循環器トライアルデータベース

MIRACLE
Multicenter InSync Randomized Clinical Evaluation

目的 心室内伝導遅延を有する中等症から重症の心不全患者において,心房同期両室ペーシングによるcardiac resynchronization(心臓再同期)治療(CRT)の有効性を検討。
一次エンドポイントは6か月後のNYHA心機能分類,QOL,6分間歩行距離。
コメント 両室ペーシングの有効性が示されたが,その効果がQRS時間や脚ブロックのパターンで左右されなかったことは重要で,効果が植込み前に予測できる指標が明らかにされることが期待される。(井上
デザイン 無作為割付け,二重盲検,電気生理学の専門家は非盲検,多施設(アメリカ,カナダの45施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。登録期間は1998年11月~2000年12月。
対象患者 453例。虚血性/非虚血性心筋症による慢性心不全。NYHA心機能分類III~IV度,EF≦35%,左室拡張末期径(LVEDD)≧55mm,QRS時間≧130msec,6分間歩行距離≦450m。至適の心不全薬物療法(利尿薬,ACE阻害薬またはAII受容体拮抗薬,ジギタリス,β遮断薬)を安定して1か月以上(β遮断薬は3か月間)受けている者。
除外基準:ペースメーカーまたは除細動器植込み,心臓ペーシングの適応または禁忌,3か月以内の心イベントまたは脳梗塞,1か月以内の心房性不整脈,収縮期血圧>170または<80mmHg,心拍数>140/分,血清クレアチニン>3.0mg/dL,アミノトランスフェラーゼが正常値の上限の3倍超。
治療法 ベースライン時にNYHA心機能分類,6分間歩行試験,最大トレッドミル運動試験(modified Naughton protocol),QOL(Minnesota Living with Heart Failure Questionnaire),心エコー図,QRS時間(12誘導心電図)を評価後,心臓再同期ペースメーカー(Medtronic社のInSync model 8040)を植込み。
CRT作動群(228例)あるいは対照(非作動)群(225例)にランダム化。6か月の追跡期間中,心不全薬物療法を継続。1,3,6か月後にベースライン時の評価項目を再評価。ペーシングを要する徐脈を除き,対照群からCRT群への変更は6か月間不可とした。
結果 CRT群では対照群と比べ,6分間歩行距離(+39m vs +10m,p=0.005),NYHA心機能分類(p<0.001),QOL(-18.0ポイント vs -9.0ポイント,p=0.001),トレッドミル時間(+81秒 vs +19秒,p=0.001),EF(+4.6% vs -0.2%,p<0.001)が有意に改善した。
またCRT群で対照群と比べ,運動耐容能が有意に改善し(最大酸素摂取量+1.1mL/kg/分 vs +0.2mL/kg/分,p=0.009),さらにLVEDD,僧帽弁逆流ジェット,QRS時間が有意に減少した(各p<0.001)。CRT群では対照群と比べ,心不全の治療のための入院(8% vs 15%),薬剤の静注(7% vs 15%)が有意に少なかった(各p<0.05)。CRT群では対照群と比べ,主要イベントのリスクが40%低下した(95%信頼区間 4-63%,p=0.03)。
再同期ペースメーカーの植込み不成功は8%で,4例では難治性低血圧,徐脈,心停止を合併(うち2例は死亡)したためランダム化されなかった。他の2例は冠状静脈洞の穿孔により心膜穿刺術を要した。
★結論★心臓再同期療法は,心室内伝導遅延を有する中等症~重症心不全患者において著明な臨床的改善をもたらす。
文献
  • [main]
  • Abraham WT et al for the MIRACLE study group: Cardiac resynchronization in chronic heart failure. N Engl J Med. 2002; 346: 1845-53. PubMed
  • [substudy]
  • CRT群では左室拡張終末期容積(6か月後p<0.0001,12か月後p=0.007),左室収縮終末期容積(いずれもp<0.0001)が減少し,EFが改善(いずれもp<0.0001),左室筋重量の低下(ぞれぞれp<0.012,p<0.0001),僧帽弁逆流が低下した(いずれもp<0.0001):Circulation. 2006; 113: 266-72. PubMed
  • CRT+薬物療法により左室リモデリングを抑制,収縮および拡張機能を改善し,僧帽弁逆流が減少した:Circulation. 2003; 107: 1985-90. PubMed

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収載年月2002.08
更新年月2006.04