循環器トライアルデータベース

Air PAMI
Air Primary Angioplasty in Myocardial Infarction

目的 PTCA不能な病院での高リスクの急性心筋梗塞(AMI)患者における最良の再灌流法を検討する。一次エンドポイントは30日後の主要な有害心イベント(MACE):死亡+非致死性再梗塞+介護の必要な脳卒中。
コメント 1993年にPAMI-1でその優位性が示されて以来,AMI再灌流療法におけるpriorityは血栓溶解療法からprimary PTCAに移ってきた。さらに経験の乏しい施設やsurgical back-upのない施設でも,primary PTCAを行った方が短・中期のMACEが少ないとのC-PORT study等の結果を受けて,2001年の改訂ACC/AHAガイドラインでは当該施設でのPTCAがClass IIへ“格上げ”となった。
それでは,「PTCAの行えない施設ではどうするか?」-これがAir PAMI trialの命題であった。一般的には治療開始(バルーン拡張)までの時間がprimary PTCA後の予後規定因子の一つとされている。しかし本トライアルでは,1時間余りの準備・搬送時間を犠牲にしてもなお血栓溶解療法よりもprimary PTCAにMACEが少ないことが示された。同様の結論はPRAGUE trial・DANAMI-2 trial(ACC2002)でも報告されている。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設。
期間 追跡期間は39か月。
対象患者 138例。ST上昇あるいは新規の左脚ブロック,発症12時間以内のAMI。高リスク(>70歳。前壁梗塞あるいは左脚ブロック,Killip分類class II,III,心拍数>100拍/分,収縮期血圧<100mmHgの1つ以上を有する)。
除外基準:6か月以内の脳卒中あるいは一過性脳イベント既往,2か月以内の主要な手術例,胃腸出血など。
治療法 primary PTCA設備のある病院までの緊急搬送群(71例):搬送は空路,陸路臨機応変に行った。ランダム化後,早急にheparinをボーラス静注したが,持続注入は推奨しなかった。PTCA不能な病院での血栓溶解療法群(67例):組織プラスミノーゲンアクチベータが投与された場合は,heparinをボーラス静注後,活性化部分トロンボプラスチン時間60~80秒になるよう72時間注入。streptokinase投与時はheparinは通常の方法で投与。
結果 緊急搬送群の搬送法は救急車79%,ヘリコプター21%。平均搬送距離は32マイル(51.5km),ヘリコプターは57マイル(91.7km),救急車は26マイル(41.8km)。搬送手段到着から治療までの時間は,搬送群155分,血栓溶解療法群51分で搬送群で遅れた(p<0.0001)。これは主に搬送開始までの時間(43分),搬送時間(26分)によるものであった。搬送群は血栓溶解療法群より入院期間が短く(6.1日 vs 7.5日, p=0.015),虚血も少なかった(12.7% vs 31.8%, p=0.007)。
一次エンドポイントは搬送群で38%低下したが,登録症例数が不足のため統計上の有意差には至らなかった(8.4% vs 13.6%, p=0.331)。
★結論★カテーテル設備のない病院における高リスクAMIは,その病院で血栓溶解療法を行うよりも,primary PTCA設備へ搬送した方が転帰は改善するかもしれないが,より大規模な試験が必要である。搬送の著しい遅れは,患者を心臓発作専門施設へ直接トリアージ(優先順位を決めること)することの役割を示唆している。
文献
  • [main]
  • Grines CL for the Air PAMI study group: A randomized trial of transfer for primary angioplasty versus on-site thrombolysis in patients with high-risk myocardial infarction; the air primary angioplasty in myocardial infarction study. J Am Coll Cardiol. 2002; 39: 1713-9. PubMed
  • [substudy]
  • PAMI, PAMI II, Stent PAMI, Local PAMI, Stent Pilot, PAMI No Surgery on Siteのデータを合わせた解析:primary PCI(percutaneous coronary intervention)施行例において,1か月後の再梗塞は,入院時のKillip分類 class 2以上,EF<50%,最後の造影時の冠動脈狭窄率>30%,冠動脈解離,冠動脈内血栓と独立して関連。さらに6か月後の死亡および標的血管血行再建術の有意で独立した予測因子でもあった:J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 1173-7. PubMed

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収載年月2002.09
更新年月2003.12