循環器トライアルデータベース

ASSENT-3
Assessment of the Safety and Efficacy of a New Thrombolytic Regimen-3

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者において,血栓溶解薬tenecteplaseおよび併用薬として低分子量heparin(enoxaparin),血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬abciximab,非分画heparinの有効性と安全性を比較。
有効性の一次エンドポイントは30日以内の死亡+再梗塞+治療抵抗性虚血。有効性および安全性のエンドポイントは一次エンドポイント+頭蓋内出血あるいは出血性合併症。
コメント ASSENT-2ではAMIにおけるtenecteplaseのalteplaseと同等の有効性,より高い安全性を示した。抗凝固剤としては非分画heparinが併用された。ASSENT-3では併用薬を低分子heparin(enoxaparin),GP IIb/IIIa inhibitor(abciximab),非分画heparinとで比較検討している。有効性は前2者が優れ,48時間後(非分画heparin終了時)にすでに有意差が認められた。安全性ではabciximab群で頭蓋内以外の出血性合併症が多かった。(中野中村永井
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(26か国),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は2000年5月~2001年4月。
対象患者 6,095例。ASSENT-2 trialと同様:18歳以上,平均年齢61歳。発症より6時間以内のもの。2つ以上の肢誘導で0.1mV以上のST上昇,2つ以上の連続する胸部誘導での0.2mV以上のST上昇,あるいは左脚ブロック。
除外基準:収縮期血圧>180mmHg,拡張期血圧>110mmHg,7日以内のabciximabあるいは他の血小板GPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与例,主要な手術施行例,2か月以内の実質臓器生検あるいは外傷例,脳卒中,一過性脳虚血発作あるいは痴呆の既往例など。
治療法 tenecteplaseは5秒以上でシングルボーラス投与。投与量は体重で決定。
enoxaparin群(2040例),非分画heparin群(2038例):<60kgの場合30mg,60~69kgの場合35mg,70~79kgの場合40mg,80~89kgの場合45mg,≧90kgの場合50mg),abciximab群(2017例):上記の1/2量(15~25mg)。
併用薬剤のプロトコール:enoxaparin群;enoxaparin 30mgボーラス静注後,1mg/kgを1日2度皮下注。入院中最大7日間あるいは退院まで継続。abciximab群;abciximab 0.25mg/kgをボーラス投与後,0.125μg/kg/分(最大10μg/分)を12時間継続投与。aPTT(activated partial thromboplastin time)を50~70秒に保つように非分画heparinを7U/kg/時(最大800U/時)を併用。非分画heparin群;非分画heparinを60U/kg(最大4000U)ボーラス投与後,12U/kg/時(最大1000U/時)で開始し,aPTTを50~70秒に保つように調整し48時間継続。
すべての併用薬はtenecteplaseに先行して投与を開始。
全例にaspirin 150~325mgを投与。
結果 一次エンドポイントの発生率は,enoxaparin群11.4%(233例/2,037例) vs 非分画heparin群15.4%(314例/2,038例)で,enoxaparinの相対リスク(RR)0.74;95%信頼区間0.63~0.87(p=0.0002)。abciximab群11.1%(223例/2,017例) vs 非分画heparin群15.4%(314例/2,038例)で,abciximabのRRは0.72;0.61~0.84(p<0.0001)であった。
有効性および安全性のエンドポイントの発生率は各13.7%(280例/2,037例) vs 17.0%(347例/2,036例)で,enoxaparinのRRは0.81;0.70~0.93(p=0.0037),14.2%(287例/,2016例) vs 17.0%(347例/2036例)でabciximabのRRは0.84;0.72~0.96(p=0.01416)であった。
★考察★tenecteplase+enoxaparinあるいはabciximabはAMIの虚血性合併症を抑制した。投与の容易さを考慮すると,tenecteplase+enoxaparin投与は魅力的な代替再灌流法と思われる。さらなる試験の実施が必要である。
文献
  • [main]
  • The assessment of the safety and efficacy of a new thrombolytic regimen (ASSENT)-3 investigators: Efficacy and safety of tenecteplase in combination with enoxaparin, abciximab, or unfractionated heparin; the ASSENT-3 randomised trial in acute myocardial infarction. Lancet. 2001; 358: 605-13. PubMed
  • [substudy]
  • 複合エンドポイントの個々の項目を相対的に重み付けすると,治療評価が変わる可能性が。
    専門家委員会がデルファイ法により算出した複合エンドポイント(30日死亡率,MI再発,心原性ショック,うっ血性心不全)の個々のイベントの相対的な重みは,死亡1.0,心原性ショック0.5,うっ血性心不全0.3,MI再発0.2,最大1.0/患者。これをASSENT-3試験に適用すると,従来の評価法では未分画heparin群の複合エンドポイント発生率が他の2群よりも高い(p=0.05)という結果が,新しい評価法ではenoxaparin群が他の2群よりも低いという結果となった。さらに,有効性のエンドポイントを相殺する安全性イベント(介護が必要な頭蓋内出血[発生率は3群ともに0.9%],大出血[未分画heparin群2.2%,enoxaparin群3.0%,abciximab 群4.3%])の閾値を組み入れると,出血リスクがもっとも高かったabciximab群における正味の臨床的有用性(重み付けイベント率=23.8ポイント/100例)が他の2群よりも低くなり(p<0.001),enoxaparin群(19.2ポイント/100例)の未分画heparin群(17.9ポイント/100例)に対する優越性も逆転した:Am Heart J 2011; 161: 848-54. PubMed
  • aborted MI(心筋壊死回避例:最大クレアチンキナーゼ≦正常上限の2倍で典型的な心電図変化を伴う)は発症から治療までが1時間未満であった場合が最も多く,60分でSTを回復した例が転帰は最良であった:J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 38-43. PubMed
  • abciximab,enoxaparin,非分画heparin群の転帰は同様であった。abciximab,enoxaparin群で緊急PCI率は非分画heparin群に比べ有意に低かったが,両群の転帰は全般的に不良であった:J Am Coll Cardiol. 2003; 42: 1178-85. PubMed
  • 1/2量のtenecteplase+abcixiamab群はtenecteplase+abcixiamab群,tenecteplase+enoxaparin群に比べ,後者両群の方が70%以上のST上昇消失例での再梗塞率が低かったにもかかわらず,STの消失がより早く完全(≧70%)であった:Eur Heart J. 2003; 24: 1515-22. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2001.12
更新年月2011.06