循環器トライアルデータベース

C-PORT
Atlantic Cardiovascular Patient Outcomes Research Team

目的 急性心筋梗塞(AMI)において,心臓外科手術設備,PCI(percutaneous coronary intervention) programのない施設で実施したprimary PCIの有効性が血栓溶解療法に優るか,優るならその有効性が持続するかを検討。一次エンドポイントは,死亡+心筋梗塞(MI)再発+脳卒中。
コメント 1999年に改訂されたAMIに対するACC/AHAガイドラインでは,術者基準として年間75以上,施設基準として年間200例以上のPCIの実績と院内でのsurgical back-upがClass Iとして推奨されている。一方,ST上昇型AMIの急性期再灌流法としてのprimary PCIの優位性は多くの臨床データによって裏付けられている。狭い地域に数多くの施設がある日本のような場合は別として,広大な地域にPCIセンターが点在するだけの国々では治療までの時間(血栓溶解療法)を優先させるか,治療成績(PCI)を重視するかは大きなジレンマとなる。本trialでは,経験が浅く心臓外科手術が不可能な施設であっても,条件を満たせば充分に良好なprimary PCIの成績が得られることを示した。とはいえ,院内外でのprimary PCI programの徹底と,ある程度の術者の経験が条件となっており,未熟な施設への“お墨付き”ではない点,誤解なきように。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,多施設(アメリカの11のcommunity hospital),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は6か月。実施期間は1996年7月~'99年12月。
対象患者 451例。18歳以上;胸部不快感あるいは心筋虚血に匹敵するその他の症状が>30分,<12時間持続;心電図上連続した2誘導以上で1mm以上のST上昇;あるいは後壁損傷梗塞に相当するV1,V2誘導での1mm以上のST低下,あるいは新たに出現した左脚ブロック。
除外基準:クレアチニン値>1.5mg/dL(男性)あるいは1.4mg/dL(女性)の血糖降下薬metformin投与例;aspirinあるいは造影剤に対する特異体質,血栓溶解療法禁忌例。
治療法 術者は年間50例以上のPCIを行っていることを条件とした。各施設ごとに器具,物品の準備,スタッフの教育,各症例の評価法等のprimary PCI programを3か月程で終了。primary PCI群(225例),血栓溶解療法群(226例)にランダム化。血栓溶解療法群は,ただちにaspirinを投与し,組織プラスミノゲンアクチベーターを30分以内に15mgボーラス投与後,0.75mg/kgを30分間,0.5mg/kgを60分間静注。その後,heparinを48時間投与。primary PCI群ではaspirinを即投与し,90分以内にバルーン拡張。
結果 一次エンドポイント発生率は,primary PCI群,血栓溶解療法群の順に退院時9.8% vs 16.8%(p=0.03),6週間後10.7% vs 17.7%(p=0.03),6か月後12.4% vs 19.9%(p=0.03)と,いずれもprimary PCI群で有意に低かった。
6か月後の個々のイベントの発生率は,死亡率が6.2% vs 7.1%(p=0.72),MIの再発率が5.3% vs 10.6%(p=0.04),脳卒中が2.2% vs 4.0%(p=0.28)。
平均入院日数もprimary PCI群が4.5日で,血栓溶解療法群の6.0日に比べて短かった( p=0.02)。
★結論★心臓外科手術設備のない施設におけるprimary PCIは,MI後6か月間の転帰改善と入院日数短縮をもたらす。
文献
  • [main]
  • Aversano T et al for the Atlantic cardiovascular patient outcomes research team (C-PORT): Thrombolytic therapy vs primary percutaneous coronary intervention for myocardial infarction in patients presenting to hospitals without on-site cardiac surgery: a randomized controlled trial. JAMA. 2002; 287: 1943-51. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2002.06