循環器トライアルデータベース

HERS II
Heart and Estrogen/Progestin Replacement Study

目的 閉経後の女性においてホルモン補充療法(HRT)による冠動脈心疾患の二次予防効果を認めなかった(追跡期間4.1年)HERS終了後の追跡試験である。一次エンドポイントは冠動脈疾患(CHD)イベント:CHD死,非致死性心筋梗塞(MI)。
コメント HRTが冠動脈イベントを抑制する可能性を示唆する疫学的研究が報告されており,本格的なRCTが実施されている。HERSは二次予防のRCTであるが,HRTの有効性を否定した試験である。HERS IIは,その後オープン試験でさらに2.7年追跡したが,やはり有効性は否定された。一方,Women's Health Initiative(一次予防)の中間的解析からHRTでむしろ乳癌や心血管イベントの発症率が高まるなどの結果が確認されたため,試験自体が中断され,NIH(米国国立衛生研究所)もHRTについて否定的な見解を発表している。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,オープン,多施設(アメリカのclinical center 20施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は2.7年(HERS試験からの合計は6.8年)。
対象患者 2321例。HERS試験登録患者(2763例,平均年齢66.7歳)のうち追跡可能な例(生存例の93%)。
治療法 HRT群:conjugated estrogens 0.625mg+medroxyprogesterone acetate 2.5mg/日群(1156例),プラセボ群(1165例)。
オープンラベルでのHRTは担当医の判断とした。
結果 HRTの遵守はHRT群1年目81%から6年目45%へ低下,プラセボ群では0%から8%へ増加した。
一次エンドポイント,二次エンドポイント(血行再建術,不安定狭心症あるいはうっ血性心不全による入院,非致死性心室性不整脈,突然死,脳卒中あるいは一過性脳虚血,末梢血管疾患)において,HERS,HERS IIの両試験で両群間に有意差は認められなかった。補正前CHDイベントの相対リスク(RH)は,HERSで0.99[95%信頼区間(CI)0.81-1.22],HERS IIで1.00(95%CI 0.77-1.29),両試験で0.99(95%CI 0.84-1.17)。全体のRHも両群での因子およびスタチン使用の差で補正した後も同様で(0.97,95%CI 0.82-1.14),ランダム化された治療遵守例では0.96(95%CI 0.77-1.19)であった。
★結論★HERSにおいて最終年に認められたHRT群でのCHDイベントの低発生率は,試験終了後は持続しなかった。CHDを有する女性例でHRTは6.8年後に心血管イベントのリスクを低下しなかった。閉経後のHRTはCHDを有する女性例でCHD再発を抑制するために実施するべきではない。
文献
  • [main]
  • Grady D et al for the HERS research group: Cardiovascular disease outcomes during 6.8 years of hormone therapy; heart and estrogen/progestin replacement study follow-up (HERS II). JAMA. 2002; 288: 49-57. PubMed
  • [substudy]
  • HRTによる非心血管イベントへの長期効果:HRTから6.8年後の静脈血栓塞栓のRHは2.08(HERSが2.66,HERS IIが1.40)。両試験全体での胆道手術のRHは1.48,癌は1.19,骨折1.04:JAMA. 2002; 288: 58-66. PubMed

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収載年月2002.09