循環器トライアルデータベース

CREDO
Clopidogrel for the Reduction of Events During Observation

目的 PCI(percutaneous coronary intervention)施行例において,抗血小板薬clopidogrelとaspirinの併用投与,またclopidogrelの施行前投与の有効性および安全性を検討。一次エンドポイントはintention-to-treat解析による1年後の死亡+心筋梗塞(MI)+脳卒中;per-protocol解析による28日後の死亡+MI+標的血管の緊急血行再建術。
コメント clopidogrelは本邦で未承認であるが,同じADP受容体拮抗薬のticlopidineのような重篤な副作用が少なく,aspirinとの組み合わせでticlopidineと遜色ないstent thrombosis予防効果が証明されており,PCI(ステント)後療法として近い将来これにとって替わると考えられている。本試験では先行したPCI-CURE study(Lancet. 2001; 358: 527-33.)でいま一つ明確でなかったいくつかの質問に答を出した。例えばPCI-CUREで平均10日前からの投薬であったためにCABGでの出血が問題となったが,本試験ではPCIの6~24時間前でも充分に効果を発揮することが証明された。PCI前の投与時間により短期予後に差があったのは,300mgのloading doseでは6時間以内に充分な血小板機能抑制効果が発揮できないことを裏付けていると考えられる。またPCI-CURE studyを上回る1年間に及ぶ長期投与の有効性も示された。これは対象病変の以外のcoronary eventの抑制効果,late stent occlusion(Catheter Cardiovasc Interv. 2002; 55: 142-7.)の予防効果を示唆するものである。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国・カナダの99施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は12か月。登録期間は1999年6月~2001年4月。
対象患者 2116例。21歳以上の男女。虚血の客観的な証拠を有する症候性冠動脈疾患患者(狭心症の症状,負荷試験陽性例,心電図変化など)で,ステント植込みあるいは他の血行再建用デバイスによるPCI施行予定であるか,その必要性が高いと考えられる例。
除外基準:抗血栓薬/抗血小板薬の禁忌,左主幹部の50%以上の狭窄,2週間以内の冠インターベンションの不成功,解剖学的にステント植込みを受け入れられない形態の冠動脈,24時間以内の持続的なST上昇,二期的インターベンションの予定,7日以内のGpIIb/IIIa受容体拮抗薬,10日以内のclopidogrel投与,24時間以内の血栓溶解療法。
治療法 clopidogrel前投与/長期投与群(1053例):PCI前3~24時間にclopidogrel 300mg(投与開始量)+aspirin 325mg,施行終了直後から28日後までclopidogrel 75mg/日+aspirin 325mg/日を投与,29日後から試験終了までclopidogrel 75mg/日は継続。プラセボ群(1063例)もPCI後から28日目までは同量のclopidogrel+aspirinを投与。両群とも29日目以降のaspirinは担当医の判断で81~325mg/日を継続。2,28,60,180,270,365日後にフォローアップ評価。
結果 GpIIb/IIIa受容体拮抗薬投与例は,前投与群427例(47.4%)で非前投与群396例(43.3%)に比べて多かった(p=0.08)。ステント植込みは各々807例(89.7%),808例(88.3%)と差がなかった。clopidogrel投与からPCI施行までの平均時間は9.8時間で,3~6時間が51%,6~24時間が49%であった。
clopidogrel長期投与により,1年後の死亡+MI+脳卒中の相対リスクは26.9%低下した(95%信頼区間[CI ]3.9~44.4%, p=0.02,絶対リスク低下3%)。clopidogrel前投与による28日後の死亡+MI+標的血管緊急血行再建術の相対リスク低下は18.5%と有意差がなかった(95%CI -14.2~41.8%, p=0.23)。しかし,PCIの6~24時間前にclopidogrelを投与した群では,6時間以内に受けた群では低下しなかったのに比べ38.6%と有意な低下がみられた(95%CI -1.6~62.9%, p=0.051)。
1年後の重大な出血のリスクはclopidogrel群で8.8%と,プラセボ群の6.7%に比べ高い傾向にあったが,有意差はなかった(p=0.07)。
★結論★PCI施行後のclopidogrel長期(1年)投与は有害虚血イベントのリスクを有意に低下させた。また施行まで6時間以上の間隔をおいた前投与はイベントのリスクを低下させる。
文献
  • [main]
  • Steinhubl SR for the CREDO Investigators: Early and sustained dual oral antiplatelet therapy following percutaneous coronary intervention; a randomized controlled trial. JAMA. 2002; 288: 2411-20. PubMed
  • [substudy]
  • プラセボ群では前投与期間と一次エンドポイント間に相関はみられなかったが,clopidogrel 群では前投与期間が長い方が転帰が改善した。前投与期間が15時間以内の場合はclopidogrel群とプラセボ群間に有意差はみられなかったが,15時間以上の場合一次エンドポイントはclopidogrel群で相対リスクが58.8%有意に低下した(p=0.028)。前投与期間が12時間以内の場合,clopidogrel 300mg投与はPCI施行時のclopidogrel 75mg投与に比べ有効性は認められなかった:J Am Coll Cardiol. 2006; 47: 939-43. PubMed
  • clopidogrelのFramingham Heart Studyに基づく獲得生存年(life-year gained: LYG)は0.1526年,Saskatchewan Health databaseに基づくLYGは0.1920年。1年後の総コストはclopidogrel群で664ドル高。Framingham Heart Studyに基づく増分費用対効果比(incremental cost-effectiveness ratios: ICERs)は3,685ドル/LYG~4,353ドル/LYGで,97%以上のbootstrapによるICERsの見積もりは<5万ドル/LYG,Saskatchewanに基づくICERsは2,929ドル/LYG~3,460/LYGで,98%以上の見積もりは<5万ドル/LYG:J Am Coll Cardiol. 2005; 46: 761-9. PubMed

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収載年月2003.01
更新年月2006.04