循環器トライアルデータベース

REMATCH
Randomized Evaluation of Mechanical Assistance for the Treatment of Congestive Heart Failure

目的 心臓移植不適応の末期心不全患者において,左室補助装置(LVAD: Left Ventricular Assist Device)の長期使用が生存率,QOLを改善するかを至適な薬物療法と比較。一次エンドポイントは全死亡。
コメント 心移植が適応とならない進行した心不全例に対してLVADが生存率とQOLを改善することが示されたが,有害事象の軽減が今後の課題である。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(アメリカ),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2年。92例が死亡するまで継続。登録期間は1998年5月から2001年7月。
対象患者 129例。ACE阻害薬,利尿薬,ジゴキシンを90日以上投与後もNYHA IV度の例。EF≦25%。最大酸素消費量<12mL/kg/分,あるいは症候性低血圧,腎機能低下,あるいは肺うっ血の増悪のため強心薬の持続静注が必要な例。割付け前の90日間に少なくとも60日間β遮断薬を投与されていた例はβ遮断薬の継続投与可。
登録開始から18か月後,登録数を増やすためクライテリアを次のように拡大:60日間のNYHA IV度で最大酸素消費量が<14mL/kg/分の例と,28日以上のNYHA IIIあるいはIV度で14日以上の大動脈内バルーンパンピング例,あるいは強心薬静注依存例で離脱に2回失敗している例。
心臓移植不適応例:65歳超,標的器官障害を有する1型糖尿病,90日以上血清クレアチニン値>2.5mg/dLの慢性腎不全。
治療法 LVAD群(68例,66歳):preperitoneal pocketあるいはperitoneal cavityに植込み,至適薬物療法群(61例,68歳):器官の至適灌流およびうっ血性心不全症状の最小化を目標,ACE阻害薬を投与,強心薬静注の停止を奨励した。
結果 LVAD群は至適薬物療法群に比べ死亡リスクが48%低下[相対リスク0.52;95%信頼区間(CI)0.34-0.78,p=0.001]。1年後の生存率はLVAD群52%,薬物療法群25%(p=0.002),2年後は23% vs 8%(p=0.09)。 生存日数(中央値)は,LVAD群408日,薬物療法群150日。最終的な死亡数は41例 vs 54例。主な死因は,LVAD群では敗血症(全死亡の41%)およびLVADの不良(17%),至適薬物療法群では左室不全(92%)。
重篤な有害事象の発生頻度はLVAD群で薬物療法群の2.35倍であった(95%CI 1.86-2.95)。LVAD植込みから3か月間の感染率は28%(95%CI 15-38%)。6 か月後の出血率は42%。LVADの不良は12か月間はなかったが,24か月後には35%発生した。
QOLに関しては,SF-36(36-item Medical Outcomes Study Short-Form General Health Survey)による身体機能項目はLVAD群で平均46スコア,薬物治療群で21スコア,精神項目は64スコア vs 17スコア,NYHA分類II度 vs IV度,Beck Depression Inventoryは8スコア vs 13スコアと,LVAD群が薬物療法群より有意に改善した(各p=0.01,0.03,<0.001,0.04)。Minnesota Living with Heart Failureは,LVAD群に比べ薬物療法群の方が改善したが有意ではなかった。
★結論★進行した心不全例において,LVADは生存率およびQOLを臨床上有意義に改善した。LVADは心臓移植適応外の例に許容できる代替療法である。
文献
  • [main]
  • Rose EA et al for the randomized evaluation of mechanical assistance for the treatment of congestive heart failure (REMATCH) study group: Long-term use of a left ventricular assist device for end-stage heart failure. N Engl J Med. 2001; 345: 1435-43. PubMed
  • [substudy]
  • LVAD群68例,薬物療法群61例で検討:neurological event(脳卒中,一過性脳虚血発作,毒性・代謝性脳障害,その他)はそれぞれ30例で42イベント,4例で4イベント発症(p<0.001)。脳卒中あるいは死亡のリスクはLVAD群で薬物療法群よりも44%低下(p=0.002):平均追跡期間はLVAD群341.3日,薬物療法群226.3日:Circulation. 2004; 109: 2423-7. PubMed
  • ベースライン時の強心薬静注例は生存率が高くQOLも改善した:Circulation. 2004; 110: 975-81. PubMed

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収載年月2002.01
更新年月2004.11