循環器トライアルデータベース

SoS
Stent or Surgery Trial

目的 多枝疾患患者において,stent-assisted percutaneous coronary intervention(PCI)とCABGの有効性を比較。
一次エンドポイントは血行再建術再施行率。
コメント 本研究はERACI II・ARTS trialに続くステントとCABGのランダム化試験である。非心臓死が3倍以上多かったためステント群での総死亡率に有意差が出たが,再血行再建率やQOLの改善度はそれまでの報告と大差なく,予測された範囲内の結果であった。バルーンによるPTCAとCABGを比較した過去のtrial(RITA・BARI・EAST・GABI・ERACI等)では長期予後には差がなかったが,ステントを用いたPCIとの比較ではどうなのか?BARI等で指摘された糖尿病でのCABGの優位性は動かないのか?等に関しては,さらに大規模なランダム化試験が必要である。また本trialでは8%しか用いられていないGP IIb/IIIa受容体拮抗薬やdrug-eluting stentがPCIの長期予後を改善する可能性があり,これらを用いた比較試験も進行中のようである。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(カナダ,ヨーロッパ11か国の53施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は中央値2年(1~4年。2001年3月9日終了)。
登録期間は1996年11月5日~'99年12月12日。
対象患者 988例。平均年齢61歳。症状を伴う多枝疾患で,ステント植込みに適した病変を1つ以上有し,試験担当外科医およびインターベンションによる臨床的に血行再建の適応であり,いずれの方法にも適しているとの一致した見解が得られたもの。
除外基準:開胸術または冠動脈血行再建の既往例,弁,大血管,大動脈の疾患のためインターベンションが必要な例。
■患者背景:男性79%,重症心不全[Canadian Cardiovascular Society(CCS)分類 III~IV度]46%,症状を訴える急性冠症候群24%,2枝疾患57%,3枝疾患42%。
治療法 PCI群(488例),CABG群(500例)にランダム化。
PCI群における血行再建術の成功は,残存狭窄が<50%でTIMI grade 3の場合とした。staged-PCIは28日以内に行うこととした。
使用デバイス,テクニック,併用薬物療法の制限はなし。
結果 一次エンドポイントはCABG群6%(30例)に対し,PCI群21%(101例)であった[ハザード比(HR)3.85, 95%信頼区間(CI )2.56-5.79, p<0.0001]。
死亡または非致死性Q波梗塞の発生はCABG群10%(49例),PCI群9%(46例)と両群間に有意差は認められなかった(HR 0.95, 95%CI 0.63-1.42, p=0.80)。死亡はCABG群2%(8例),PCI群の5%(22例)とCABG群で少なかった(HR 2.91, 95%CI 1.29-6.53, p=0.01)。
★考察★ステントを使用した場合の血行再建術の再施行率はバルーン血管形成術を検討した以前の試験に比べて減少したものの,CABGに比べ依然有意に高かった。CABG群での死亡率の低下はさらなる検討を要する。
文献
  • [main]
  • Stables RH for the SoS investigators: Coronary artery bypass surgery versus percutaneous coronary intervention with stent implantation in patients with multivessel coronary artery disease (the stent or surgery trial); a randomised controlled trial. Lancet. 2002; 360: 965-70. PubMed
  • [substudy]
  • 追跡期間6年(中央値)の結果
    死亡:PCI群53例(10.9%) vs CABG群34例(6.8%):ハザード比1.66(1.08~2.55, p=0.022)。CABG群の有効性はサブグループにより違いがみられた:狭心症の重症度(interaction test p=0.52),冠動脈疾患の重症度(p=0.92),糖尿病(p=0.15):Circulation. 2008; 118: 381-8. PubMed
  • 神経心理学的転帰(Digit Span Forwards and Backwards, Visual Reproduction, Bourdon, Block Design)において両群間に有意差は認められなかった:Circulation. 2004; 110: 3411-7. PubMed
  • CABG群,PCI群ともに施行後の心臓関連の健康状態[SAQ(Seattle Angina Questionnaire)で測定]を著明に改善(改善幅:6か月後;13.6~43.7ポイント,12か月後;14.3~38.2ポイント,ともにp<0.001)。CABG群で改善度が高かったが,経時的に差は縮まった(改善度の両群間差:6か月後4.03~6.48,12か月後2.05~2.93):Circulation. 2003; 108: 1694-700. PubMed

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収載年月2003.01
更新年月2008.08