステント植込み直後にTIMI grade 3の再灌流,をもって手技の成功とした。全例に入院時にaspirin(160~325mg)経口投与,PCI施行後4週間にticlopidine(250mg×2回/日)を投与。
結果 一次エンドポイントは76例で,死亡20例(4.3%),非致死性MI 21例(4.5%)。安静時狭心症による入院は35例(7.5%)であった。CRP,Lp(a)は一次エンドポイントと独立して相関したが,tHCYはしなかった。
特にCRP≧0.68mg/dL例では<0.68mg/dL例よりも一次エンドポイントのリスクが有意に高かった[狭心症による入院:ハザード比(HR)7.10,95%信頼区間(CI )3.30-15.26,p<0.001,非致死性MI:HR 5.67,95%CI 2.19-14.66,p<0.001,心臓死:HR 3.16,95%CI 1.25-7.98,p=0.01]。またLP(a)≧25mg/dL例も,<25mg/dL例に比べ狭心症による再入院(HR 2.09,95%CI 1.16-4.12,p=0.03)および非致性MI(HR 3.31,95%CI 1.33-8.22,p=0.01)のリスクが高かったが,心臓死では差がみられなかった(HR 1.27,95%CI 0.48-3.34,p=0.87)。tHCYについてはエンドポイントの発生に有意差はなかった。
multivariate Cox proportionalハザード分析によると,糖尿病(HR 1.88,95%CI 1.27-2.78,p=0.002),PCI後のステント残存狭窄(HR 1.08,1.05-1.10,p<0.001),B2-またはC-treated病変(HR 1.72,1.15-2.57,p=0.008),血漿CRP値≧0.68mg/dL(HR 2.70,1.64-3.81,p<0.001),EF(HR 0.97,0.95-0.99,p=0.04)が,1年後の臨床症状の再発(CLR)の独立した予測因子であった。ISRには,いずれの生化学マーカーも関連していなかった。有意な病変への進行(PTSL)の独立した増加リスクであったのは,multivariate logistic analysisでは,血漿CRP値≧0.68mg/dL(相対リスク19.34,CI 8.80-62.97,p<0.001)であった。
★結論★高濃度CRP,Lp(a)はステント成功後の遠隔期の有害事象の発生率上昇に関連するが,tHCYは関連しない。CRP,Lp(a)の高値はPCI既往のない血管でのアテローム性動脈硬化症の進展に関与していると思われる。
文献
  • [main]
  • Zairis MN for the global evaluation of new events and restenosis after stent implantation study group: The impact of plasma levels of C-reactive protein, lipoprotein (a) and homocysteine on the long-term prognosis after successful coronary stenting; the global evaluation of new events and restenosis after stent implantation study. J Am Coll Cardiol. 2002; 40: 1375-82. PubMed

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収載年月2003.02