循環器トライアルデータベース

FAST
Fukuoka Atherosclerosis Trial

目的 無症候性の高コレステロール血症患者において,高脂血症用薬probucolまたはHMG-CoA reductase阻害薬pravastatinによる脂質低下が,アテローム性頸動脈硬化の進行を遅延もしくは退縮を促進させるかを検討。一次エンドポイントは,総頸動脈の中-内膜肥厚(IMT)の変化。
デザイン 無作為割付け,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2年。登録期間は1996年2月~2000年2月。
対象患者 246例。平均年齢66歳(30~89歳)の日本人。原発性高コレステロール血症[総コレステロール(TC)値≧220mg/dL]で,probucolまたはpravastatinによる治療を受けている日本人患者。男性31.3%。
除外基準:トリグリセリド(TG)≧350mg/dL,難治性心不全,心筋梗塞後6か月未満,重症あるいは不安定狭心症など。
治療法 probucol群(82例,41~80歳):500mg/日,朝・夕食後投与,pravastatin群(83例,41~89歳):10mg/日,夕食後投与,対照群(81例,30~89歳):食事療法のみにランダム化。登録時,以後6か月ごとにBモードエコーにより左右総頸動脈各3か所のIMTを測定。
結果 intention-to-treat解析165例中,34例(21%)が脱落。
2年後,TCはprobucol群で-24%(p<0.001),pravastatin群-23%(p<0.001)とそれぞれ有意に低下,対照群では低下したが有意差は認められなかった。LDL-Cは各-29%(p<0.0001),-36%(p<0.0001),-12%(p<0.05)と各群で有意に低下した。HDL-Cはpravastatin群(+6.4%,p<0.05)と対照群(+5.4%,有意差なし)で上昇したが,probucol群では-20.7%と有意に低下した(p<0.05)。TGに有意な変化はみられなかった。
2年後のIMTは,probucol群,pravastatin群でいずれも-13.9%(各p<0.01)と有意に減少したが,対照群では+23.2%(p<0.05)と有意に肥厚した。IMTの変化とLDL-Cの変化には,pravastatin群では有意な正相関がみられたが(r=0.363,p=0.0051),probucol群(r=0.065,p=0.5892)と対照群(r=0.130,p=0.3321)では相関がみられなかった。probucol群ではLDL-C,HDL-Cの低下とは関係なくIMT増加率が低下した。また同群では心血管イベントの発生率が2.4%と,対照群の13.6%に対し有意に少なかった(p=0.0136)。死亡例(冠動脈心疾患死)はprobucol群で2例(2例),pravastatin群で5例(3例),対照群で9例(8例)。
★結論★高コレステロール血症患者において,probucolはコレステロールを低下させ,プラークを安定させることにより,心イベントの発生を抑制する。
文献
  • [main]
  • Sawayama Y et al: Effects of probucol and pravastatin on common carotid atherosclerosis in patients with asymptomatic hypercholesterolemia; Fukuoka atherosclerosis trial (FAST). J Am Coll Cardiol. 2002; 39: 610-6. PubMed

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収載年月2002.06