循環器トライアルデータベース

HATS
HDL-Athrerosclerosis Treatment Study

目的 冠動脈疾患を有する低HDL-C例において,simvastatin(HMG-CoA reductase阻害薬)+niacinと抗酸化ビタミン療法の単独あるいは併用療法の心血管予防効果を検討。エンドポイントは冠動脈造影上の狭窄の変化および心血管イベント[冠動脈死+心筋梗塞(MI)+脳卒中+血行再建術]の初発。
コメント HDL-Cの上昇が冠動脈疾患の予防効果があるのかという点が現在のhotな話題である。その点について,niacinを加えることにより少なくとも冠動脈狭窄の進展抑制には効果がありそうである。しかし,simvastatin単独という対照がないので結論的ではない。一方,抗酸化ビタミンについても冠動脈疾患予防効果が議論されているが,最近は否定的データが多い。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial,多施設(カナダ,アメリカ),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は38か月。
対象患者 146例。男性<63歳,女性<70歳,平均年齢53歳の冠動脈疾患既往患者(MI既往,インターベンション既往,狭心症)。血管径の30%以上の狭窄が3か所以上,あるいは50%以上の狭窄が1か所。男性:HDL-C≦35mg/dL,女性:≦40mg/dL,LDL-C≦145mg/dL,トリグリセリド<400mg/dL。
性別,トリグリセリド:200mg/dLおよびリスクで層別。喫煙者,糖尿病,LDL-C>130mg/dLを高リスク群とした。
患者背景:女性13%,高血圧49%,喫煙歴のあるもの46%,現在の喫煙者24%,MI既往55%,血管形成術既往49%,糖尿病16%。
治療法 4治療群:simvastatin-niacin群(33例),抗酸化ビタミン群(39例),simvastain-niacin+抗酸化ビタミン群(40例),プラセボ群(34例)。
simvastatinはLDL-C≦110mg/dLの場合は10mg/日,>110mg/dLの場合は20mg/日で投与を開始。目標LDL-Cは≦130mg/dL。1年目にLDL-C>90mg/dLの場合には10mg/日ずつ増量し,<40mg/dLの場合は10mg/日ずつ減量。プラセボ群でLDL-C≧140mmHgの場合は10mg/日投与した。
niacinは徐放型niacinとして250mg×2回/日から4週後に1000mg×2回/日。3か月後にHDL-Cが5mg/dL以上,8か月後に8mg/dL以上,12か月後に10mg/日以上上昇しない場合は,crystalline niacinに切換え投与量を3g/日,あるいは目標値に達するよう最大投与量4g/日に漸増投与。
抗酸化ビタミンはビタミンE 800IU/日,ビタミンC 1000mg/日,β-カロチン 25mg/日,セレニウム100μg/日。
結果 平均LDL-CおよびHDL-Cは抗酸化ビタミン群,プラセボ群では変化がなく,simvastatin-niacin群では各-42%,+26%。simvastatin-niacin群におけるHDL2(HDL-Cの中で最大の保護効果を有すると思われる成分)の増加効果は抗酸化ビタミンとの併用により減弱した。
平均狭窄進展率はプラセボ群3.9%,抗酸化ビタミン群で1.8%,simvastatin-niacin+抗酸化ビタミン群で0.7%(p=0.004),simvastatin-niacin群単独では0.4%退縮した(p<0.001)。
エンドポイントの発生率は,プラセボ群24%,抗酸化ビタミン群で21%,simvastatin-niacin+抗酸化ビタミン群で14%,simvastatin-niacin群で3%(対プラセボp=0.04)であった。
★結論★simvastatin+niacinは転帰および冠動脈造影上で顕著に有効であった。本試験のような状況における抗酸化ビタミンの使用には疑問がある。
文献
  • [main]
  • Brown BG et al: Simvastatin and niacin, antioxidant vitamins, or the combination for the prevention of coronary disease. N Engl J Med. 2001; 345: 1583-92. PubMed

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収載年月2002.01