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症候性心房細動(AF)と徐脈を合併した患者において,高位右房(RA)オーバードライブペーシング,右房内2点ペーシングおよびDDIまたはVDI(サポートペーシング:SP)の安全性,忍容性,有効性を比較。一次エンドポイントは,安全性(ペーシングモードの順守),初回の症候性AF再発までの時間,AFおよび健康全般に関連したQOL評価。 |
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抗不整脈薬による心房細動発作の抑制には限界があり,心房内2点オーバードライブペーシングなどの様々な非薬物療法の併用を試みる必要がある。(井上) |
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無作為割付け,単一盲検,クロスオーバー,多施設(北米の13施設),intention-to-treat解析。 |
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追跡期間は最大18か月(平均12.1か月)。1996年開始。 |
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118例(男性73例,女性45例)。平均年齢66歳(21~80歳)。永久ペーシングを必要とする自然発生または薬物誘発性の徐脈性不整脈を伴う症候性AFを3か月以内に2回以上発症したもの。 除外基準:除細動器植込み,ペースメーカー植込み禁忌,余命<18か月と予測される例。 |
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SP群:DDIまたはVDI,high RA群:高位右房ペーシング,dual-site RA群:右房内2点ペーシング,にランダム化。各モードの追跡期間は6か月。 high RA,dual-site RAペーシングの可能なレート応答型二腔ペースメーカーを植込んだ。心房ペーシングのレートは不整脈を抑制するために80拍/分を推奨。SP群のモード選択は,50拍/分の低レート心房ペーシングのDDIモードあるいは心房ペーシングのないVDIモードとした。抗不整脈薬は継続投与した。 |
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ペーシングモードに対する忍容性(クロスオーバーまでの平均時間)はdual-site RA群(5.8か月)が,SP群(3.3か月,p<0.001),high RA群(4.7か月,p=0.006)に比べ有意に高かった。有害事象回避の生存率は,dual-site RA群はSP群に比べ有意に高かった(p=0.007)が,high RA群との間(p=0.75)やhigh RA群とSP群の間では有意差はなかった(p=0.15)。AFの抑制率は,SP群に比べてdual-site RA群で改善の傾向にあった[ハザード比(HR)0.715, p=0.07]が,high RA群との間(HR 0.835, p=0.175)やhigh RA群とSP群間では差はみられなかった(HR 0.709, p=0.188)。AF再発までの時間はdual-site RA群(1.77か月)が,high RA群(0.62か月,p<0.09)およびSP群(0.44か月,p<0.05)に比べ長かった。 抗不整脈薬(I群,III群)投与例では,dual-site RA群でAF再発のリスクがSP 群(HR 0.638, p=0.011),high RA群(HR 0.669, p=0.064)に比べ低下した。登録時に症候性AFイベントの発生が≦1回/週の78例では,dual-site RA群でAFの抑制期間が有意に長かった(vs high RA群;HR 0.623, p=0.006,vs SP群;HR 0.464, p=0.004)。dual-site RA群でAFの抑制およびモード忍容性(vs high-RA群;p<0.03,vs SP群;p<0.001),無症候性AFの抑制率(vs high-RA群;p<0.01)が改善した。 ★結論★dual-site RAペーシングは安全で,high RAペーシングおよびSPよりも忍容性が良好で,AFの抑制効果に優れている。 |
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- [main]
- Saksena S et al for the DAPPAF investigators: Improved suppression of recurrent atrial fibrillation with dual-site right atrial pacing and antiarrhythmic drug therapy. J Am Coll Cardiol. 2002; 40: 1140-50. PubMed
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