循環器トライアルデータベース

LIPS
Lescol Intervention Prevention Study

目的 初回PCI成功例において,HMG-CoA reductase阻害薬fluvastatin治療が主要な有害心イベント(MACE)を抑制するかを検討。
一次エンドポイントはMACE[心臓死,非致死性心筋梗塞(MI),CABGまたは再PCI]。
コメント PCIは定着した治療法であるが,5年後には5人に2人が,10年後には3人に2人が有害心イベントを発症する。スタチンは心血管イベントの抑制(一次予防,二次予防)に有用であるが,PCI後の再狭窄には効果はみられない。スタチンがPCI後の心虚血イベントの抑制に有用であるというデータもあるが(CARE study),retrospectiveな評価でありスタチンはPCI6か月後の投与である。本研究はPCI後早期に平均的な総コレステロール値を有する症例にfluvastatinを投与して,長期的な有害心イベントの抑制効果を明らかにしている。今回のfluvastatinの効果はこれまでのスタチンの二次予防効果(4S,CARE,LIPID study)とほぼ同様である。効果発現は投与1.5年後よりみられるが,再狭窄の影響を取り除くと投与半年後より差が認められる。有害心イベントの中でも,再狭窄と心臓死,心筋梗塞発症の作用機序は基本的に異なることが如実に現われており,これらを合わせてMACEとして一次エンドポイントとすることに問題があるかもしれない。(星田
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設[ヨーロッパ,カナダ,ブラジルの10か国77のreferral(うち57はinterventional)施設],intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は3.9年(中央値)。登録期間は1996年4月~'98年10月。
対象患者 1677例。18~80歳。native冠動脈の1つ以上の病変において初回のPCIが成功した例(心筋壊死がなく,再PCIまたはCABGの必要がなく,退院前に死亡することなく標的病変の狭窄径が50%未満に縮小したもの)。総コレステロール(TC)135~270mg/dL,空腹時トリグリセリド(TG)<400mg/dL。
除外基準:収縮期血圧>180mmHg,拡張期血圧>100mmHg,EF<30%,PCIまたはCABG既往,重度の弁膜症,特発性心筋症または先天性心疾患,重度の腎機能障害(血清クレアチニン値>1.8mg/dL),肥満(BMI>35kg/m²)など。
治療法 fluvastatin群(844例):40mg×2回/日,またはプラセボ群(833例)にランダム化し,3~4年継続投与。
TCが3か月以上>278mg/dLであった場合は試験薬投与を中止し,オープンラベルでスタチン系または他の脂質低下薬を投与。
退院時に食事,ライフスタイルに関するカウンセリングを受けた。
結果 PCIから試験薬投与までの時間は2.0日(中央値)。
MACE非発生の生存期間は,fluvastatin群1558日でプラセボ群の1227日に対して有意に長かった(p=0.01)。一次エンドポイントはfluvastatin群181例(21.4%)でプラセボ群222例(26.7%)に比べて有意なリスク低下が認められた[相対リスク(RR)0.78, 95%信頼区間(CI)0.64-0.95, p=0.01]。心臓死は13例(1.5%) vs 24例(2.9%),非致死性MIは30例(3.6%) vs 38例(4.6%),CABGあるいはPCIの施行は167例(19.8%) vs 193例(23.2%)であった。
MACEの発生はベースライン時のTCとは独立していた[低値(<200mg/dL)ではfluvastatin群20.9% vs プラセボ群25.3%(RR 0.77, 95%CI 0.57-1.02),高値(≧200mg/dL)では20.5% vs 27.5%(RR 0.76, 95%CI 0.56-1.04)]。
サブグループ解析では,fluvastatinによるMACEのリスク低下は,糖尿病例(21.7% vs 37.8%, RR 0.53, p=0.04),多枝疾患例(23% vs 33.9%, RR 0.66, p=0.01)でみられた。
fluvastatin群では,クレアチンフォスフォキナーゼの正常値の10倍以上の上昇,また横紋筋融解はみられなかった。
★結論★平均的なコレステロール値を有する患者において,初回のPCI成功後早期のfluvastatin治療はMACEのリスクを有意に低下させる。
文献
  • [main]
  • Serruys PW et al for the lescol intervention prevention study (LIPS) investigators: Fluvastatin for prevention of cardiac events following successful first percutaneous coronary intervention; a randomized controlled trial. JAMA. 2002; 287: 3215-22. PubMed

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収載年月2002.10