循環器トライアルデータベース

IONA
Impact of Nicorandil in Angina

目的 標準狭心症治療を受け,リスク因子を有する安定狭心症において,抗狭心症薬nicorandilが冠イベントを抑制するかを検討。一次エンドポイントは冠動脈心疾患死+非致死性心筋梗塞(MI)+胸痛による緊急入院。
コメント nicorandilは我が国で開発され抗狭心症薬として広く用いられているが,初めて大規模臨床試験という科学的手法によってその評価がくだされた。試験の対象は「高リスクだが,即時の血行再建術の適応とはならない狭心症例」であることに注目すべきで,このことは本試験の結果を我が国の症例に適応できるか否かを考える上で非常に重要なポイントである。英国では医療費の厳しい抑制政策によって高度医療を受けるためには半年以上待たなければならないという医療事情がある。本試験はそのようなPCI待ちの患者が対象であるが,ひるがえって過剰なまでにPCI治療が浸透しているわが国では,高リスクの狭心症症例は,診断がつくや数日以内にステントが数個挿入されてしまうという現実がある。従って我が国では本試験の結果を応用できる症例は極めて少ないといえよう。また高リスクの狭心症に対して心血管イベントに対するNNTが42,すなわち42人に投与してようやく1つのイベントが予防できるというのは予想したより治療効率がよくない印象である。(桑島
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(イギリスの226施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は1.6年。登録期間は1998年5月~2000年8月。
対象患者 5126例。平均年齢67歳。MIあるいはCABG既往。次のリスク因子を1つ有する例:心電図による左室肥大,EF≦45%,拡張終期径>55mm,糖尿病,高血圧,その他の血管疾患。
除外基準:スルホニル尿素治療例など。
■患者背景:平均血圧138/79mmHg,高血圧2375例(46%),CCS(Canadian Cardiovascular Society) class IIが3188例(62%),糖尿病429例(8%),MI既往3378例(66%),CABG既往1162例(23%),PTCA既往752例(15%),硝酸薬4453例(87%),β遮断薬2875例(56%),Ca拮抗薬2808例(55%),ACE阻害薬1498例(29%),aspirin4514例(88%),スタチン2935例(57%)。
治療法 nicorandil群(2565例):10mg×2回/日を2週間投与後,20mg×2回/日に増量+標準抗狭心症治療(β遮断薬,Ca拮抗薬,硝酸薬),プラセボ群(2561例)にランダム化。
結果 一次エンドポイントはnicorandil群337例(13.1%),プラセボ群398例(15.5%)であった[ハザード比0.83,95%信頼区間(CI)0.72-0.97;p=0.014]。
二次エンドポイント(CHD死+非致死性MI)は107例(4.2%) vs 134例(5.2%)と有意差は認められなかった(ハザード比0.79,95%CI 0.61-1.02;p=0.068)。急性冠症候群の発症は156例(6.1%) vs 195例(7.6%)で(0.79,0.64-0.98;p=0.028),全心血管イベント発生は378例(14.7%) vs 436例(17.0%)であった(0.86,0.75-0.98;p=0.027)。
★考察★安定狭心症患者において,nicorandilによる抗狭心症治療は主要な冠イベントを抑制し,アウトカムを有意に改善した。

AHA2001において発表
文献
  • [main]
  • The IONA Study group: Effect of nicorandil on coronary events in patients with stable angina; the impact of nicorandil in angina (IONA) randomised trial. Lancet. 2002; 359: 1269-75. PubMed

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収載年月2002.05